民家の店・宿

 
情報誌『民家』の「民家の店、民家の宿」シリーズからの抜粋です。

2010年3月 6日 (土)

食事処「なるせ」

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■江戸時代の貴重な茅葺き民家
 くねくねと曲がる古い石垣に沿って行くと、住宅街にただ1軒残された茅葺きの民家が現れる。江戸後期の建物で、先ごろ鎌倉市で 32番目の景観重要建築物に認定された。1869年(明治 2年)築の土蔵もある。
 訪れた日は建物周囲に足場が建ててあり、JMRA会員の工務店による茅葺き補修工事がスタートしたところだった。

■1組だけの贅沢なおもてなし
 店は古民家本来の、大戸、土間、畳の座敷、広縁をそのまま残していて、故郷の親戚の家に訪れたような懐かしさ、居心地の良さをかもし出している。6年前、ご主人の成瀬さんがご自分の生家で営業を始めるにあたり志したのは「気の合った仲間が集い、日本の原風景の中で気分よく過ごしてもらうこと」。そのため昼1席、夜1席の完全予約制をとっている。
 食材は、自家製や近所の農家に分けてもらう野菜と、三浦半島の魚介を主としている。会席コース料理だが、気取らない雰囲気の料理がボリュームたっぷりいただけるので満足感は最高。なお、普通のコースにない料理も幅広く対応できるそうなので、予約時に相談してみてほしい。予約は 10日前までが望ましい。
 浮世を離れ、時間を忘れ、心ゆくまでおいしい料理を楽しむことのできる、稀有な店である。

■ガイド
場所神奈川県鎌倉市手広2-32-1
交通湘南モノレール西鎌倉駅下車徒歩7分           敷地内に駐車スペースあり
電話0467-31-3373(要予約)
メニユー会席コース 昼 3,500円~/夜 4,200円
営業時間12:00~20:00
定休日年中無休
情報提供『民家』71号 正会員・西本佳代子

食事処「志ぐれ亭」

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■100年前に建てられた山地主の民家を移築
 福島県喜多方市、県道 336号線(まほろば街道)と国道 459号線の交差点より北に 1キロ入った里山のふもとに、ふるさと懐石「志ぐれ亭」はある。まほろばとは、神々(もとは山々や自然)や信仰に守られ実り豊かで人々が暮らしやすい住みよい土い意味。そんな場所に西会津の山中にあった築 100年の民家を可能な限りかつての姿を再現して移築再生した。
玄関正面を入るとまず、板の間の大きな囲炉裏が出迎えてくれる。座敷に入って驚くのは大きく立派な三つの神棚。山地主の住まいであったというから当時の繁栄ぶりが想像できる。奥座敷では100年経っているとは思えない素晴らしい白木の建具や梁、欄間が見られる。

■上質な懐石料理と懐かしい郷土料理の味わい
 喜多方の里山には、四季折々さまざまな味覚が実る。それら地元の食材を主役にし、京懐石に郷土料理を織り交ぜた志ぐれ亭の「ふるさと懐石」。素材の持ち味を大切に、調理は手を加えすぎないように心がけている。

■宿泊は1日2組のおもてなし
1日 2組限定の宿泊も受け付けており、贅沢な漆塗りの風呂に入浴できる。お客様の「ふるさと」になりたい…そう言う女将さんとご主人は「おかえりなさい」と宿泊客を出迎える。客もまた「ただいま」と帰ってくる。まるで実家に帰ってきたような雰囲気だ。ここが、ふるさと「志ぐれ亭」。

■ガイド
場所福島県喜多方市上三宮町吉川字日照畑374-1
交通JR喜多方駅からタクシー10分
電話0241-24-4905(要予約)
メニユー昼御膳(要予約)2,000円.、ふるさと懐石(要予約)3,500円.ほか             *昼限定メニューあり
営業時間昼〉11:00.15:00〈夜〉17:00.22:00(要予約)
定休日火曜日(休日の場合、翌平日へ振り替え)
情報提供『民家』71号 友の会・竹内樹美

2010年1月16日 (土)

食事処「前原古材の森」

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■かつての豪商の出店
 福岡市西部に隣接する糸島市の中心、唐津街道の宿場町・前原宿の町並みにこの店はある。江戸時代に栄えた豪商「綿屋」の出店として呉服屋を営んでいた建物で、解体寸前のところを「地域の貴重な文化財をなくしてはいけない」と、現在の店主が借り受け、喫茶、食事処、イベント会場として4年前に開店した。
 建物は1901 年(明治34 年)の建築で、吹き抜け部分の2階には漆塗りの回廊があり、伝統建築の粋を鑑賞できる。食事を楽しむのは、床の間・書院付きの和室、広い土間スペースだ。
 「町並み散策」のイベントも季節に合わせて企画しており、散策後には江戸時代の料理を再現した「唐津街道御膳」を楽しむという趣向をこらしている。

■地産地消、手作り、本物の味
 食事処としてのコンセプトは、地産地消、手作り、本物の味。
 昼間は喫茶とランチが中心で、約30 種類の食材を使った糸島ランチが1,100 円と値段も手ごろ。すべての料理が手づくりというのもうれしい。
 夜は、玄界灘に近いことから季節の魚介類を取り入れたコース料理や豊富な単品メニュー。団体の予約も受け付けている。

■ガイド
場所福岡県糸島市前原中央3-18-15
交通JR筑肥線筑前前原駅より7~8分 西九州道前原ICより5分
電話092-321-4717
メニユー:〈昼〉町家弁当 1,000円、古材の森ランチ 1,600円ほか〈夜〉磯音2,500円、山海3,000円 (要予約)、いとしま4,000円(要予約)
営業時間昼11:30~14:30(喫茶は17:00まで) 夜18:00~23:00 定休日 水曜日
定休日不定休

2009年11月 4日 (水)

宮城県仙台市/絵本と木のおもちゃの店「横田や」

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■明治初期の商家を絵本屋さんに
仙台で絵本屋といえば横田やさんの名前がでるくらい 有名な店であり、市内にはこの店の絵本やおもちゃで 育った人が大勢います。
店は仙台市の北西部、北山にあります。ここは、伊達 氏が仙台城下の鬼門を守るために建てた古刹 群や輪王寺 等有名な寺が多い門前町です。とはいえ、通りにはい まどきの建物が建ち並んでいますが、この店のある一角 だけが昔ながらの町並みを想像させてくれます。仙台は 第二次大戦の空襲でほとんどが焼けてしまい、戦前の建 物が残っているのは珍しく、たいへん貴重な建物でもあ ります。
■「おはなし会」で児童文化を発信 店主の横田重俊さんは、学生時代に絵本の魅力を知 り、絵本と木のおもちゃの店を始めました。祖父の代ま では醸造業を営み、この建物で味噌や醤油を販売してい たそうです。いまも当時の間取りのまま利用していて、 店内には土間部分や二間続きの部屋の黒い柱、梁、欄 間、床の間、神棚等が見えます。
横田さんご夫妻が店を営んで31年にもなります。お客 様に1冊の本を勧めるにも、まず話を聞いてからするとの こと。「絵本を売ることは人と向き合うこと」と考えて います。「おはなし会」や「赤ちゃん広場」などの活動 にも取り組み、仙台における児童文化の発信基地でもあ ります。ぜひ、のぞいてみてください。

■ガイド
場所宮城県仙台市青葉区北山1-4-7
交通JR 仙台駅から車で15分
電話022-273-3788 URL http://www.yokotaya.net
営業時間昼 10:00~19:00
営業日月曜、金曜、土曜、日曜の営業
情報提供『民家』69号 正会員・伊藤秀明

島根県斐川町/蕎麦処 「鶴華波積屋」

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■雑木林やせせらぎの雰囲気も復元して
 文化元年(1804年)築の古民家を移築保存再生した、「出雲そば」の店です。建物は、「そば庄たまき」の敷地の中にあり、木造建築のたくましさ、豊かさ、また木材の穏やかな表情が、心安らぐ落ち着いた雰囲気にしています。周囲には雑木林、せせらぎを復元しており、つい築
じ地松で有名な典型的散居村集落が残るこの地域の景観を守り、住民の誇りを守り、人々の拠り所を保持したいとの店主の気持ちが伝わってきます。 店内には広い土間や囲炉裏があり、柱には太い地松、ケヤキ、ヒノキ等の樹齢200年相当の大木がふんだんに
使われています。黒くいぶ燻されたスケールの大きな木組みは圧巻で、年月を経た味わいを感じさせます。波積屋とは、庄屋を務めていた5代当主・石田初右衛門の屋号です。
■昔ながらの食材にこだわる
 当初、店主は数奇屋造りを構想していましたが、この民家を発見した瞬間に「よう帰ってきたな」と言う家族、両親の声が聞こえたそうです。そこで昔ながらの食事へのこだわりをコンセプトにしました。木桶の生醤油や出雲の地伝酒などを使い、そばもうどんも手打ちにしました。秋田の稲庭うどんと同じで、油を使わずに延ばしてゆく「手延べ文吉うどん」も継承復元しています。割子そばは松江
藩主・松平ふ不 まい昧公が賞賛したといわれ、波積屋では石臼挽きの自家製粉にこだわり、季節によっては岩ノリなどを使っています。また「そば庄たまき」内の別館には、そばづくりを身近で体験できる「そば道場」もあります。

■ガイド
場所島根県簸川郡斐川町沖洲1680(そば庄たまき内
交通出雲空港より車で5分、JR出雲市駅より車で30分
電話0853-72-0770(要予約)http://www.sobasho-tamaki.jp/
メニユー割子そば 630円/十割そば /そばづくし 2,000円/文吉うどん 600円780円
営業時間昼 11:30~20:00
定休日不定休
情報提供『民家』69号 正会員・江角彰宣

2009年7月16日 (木)

東京・文京区/リストランテ「ラ・バリック」

Labarrique_mise ■ 昭和の民家をイタリアンレストランに

約60年前に造られた鍵の手状の民家を前半分壊してマンションにし、残りを二階屋のままレストランに改造した店である。両引き戸の玄関、床の間、凝った彫刻が施された欄間、長押などを残し、和の座敷に絨毯が敷かれている。照明もほどよく、自宅の応接間にいるような落ち着いた雰囲気を醸し出している。
オーナーの坂田真一郎氏によれば、当家は氏の実家で、1年半前まではご両親が住まわれていたが、段差があって不便ゆえ引っ越されたとのこと。坂田氏は2年間ほど北イタリアでソムリエをしていたが、厨房を担当しているパートナーと東京でイタリアンレストランを開こうと六本木や原宿などを探したが適当な物件がなく、和の雰囲気を残したイタリアンもよかろうと、今に至ったそうである。

■ 食前酒もぜひお試しを

前菜からデザートまで、薄味でありながらも、それぞれしっかりした味である。量は一見少なめだが、食事が進むうち十分満腹し、パン皿が空くと補充をしてくれるので、不満はない。
イタリアンといえばパスタだが、自家製パスタは細、太麺2種、両方ともコシがあり、味も絶品である。食前酒としてオーダーしたグラスワイン(赤)も、色、香りそろったコクのある味わいだった。摘んだ葡萄をいったん干し、「干し葡萄」のようにしてから醸造するとのこと。ぜひ、お試しいただきたい逸品である。

場所東京都文京区水道2-12-2
交通東京メトロ有楽町線江戸川橋駅4番出口より徒歩5分
電話03-3943-4928(要予約)
メニユー昼 2,800円~/夜 6,500円~
営業時間昼 11:30~13:30/夜 18:00~22:00
定休日水曜日(毎週)、火曜日(毎月第二)
情報提供『民家』64号 正会員・菊水大造

2009年7月15日 (水)

長野・下諏訪/ギャラリー・そば処「苔泉亭」

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■ 明治初期の茶室・土蔵を
  再生

苔泉亭 たんせいていは、諏訪大社秋宮の参道歩道拡幅工事に伴って移動することになった旧塚越邸を再生し、2007年秋にオープンした。ここは明治初期に建てられ、昭和には郵便局、その後は医院として利用されていたが、この20年ほどは空家となっていた。
入口部分の書院造りは茶室を含めて改修され、見事な欄間を引き継ぐ「茶室 塚越」、奥部の土蔵二棟はそば処「萩月庵」として再生されている。茶室と土蔵をつなぐ三和土の廊下も「ギャラリー下諏訪」として、地元で活躍している方々の作品が展示する場となっている。また、油絵画家・黒田良夫氏の作品や収集物を展示する「黒田良夫文庫」なども併設されている。
茶室 塚越で、抹茶と菓子がいただける。京風庭園を眺めながら、ゆったりした時間を過ごせることだろう。蕎麦処・萩月庵へは苔泉亭の中庭を抜けて入る。手打ちならではの風味と香りが堪能できる。 苔泉亭のあたりは、中山道、甲州街道が分岐する宿場町として栄えた下諏訪町の面影を残す、風情ある共同温泉や旅館が町屋の形式で並ぶ。参道散策を兼ね、ぜひお立ち寄りいただきたい。

場所長野県諏訪郡下諏訪町大社通り5531-1
交通JR中央本線下諏訪駅から徒歩10分
電話/URL0266-27-8861  http://www.tamariya.org
メニユー茶室 塚越 抹茶(菓子付き)600円/萩月庵 もり蕎麦 1,200円
営業時間11:00~20:00(苔泉亭)
定休日水曜日
情報提供『民家』64号 正会員・関 謙二

2009年7月12日 (日)

沖縄・国頭群/コテージ「CANAC(キャナック)」

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■1世紀以上前の赤瓦民家

築百年以上という貴重な木造赤瓦民家を、1992年に 今帰仁 なきじん大工の手によって 安波 あは集落から移築再生した宿。木材は皮付丸太の垂木までできる限り再利用し、瓦はもともとの古瓦を8割使い、残りは古瓦をオーナーご家族で探し回って集められたそうです。
間取りは、 表座 おもてざと呼ばれる4畳半の和室が2部屋、裏座に4畳半と6畳が2部屋あり、ほかにキッチン、バスルーム、トイレがあります。塀で囲まれた庭の一角には屋根付のバーベキューハウスがあります。風呂はゆっくりと入れるジェットバスになっています。

■アマハジでユンタクを

外観を特徴づける「アマハジ(雨端)」と呼ばれる深い軒下空間があります。この深さと高さの関係は季節ごとの太陽高度に適応しているようです。寒い時期にはいい具合に暖かな日差しが差し込み、逆に暑い時分には影を落として壁面と室内への日射量を低減しています。このアマハジ空間はユンタク(おしゃべり)や軽作業などにちょうどよく、内外の緩やかなつながりを生む半屋外空間になっています。開口部が多いため、影の深い外観とは逆に室内は明るく開放的です。
訪れたのは気温と湿気が高く日射の強い日でしたが、建物内に入ると「ス~ッ」と汗が引きました。木の調湿性と程よい換気によるものでしょう。沖縄の気候に適した、昔ながらの家の環境性能をぜひ確かめてほしいと思います。

場所沖縄県国頭郡本部町字渡久地286-8
交通渡久地十字路から徒歩15分
電話/FAX/URL0980-47-2233  http://www.geocities.jp/canac_okinawa_motobu/
宿泊料金1泊(1棟6名まで同料金)
オフシーズン 26,250円、オンシーズン 31,500円、ハイシーズン 36,750円
営業日年中無休(要予約)
情報提供『民家』62号 友の会会員・下地洋平


2009年7月11日 (土)

埼玉・秩父市/民芸茶房「木亭」

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■ 養蚕農家が写真館、喫茶店へ 再生

もともとは、秩父浦山ダム近くにあった江戸末期か明治時代に建てられた養蚕農家で、1950(昭和25)年に現在の場所へ移築し、写真館兼住宅として使用していました。喫茶店となったのは23年前、2階を改装してスタートしました。
店内は天井がなく、むき出しの黒光りする3.5間の太い松丸太の小屋組みが印象的です。可愛らしい昭和の照明器具やアンチークなランプ、柱時計、桑のたんすが、少し前の時代の温かさを感じさせます。

■ 秩父の文化を発信する場

テーブルでくつろいでいるとき、古い水道の蛇口を発見! ユーモアなところも。壁面には秩父を描いた水彩画が並んでいます。この家で育ったオーナーの塚越康一さんの作品とのことです。
塚越さんは写真家ですが、イギリスのロングラン・オペラ「ミカド」が秩父に関係することを知り、2001年の初演や、その後の再演にも尽力しています。店には秩父に関する書籍コーナーもあり、秩父の文化を伝える場ともなっています。

場所埼玉県秩父市野坂町2-15-26
交通西武秩父線西武秩父駅から徒歩5分
電話/FAX0494-22-7841
メニュー炭火コーヒー 550円、ケーキ 350円、ピラフ・スパゲティ 680円
営業時間10:00~20:00
定休日水曜日(祝日の場合は営業)
情報提供『民家』62号 正会員・北折佳司

2009年7月10日 (金)

東京・八王子/手打ち蕎麦「車屋」

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■ 会津只見地方の曲屋を
  移築

築130年余りの会津只見地方の曲家(旧目黒家住宅)を移築した手打ち蕎麦のお店です
現在の東京・八王子の地に移築されたのは昭和61年、木々に囲まれた建物で、静かな時を過ごすことができます。店内は自然な柔らかな光を取り込んだ明るく落ち着いたたたずまい、高い天井に大きな梁が見えます。座敷とテーブル席があり、磨かれた柱や建具、しつらえられたイス・テーブルなどにも日本文化が感じられます。

■ 体によい食材を

車屋は、甲州街道の宿場町だった八王子市に1972年開業。厳選された食材や水を取り入れた料理はどれも絶品です。食することを大切に考えて東洋・西洋医学の観点から栄養学を学び健康につながる蕎麦作りに取り組んでいる姿勢が伝わってきます。
ダッタンそば、二八そばは、品のあるのど越し。うどんも美味です。おすすめは鴨せいろ。時間と手間をかけてしっかり飼育されたであろう肉厚の鴨と蕎麦、ネギの組み合わせは口にした瞬間から食の喜びを実感できます。
旬の食材を使った季節の料理は日本酒がすすみます。食することに大切なもの、空間と安心ともてなしも味わうことができます。
「次回は何を食べようか」と何度も足を運びたくなるお店です。

場所東京都八王子市越野3-10(多摩ニュータウン内)
交通車 :中央高速「国立府中インター」から約20分
電車:京王相模原線堀之内駅下車、2番バス乗り場「北野行き」または「南大沢行き」、「帝京中高校前」下車
電話0426‐76‐9505  http://www.soba-kurumaya.co.jp/
メニユー茶室 塚越 抹茶(菓子付き)600円/萩月庵 もり蕎麦 1,200円
営業時間11:00~15:00、17:00~20:00
定休日毎水曜日・第三木曜日
情報提供『民家』61号 友の会会員・山田夕湖

2009年7月 9日 (木)

山梨・山梨市/ギャラリー「梨の木畑」

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■ 小森御前ゆかりの主屋を山梨へ

このギャラリーは、山梨市牧丘町西保下の巨峰畑に囲まれた山里にあります。
建物は、奥州志津川の地で41代続く、小森御前(源義経の家臣・鈴木三郎重家の妻)の後裔といわれる旧家が所有していた「梨の木畑屋敷」主屋だったものです。その老朽化による崩壊を危惧した佐藤巧東北大学教授、松本の建築家降旗広信氏の仲立ちで、平成5年、河合家(筆者宅)の屋敷に移築保存されました。
桁行16間、梁行6間半、土間だけで分譲住宅が宅地ごと入ってしまうほど大規模な建物で、梁や桁も直径2尺ほど、長さ8~10間の巨材が随所に架け渡されている逞しく雄大な構造であり、改造も少なく、文化2年上棟時の姿を今に伝えています。

■ 一室を器店に

移築以来、陶芸家の個展や文化的イベントの開催以外は戸締めにしていましたが、昨年から一室を使って器店を開きました。お手頃な「ふだんづかいの名器」を揃えていますので、建物を見学がてら、ぜひお気軽にお立ち寄りください。

場所山梨県山梨市牧丘町西保下1126
電話0553‐35‐4177
交通JR塩山駅からタクシー10分、中央高速勝沼インターから車で25分
品揃美濃、瀬戸、常滑、信楽、笠間の陶器、ほか漆器
営業時間10:00~17:00
定休日毎週木曜日
周辺情報市営鼓川温泉(日帰り入浴)へ車で4分、武田信玄公菩提寺恵林寺へ車で5分、
重文甘草屋敷へ車で10分、近在に甲州切妻造り古民家群あり
情報提供『民家』61号 友の会会員・河合嘉徳

2009年7月 8日 (水)

京都・中京区/おかき処「蕪村庵」

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■ 歴史を感じる粋な京町家

江戸後期の京町家。町家には珍しく、間口4間の 表屋造 おもてやづくり の建物です。店の形・間取りから見て、織物屋さんの仕事場だったようです。
株式会社「味蔵や」さんが、6年前にこの店を改修され、本店を構えました。「蕪村庵」は、「味蔵や」さんが、蕪村が生まれた大阪都島の毛馬で発祥したことから名づけられています。
いまでも、カド脇に 友待 ともまち が残り、ミセの はほぼ建築当時のままに復元されています。
一方、通り庭・ダイドコは、吹き抜けを有効利用しつつ、現代風に素敵にリフォームされています。聚楽壁と黒塗の構造材が、おかきのおいしさを一層ひきたてているようです。

■ 与謝蕪村にちなんだおかき

蕪村庵さんのおかきは絶品。与謝蕪村の句が持つ奥深い世界が、おかきという小さな食材に凝縮されています。
特にお勧めなのが、「丹波の黒豆おかき」。丹波産の大粒黒豆と風味のよい佐賀県産の餅米がシンプルで飽きのこないおいしさを作りだしています。

場所京都市中京区六角通烏丸東入堂之前町234
電話075-213-7888
交通阪急電車烏丸駅または市営地下鉄四条駅下車 徒歩約5分
メニュー丹波の黒豆おかき 714円〜、揚げせんべ い525円〜、あられ蕪村春秋 714円〜、
七彩焼きつらね詩 525円〜、さくらえびせんべい 714円〜、四万十川のりせんべい525円〜 他
営業時間10:00〜18:00
定休日年中無休(年末年始・夏期休暇を除く)
情報提供『民家』60号 友の会会員・荒木 勇

2009年7月 7日 (火)

秋田・横手市/中華そば「三角そばや本店」

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■ 山形県金山町の町屋を移築再生

横手市は小正月の伝統行事「かまくら」で全国的に知られていますが、当地独特の中華そばも名物です。「横手焼きそば」(ソース焼きそば)が町おこしの一翼を担っていますし、市内十文字町の「十文字ラーメン」も観光資源として近年注目されています。
その十文字ラーメン店の一軒、「三角そばや本店」が昨年、民家を移築再生して新装開店しました。
元の民家はお隣山形県の金山町にあった築100年の町家。間取りなど原型を生かしています。椅子席の部分は吹き抜けになっていて、広々として気持ちがいい。ラーメンが和風仕立てなので、和の伝統的な空間が似合っています。

■ 細打ち手もみ麺に魚介系のさっぱりスープ

十文字ラーメンはさっぱりしたスープが特徴で、陸奥湾特産の焼き干しをベースにしています。しょうゆ味で、原料は厳選された丸大豆とのこと。
トッピングのチャーシューも、こだわりの十文字特産の栗駒美味豚。麩が載っているのも特徴です。 麺は、低温熟成・無かん水の細打ち手もみ麺。
全体にさっぱりしているから、お酒を飲んだ後のシメにはありがたい。しかし、こってりしたラーメンに慣れている人には、少々物足りないかもしれません。
60席ある店なのに、メニューは中華そば(ラーメン)のみ。ただし、畳の部屋もあるので宴会も可能で、予約注文すれば料理も作ってくれます。
そばは全国に宅配もしています。

場所秋田県横手市十文字町梨木字羽場下 63-1
電話0182-42-1360
交通湯沢横手道路十文字インターを降りてすぐ
メニュー中華そば650円、冷やし中華そば750円(夏季のみ)
営業時間11:00~19:30
定休日月曜日(祝祭日の場合は翌日)
情報提供『民家』60号 正会員・岡田 登

2009年7月 6日 (月)

長野・安曇野市/花・林・桃・源・郷「蔵久 」

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■ 安曇野の酒蔵を改修

1810年(文化7年)に建てられ、1986年(昭和61年)まで造り酒屋「飯野屋」を営んでいた。2005年6月、主屋の一部を改修し、 花林糖 かりんとう菓子の売店および飲食空間としてオープンした。この主家には8代目当主飯田さんの居住部分もある。
2005年秋、この飯田家住宅は国の“登録有形文化財”に指定された。 本棟 ほんむね造りの主屋を中心に、七つの蔵が立ち並び、それを屋敷林が取り囲む。安曇野に見られる典型的な姿で、素晴らしい景観を備えている。
1976年に公開の映画「犬神家の一族」の一作目ロケが、この飯田家住宅で行われた。ロケ地訪問に興味のある方は、一度訪れてみる価値がある。

■ 新しい食文化の発信地として

蔵久 くらきゅう」は、松本市内にある花林糖菓子一筋の老舗、久星食品㈱が経営している。民家と菓子メーカーのコラボレーションで、伝統に足を着け、未来を見つめた食文化を全国に発信する拠点にしたいと努力している。
2006年、豊かな地域資産を活かし、独創的で良質な商品やサービスを創出・提供しているブランドとして “信州ブランドアワード2006特別賞”に選定されている。昨年秋には、蔵久エキュート立川店(東京)をオープンした。

場所長野県安曇野市豊科高家 604
電話0263-73-0170
URLhttp://www.kurakyu.jp/
交通長野自動車道豊科ICより車で7分
商品源作花林糖(16個入)1,050円、揚げたて花林糖(100g)300円
食事メニュー田舎そば 850円、黒糖カレー 680円
営業時間10:00~17:00
定休日4~10月は無休、11~3月は水曜日
情報提供『民家』59号 友の会会員・北村耕一

2009年7月 5日 (日)

東京・文京区/串揚げ処「はん亭」

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■ 下町の三階建て商家

東京都23区内でふらりと町歩きなぞ……といった気分のときに、真っ先に足が向くのが、「はん亭」のある根津界隈だろう。近隣も含めて「谷根千」(谷中・根津・千駄木)として紹介されることも多い。丹精された鉢植えが並ぶ二階家の小路、個人商店の年季の入った看板などをたどるうちに、暮らしがもっとゆっくりしていた時代に入り込んでいく。
はん亭はもともと、明治42年に下駄の瓜皮を商う店として建てられ、大正期に蔵と三階建て部分が増築されて現在の姿になった。関東大震災、東京大空襲の戦災もくぐり抜けた、東京では数少ない木造三階建ての商家である。

■ 吟味した素材をたっぷりの野菜で

昭和40年代の半ば、先代店主の高須治雄さんは、運送会社の独身寮として使われていたこの建物を偶然、通りがかりに見た。相当傷んでいたが、根津の町の財産としてなんとか残したいと思った治雄さんはこれを譲り受け、串揚げを供するはん亭として蘇らせた。
現在は、二代目の徹さんが店を守る。はん亭の串揚げは、吟味した肉や魚介、野菜、珍味など三十余種。たっぷりの新鮮な生野菜が揚げの味を引き立てる。建物ともども、先代から引き継いだスタイルはいまも変わらない。父子二代にわたる熱い思いが、いまや根津のランドマークとなった下町の三階家・はん亭を支えている。

場所東京都文京区根津 2-12-15
電話03-3828-1440
URLhttp://www.hantei.co.jp/
交通東京メトロ千代田線根津駅不忍池方面出口から1分
メニュー最初のセット<一の膳>(串揚げ6種に酒菜2品)  2,835円
はん亭<昼膳> 3,500円
営業時間11:30〜15:00、17:00〜22:00
定休日月曜日(祝祭日の場合は翌日)
情報提供『民家』59号 正会員・杉浦干城

2009年7月 4日 (土)

長野・中条村/里山の宿「やきもち家」

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■ 浮世を忘れる茅葺きの宿

長野駅から西へ車で30分、中条村標高700m付近を目指し山道を登ると、山裾にひときわ大きな茅葺き屋根の宿が見えてきます。ここが、やきもち家です。現在でも約360棟の伝統的な民家が残る村の中心部から移築したものです。集落の屋根の大半は茅葺きから鉄板へと変わっていますが、懐かしい山里の風景がこの集落には残っています。
近くには昔の木造校舎を利用した音楽堂や水車小屋、神社などもあり、のんびりとした山道散策も楽しむことができます。
宿の前を通る県道を西に向うと、北アルプスの山々が眼前に開け、山岳道路のような感覚に陥ります。
夜ともなれば、囲炉裏で地酒を飲むもよし、露天風呂から満天の星空を見るもよし、浮世をしばし忘れさせてくれる茅葺き民家の宿です。

■ 囲炉裏で食べる「やきもち」

 

やきもち家は昔なつかしい引き戸から入ります。「やきもち」は「おやき」とも呼ばれ、中条村をはじめこの地方一帯で昔からある郷土食です。小麦粉の皮に季節の野菜を入れ、囲炉裏で蒸し焼きにして食べます。焼きたてのあつあつ、ほくほくをいただくのは、また格別です。

場所長野県上水内郡中条村大字日下野5286番地
電話026-267-2641
交通JR長野駅から川中島バス、初引または高府行きで中条下車(送迎あり)
メニュー「手打ぶっ込みうどん」550円、「やきもち」1個150円、「やきもち体験」1人1,000円(要予約)
宿泊料金1人1泊2食(税込み)6,825円~7,875円  日帰り入浴/大人500円・子ども400円       (10:00~19:00、水曜日定休)
情報提供『民家』64号 正会員・峯村 洋


2009年7月 3日 (金)

宮城・登米市 / うなぎ割烹「東海亭」

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■ 山形の米蔵を移築して店舗に

「東海亭」は登米(とめ)市登米(とよま)町の北上川畔にあり、1875(明治8)年創業の老舗です。蔵を移築再生して2006年10月に新装開店しました。外観は、漆喰壁の白と杉板張りの黒のコントラストが美しく、どっしりとした構え。5×7.5間の2階建てで、中に入れば、蔵ならではの豊富な木使いです。ケヤキの大黒柱1尺2寸角、3尺間隔に栗材の柱が立ち、天井の梁も迫力があります。歴史と今日の合作とも言うべき仕事振りに感嘆させられます。元は山形県鶴岡市にあった米蔵で、明治の建築。ご主人の「登米の街並みを大切にしたい」という願いで、場所を移して新しい役目を担うことになりました。
2階の客間からは雄大な北上川の風景が眺められます。とりわけ春の河畔の桜は絶景です。


■ 柔らかくふっくらとしておいしい

身の厚いうなぎを白焼きにして蒸し、歴史を重ねた秘伝のタレで香ばしく焼き上げます。柔らかくふっくらとしておいしい。7~10月の期間限定で、北上川の天然うなぎを食べることもできます。(前日までに要予約)

場所宮城県登米市登米町寺池九日町
電話0220-52-2023
交通JR仙台駅から東日本急行高速バス「とよま総合支所行」で1時間35分。
「とよま明治村」下車、徒歩7分
メニューおすすめは「うなぎ2段重ね」2700円、天然うなぎのうな重セット3000円
営業時間11~14時、17~19時
定休日第1、3月曜日(祝日の場合は翌日)
周辺情報登米町は伊達一門の城下町で、明治の一時期、旧水沢県の県庁が置かれていたため、町内には武家屋敷、旧水沢県庁、旧登米警察署など多くの重要文化遺産があり、「みやぎの明治村」と呼ばれています。なかでも旧登米高等尋常小学校校舎(現在、教育資料館)は明治期の擬洋風建築で、和洋がよく調和し、明治の学校建築の特色を残していることで全国的に知られています。
情報提供『民家』64号 正会員・佐藤丈美

2009年7月 2日 (木)

奈良・奈良市 / 蚊帳・蚊帳地製品「吉田蚊帳店」

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■ 奈良町に残る町家の蚊帳店

吉田蚊帳店は古い町家をたくさん保存する奈良町(昔は元興寺境内であった場所につくられた町)の一角にある。写真の主屋は築100年余り、店に使われている蔵は130年ほどのもの。創業は大正10年というから、主屋ができてしばらく経って蚊帳製造を始められたのでしょう。ご主人の吉田氏は三代目とのこと。
蚊帳にはその世話になった人も多いでしょうが、殺虫剤やコンクリートの家や輸入物におされてだんだん減ってしまったそうです。しかし、この何年かはその良さが見直されて、また盛り返しているとのこと。殺虫剤の毒は体に悪さをするし、輸入物は合繊でできていて暑いし、なんといっても蚊帳には風情があります。

■ 蚊帳地を使ったのれんも販売

日本の蚊帳は、素材が麻なので通気性がよく、吸湿性にも優れ、肌触りも見た目も気持ちがよい。そこで蚊帳地を使って、のれん・ふきん・テーブルマットなど新製品を開発しています。販売もインターネットという新ルートを開発してやっているとのこと(ナラマチドットコムによる)。古き皮袋に新しき酒ならぬ、新しき皮袋に古き良き酒というところでしょうか。これ からも100年、200年と続けてほしい店です。

場所奈良市芝新屋町1番地
交通近鉄奈良駅より徒歩10分
電話0742-23-3381
価格ふきん:260円、のれん:5460円
営業時間9:00〜16:00
定休日なし(元旦をのぞき無休)
情報提供(神奈川県・正会員 二宮倫行)

2009年7月 1日 (水)

佐賀・鹿島市/そば処「西の蔵」

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■ 重伝建地区の酒蔵通りの一角に

鹿島市といえば、全国的に知られているのがガタリンピック。有明海に面し、その泥干潟で運動会を始めたのがそもそものスタート。今では海外からも参加者があり、盛大に行われている。
この町の中央を、長崎街道の一つ、多良海道が通っていて、その肥前浜宿の街並みが昨年重要伝統的建造物群保存地区に指定された。保存地区は二つあり、一方は白壁土蔵の酒蔵通り、もう一方が茅葺き町家の街並みだ。
そば処があるのは酒蔵通りのほうの一角で、酒蔵を改造して店舗にしている。

■全国を食べ歩いて開店に

九州で麺類といえば、うどんかチャンポンを思い浮かべるが、そばの人気はどうだろうか。しかし、この店のそばのうまさは抜群である。地方ではふつう「地場産のそば粉使用」を売り物にしているが、ここは全国区のうまさである。
ご主人は役場勤めをしていたが、そばを作りたくて退職、全国のそばを食べ歩いて研究し、開店にこぎつけたという本格派。味が全国区であるのは当然だ。
そば粉は鹿児島県産から北海道産まで、季節によって産地とその割合を変えて味を調整している。石臼挽きの自家製粉だから、そうした調整ができる。たれはかつお節とうるめで出し汁をとり添加物なし。「食材は可能な限り無農薬、有機栽培のものを」の心意気である。
重伝建地区の蔵を見学した後に、絶品のそばをどうぞ。

場所佐賀県鹿島市浜町中町2751
電話0954-63-1013
交通JR長崎本線肥前浜駅から徒歩5分
メニューもりそば 620円、舟もりそば 1200円、つけとろろそば 800円、地鶏そば 950円
営業時間11:30~14:00
定休日月曜日、火曜日
情報提供『民家』64号 正会員・清沢和弘