民家の店・宿

 
情報誌『民家』の「民家の店、民家の宿」シリーズからの抜粋です。

2011年10月15日 (土)

長野県/旅館「まるも」

1_4■宗悦が褒めた旅館でくつろぐ
 松本市街の中心地、女鳥羽川沿いにある旅館「まるも」は、江戸末期(1868年)の創業で明治21年の大火後に建て替えられ、現在に至っています。設計は松本民芸家具の創立者・池田三四郎氏、完成当時民藝運動の父・柳宗悦氏がそのでき栄えを褒めたということです。
 旅館内に一歩足を踏み入れると、街中の喧騒がウソのように静まり、和風でありながらかどこか洋の香りがするしつらえです。また外国からのお客様も多くお迎えしてきた歴史のせいでしょうか、アットホームな温かさも感じられます。

■旅館併設の喫茶「まるも」で珈琲を味わう
3 近年先代のオーナー・新田貞雄さんが他界され、息子の宏さんが後を継いでおられます。長い南米での生活を経て、二十数年ぶりに松本に戻り旅館経営者となった宏さんは「ここは旅館だけど私が生まれ育った家でもあります。やっと我が家に帰ってきた、という感じでやってます」とおっしゃる。そんな思いが旅館のあちこちから感じられました。今年6月松本を襲った大地震でも大した被害はなく、今までと変わらずお客をお迎えしています。
 旅館に併設された喫茶「まるも」は朝8時開店。ほんのりとしたステンドグラスの明かり、心地よいクラシック音楽、どっしりとした松本民芸家具
が、大人の時間を演出しています。カッコいいマスターがいれてくださったコーヒーは、お店の雰囲気と似て大人の味がしました。

場所長野県松本市中央3-3-10
交通JR松本駅より徒歩25分
電話 0263-32-0115
料金一人 一泊 5,000円(税別)、 朝食付一泊6,000円
情報提供『民家』79号 取材:長野県・友の会会員 内川優子

長野県/とんかつ屋「麓庵かつ玄」

1■本棟造りの民家で味わう贅沢でリーズナブルな料理
 松本から国道19号を北上、奈良井川の流れを横目に車のハンドルを握っていると、道路に控えめな「とんかつ屋かつ玄」の看板が見えてくる。慌ててハンドルを右に切り駐車場に入ると、緑濃い山の麓に「麓ふもと庵あん かつ玄」はあった。
 長野県中部地方に見られる本棟造りの大きな古民家は、江戸時代末期、今から170年ほど前に建てられた。屋根は板金に変わったものの全体の面影は当時のままだ。
 小さなくぐり戸から中に入ると、目前に直径600mmはあろうかと思われる黒々とした丸太の小屋組みが現れる。ホーっとため息をついていると「こちらへどうぞ」と座敷へ案内される。座った席の視線の先には、美しいけれど主張しすぎない日本庭園が広がっていた。注文したのは「夏野菜のカレー」。昼の食事にしては贅沢なほどの質と量だがお値段は1,500円とリーズナブル。大満足の一品だ。

■きめ細やかな空間の演出
2 店長にお話を伺った。とてもシャイで繊細そうな青年は、「開店して18年、お客様にとってここが隠れ家的な癒しの空間になるように心配り
をしている」という。ファストフードが横行する現代だが、スローフードを季節感と共にじっくり味わっていただきたいと、空間の演出も実にひっそりときめ細やかだ。季節の花も店長自らが生け、壁に飾られた品々も男性オーナーのセレクトによるという。
 現代社会における古民家再生のあり方が、ここに一つの良い例として存在していると感じた。

場所長野県松本市島内7717
交通長野自動車道豊科インターから車で15分、梓川スマートインターから車で10分
電話 0263-33-1129
定休日年中無休
情報提供『民家』79号 取材:長野県・友の会会員 舛田宣彦

2011年7月 4日 (月)

奈良/古民家民宿「木治屋」

Photo_5 Photo_6屏風岩
■奈良の秘境「曽爾村」
曽爾村は奈良県中部東端に位置し、170万年前から1万年前までの室生火山群が活動していた頃の痕跡がみられます。
奇怪な形の鎧岳(894m)、兜岳(920m)、200mの断崖絶壁の屏風岩などが見え(その下の山桜が絶景)、雄大なすり鉢状の茅場がある曽爾高原は、心をなごませてくれます。

■美しい村を次代につなぐ「木治屋」
Photo_2木治屋は先代(現当主の父)が農家型民家の行く末を案じ、建物の維持とまわりの景観を美しく保つようにと民宿を始めました。「温故知新」を玄関に掲げたのは、「成長した若者達が村外から帰ってきたとき、生まれ育った民家がなくなっていたのでは帰る気が失せてしまう」、「民家は決して快適空間ではなくても生活のバロメーターがわかる大切な空間であり、若者が自慢できるように守っていくことが大切である」という思いからです。
 村の祭り、獅子唄祭は毎年秋にあり、292年も続いています。民謡も幼い時から教え、文化の伝承に努めています。
 「祖父が建てた築130年の農家の歴史や、曽爾高原の野焼の手順のことも次代の人に継いでいってもらいたい」「これからの村おこしとして、「日本の美しい村」を全国に呼びかけ、手をつないでいきたい」とご主人は熱く語ってくださいました。
 料理は山里らしく川魚や山菜が中心ですが、清楚に盛りつけられ、やさしい味付けでした。

              名阪国道針 I.C.より車で 30分
場所奈良県宇陀郡曽爾村伊賀見 2126-2
交通近鉄大阪線名張駅から曽爾行きバスで 25分
電話0745-94-2551  http://kijiya-kominka.com
料金1泊2食 大人 8,500円 小人 7,500円
定休日不定休
情報提供『民家』78号 取材:大阪府・正会員 小原公輝

静岡県沼津市/イタリアン「千本松・沼津倶楽部」

014_3■駿河湾の潮騒に包まれ富士山を望む千本松原
 明治末期から大正初期にかけて、茶人でもあったミツワ石鹸2代目当主三輪善兵衛は三千坪の土地を沼津市から借用し、千人茶会も可能な本格的な数寄屋造りの別荘を建てました。棟梁は、幕府棟梁本家「柏木家」十代目の名匠祐三
郎です(柏木家は上野寛永寺を手がけています)。
 和室は茶室として使えるしつらえになっています。京都から移築されたといわれている3畳台目の茶席もあります。また和洋折衷の部屋があり、そこで終戦直後「昭和憲法」が起草されたそうです。昭和21年、この地の存続と地域の振興を願う有志が社団法人沼津倶楽部を設立し、収益事業として料亭を営みながら庭と建物を維持してきました。
 沼津倶楽部の目の前に若山牧水記念館があります。若山牧水もこの景色を好んですみかを設けた一人でした。

■「和」を感じさせるイタリアン以上の「伊」料理
009_3 レストランの自慢は、近くの沼津港で水揚げされた新鮮な海の幸、富士山の麓の「あしたか牛」など地元の食材を贅沢に使った、シェフ大坂光生の研ぎ澄まされた感性で創り上げられた料理です。
 緑に囲まれた静かな庭と瀟洒な数寄屋造りがかもしだす上質な和の空間で、美味しい料理を味わいながら、ゆったりと至福のひとときを過ごすことができます。
 建物内外の見学も可能です(事前問い合わせ必要)。

        
場所静岡県沼津市千本郷林 1907
交通JR沼津駅から車で10分
電話055-954-6613
料金ランチコース 12:00~13:30(LO)3,500円  5,500円(税込)
ディナーコース 18:00~21:00(LO)8,000円  10,000円(税込)
定休日水曜日
情報提供『民家』78号 東京都・正会員 鈴木英二
    

2011年4月18日 (月)

新潟県佐渡市/古民家で音楽と陶芸の宿 御宿「花の木」

Photo_17■築160年の古民家に優しい時間が流れる
古民家大好き人間にとって、ぜひとも泊りたい宿の条件を考えると、まず宿の建物が本物(できれば古民家)で美味な料理と酒。清潔で風情があって接客良し。そして料金がリーズナブル。加えて近辺で古民家町など見学できれば言うことなし。こんな宿はめったにあるものではありませんが、今回紹介する御宿「花の木」はまさにそのような宿です。

Photo_19 「花の木」は佐渡ヶ島南部、小木町宿根木近くにあります。宿根木はその昔廻船業で栄えた町で、新潟県下で唯一重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。宿の主屋は島内畑野小倉地区で嘉永期(1848 ~ 1853年)に建てられた古民家を、海と山に囲まれ自然が満喫できる2,000坪の敷地に1996年移築再生。古民家の中に2室と宿坊離れに5室の、優しい時間が流れるなぜかなつかしい感じのする小さなお宿です。

Photo_18■料理と音楽と陶芸の宿
さて待望の食事は、美人の女将さんがつくる地元佐渡産の四季折々の新鮮な海の幸・山の幸をふんだんに盛り込んだ料理と地酒が堪能できます。料理を盛る器は陶芸作家でもあるご亭主の作。また佐渡を本拠とする音楽集団「鼓こ 童どう」が近くにあり、時たま「花の木」でコンサートも開催されます。小木町には温泉もあり、海ではダイビングや釣りなど海のレジャーも体験できる、まことに滋味豊かな宿なのです。

場所新潟県佐渡市宿根木78-1
交通小木港から車で約 8分 両津港から車で約 60分
電話0259-86-2331  http://www.sado-hananoki.com
営業時間チェックイン15:00 チェックアウト10:00
料金1泊2食付9,450円、11,000円、12,600円(税込)の3コース
※小木町温泉券サービス一人客(一室)の場合1,050円プラス
定休日不定休
情報提供『民家』77号 神奈川県・正会員 長谷川和男

2011年1月12日 (水)

千葉・勝浦/季節の料理と古民家の宿 「竹林奏」

Chikurin_76 ■ 築100余年の古民家を宿へ

千葉県南房総の勝浦市大楠。木立の中の小道を抜けたその先に、竹林に囲まれひっそりと佇む古民家の宿「竹林奏」がある。広々とした庭には芝生が、花壇には季節の草花が植えられ、散策が楽しむことができる。竹のそよぎや小鳥のさえずりに耳を澄ますと、この宿が「竹林奏(ちくりんそう)」と名づけられた理由を感じることができるのではないだろうか。
築100余年の主屋に入ると、大きな梁や柱をそのままに残した高い天井が目に入る。重厚な外観とは反して、開放的でありながら、迫力のある室内となっている。しかし購入時は傷みがひどく、全面的な改修をおこなったそうだ。その際にこだわったことは「できるだけ元通りに復元しつつ、使いやすいように改装する」ことだったとか。長い時を重ねた古色の味わいを漂わせながらも、水廻りやサッシは使いやすく改装されている。

■ 囲炉裏を囲んで食す、旬の炭火焼料理

Chikurin2_76 「竹林奏」の料理は、地元産のアワビや野菜、箸でも切れる和牛のヒレなど厳選した食材を使用し、四季折々に趣向を凝らした炭火焼のコースを堪能することができる。一品ごとに丁寧に提供される料理は、イタリアンシェフの経験者である店主のこだわりと心配りを感じずにはいられない。
こだわりの料理と空間でのおもてなしは1日2組限定。こちらで過ごす時は日常の喧騒から離れた贅沢な時間となることだろう。
「竹林奏」はそんな隠れ家的宿である。

場所千葉県勝浦市大楠791
交通JR勝浦駅より車で約10分
電話0470-77-1375
料金【宿 泊】1室2名で1泊2食 1名 ¥25,000 ~  ※1日2組限定
【ランチ】囲炉裏焼きコース¥2,940 ~
     ※完全予約制(3日前までに要予約)
ランチ営業時間11:30 ~ 15:00
定休日不定休
情報提供『民家』76号 東京都・友の会会員 信本和美

長野・松本市/伊太利亜炭火焼き料理「ドマノマ」

Mise_76 ■ 時間を忘れてくつろげる空間

今日は親しい仲間や家族とご飯食べに行こうか、というときにまっさきに思いつく、お気に入りのお店です。
新しい住宅街にポツンと残された民家。その民家を改修、増築し1999年にOPENしました。
ハーブのお庭を通ると、苔生した瓦屋根の平屋があります。建物へはくぐり戸からお店へ、そして土間の間へ入ります。和紙が貼られた壁、天井を見上げるとトントン葺き(杮こけら葺き)の瓦屋根下地が…。窓も少なく、隠れ家にいる感じ。「昔の家はこれだったよね~」と思い出す。

■ 地元の味、季節の味を楽しむ

地元産の食材、ワイン、炭からも信州に来たことを実感できます。店の前で採ってきたばかりのハーブも食材に華を添えます。
Domanoma_76 メニューは予算に合わせて選ぶことができますが、私のおススメはパスタ(6種類から選べます)・サラダ・ドリンクに、おちょこのデザート5種!! がついたランチセットです。4人で頼むと、20個のいろいろな形のおちょこがお盆に盛られ、見た目も華やかで、季節の味覚がちょこっとずつ楽しめますよ。

場所長野県松本市寿北6-11-1
交通長野自動車道 塩尻北ICから車で約15分
電話0263-85-7337
営業時間11:15 ~ 15:00(Lo 14:00) 18:00 ~ 22:00(Lo 21:00)
※金・土・祝前日は22:30(Lo 21:30)
定休日月曜日(祝日の場合は変更あり)
情報提供『民家』76号 長野県・正会員 本城将道

2010年11月11日 (木)

新潟・柏崎市/古民家宿「光村屋」

2■芭蕉や良寛が愛した地に建つ古民家宿
宿の前に広がる日本海に夕陽が沈むと、浜の漁民はその日の無事を感謝して、手を合わせる。松尾芭蕉の「荒海や佐渡に横たふ天の川」の名吟はここで詠まれ、良寛さんも行脚の末にこの地に住みつき、多くの書や詩歌を残した。海が夕凪になると海面が鏡のようになり、遠く佐渡島の灯りが映し出される。江戸から明治にかけて文人墨客も往来していた北国街道の海沿いに民宿「光村屋」がある。この建物は江戸時代中期に新潟県柏崎市出雲崎町より移築された。お座敷は、12帖間、8帖間、10帖間が隣合っていて、襖を取ると大広間になる昔の造りだ。総ケヤキ構造の部屋は、どっしりとして築150年の歴史を彷彿させる。祖母の時代から民宿を始め、3代目となる現在のご主人が引き継ぎ、台所、水まわりなどを一新した。

■コシヒカリと新鮮な海の幸を提供
宿泊は別棟を使っているが、この広いお座敷で食事を楽しむことができる。農家を営むご主人は新潟名産コシヒカリを自ら育て、野菜、味噌なども自家製。魚介類は目の前の海で獲れた新鮮さが売りだ。大皿に盛られた地魚の活造りは見事である。出雲崎の良寛さんの史跡巡りの折にでも寄ってみてはいかがだろうか。

■ガイド
場所新潟県柏崎市西山町大崎1693
交通JR信越線柏崎駅よりバス出雲崎行きに乗り、約50分長磯にて下車北陸自動車道西山インターより車で15分
電話0257-47-2046
メニユー(昼)コース2,800円〜、(夜)コース 4,800円〜
 ※すべてコース料理、要予約
営業時間11:00〜20:00
宿泊1泊2食8,500円(1人)要予約
定休日年中無休
情報提供『民家』75号(新潟県・友の会会員宮嶋一彦)

千葉・白里町/アートギャラリー「古屋敷」

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■3度目の改装でアートギャラリーに
千葉県JR大網駅から九十九里海岸方面へ車で10分。2000坪という広い敷地の中に建つアートギャラリーは豊かな自然の中にあります。この建物は、築250年余。この家は由緒ある家柄で、隣町の東金御殿に鷹狩りに来ていた徳川家康の鷹狩りの要員として召集されたとの記録が残されています。建物は、昭和初期に養蚕を始めた際に大きな改装を行い、それまで見えていた大きな梁が天井で隠されました。その後、1954年(昭和29年)には、それまでの茅葺き屋根を瓦に葺き替え、3度目に現在のアートギャラリーとして改装されました。

■どっしりとした空間に作品が生きる
ここ大網は、東京駅から特急で約50分、比較的都心からも近く、多くのアーティストが移り住む地域でもあります。オーナーの吉田さんは、その人たちが作品を展示できる場所として、ギャラリーをオープンされました。私が訪ねたときにはもうすでに、年内いっぱい個展のスケジュールで埋まっていました。常設展では、オーナーの奥様の吉田貞子さんの版画作品が壁いっぱいに飾られていました。古民家のどっしりとした空間の中に温かい作品がたくさん飾られていて、建物と芸術作品の両方を楽しむことができる心癒される時間となりました。

■ガイド
場所千葉県山武郡大網白里町下ヶ傍示60
交通JR大網駅から九十九里浜に向かって車で10分
電話0475-72-1328
ギャラリー利用芸術・文化活動を目的とした展覧会、個展、グループ等の利用
利用料照明代など必要経費 ※要相談
入場料無料
営業時間10:00〜17:00 定休日:月曜日
情報提供『民家』75号(千葉県・友の会会員二宮美千代)

2010年9月15日 (水)

東京・立川市/パン工房「ゼルコバ」

Photo_2今ここにあるものを大切に使う
 店の名前の「ゼルコバ」とはケヤキの意味で、店は旧五日市街道のケヤキ並木が残る屋敷林の少し奥にあります。街道からの入り口には木の板に手書きの看板、店までのアプローチは野草が植えられた緑陰の小道が続きます。大正時代の建物は、養蚕のための作業場を店として使えるように少しずつ手を入れながら改装しています。丸太梁のとぶ高い天井は、ほどよい明るさを造り出しています。入り口前のカフェテラスでは、自然の風を感じながら、自家製スープやコーヒーとともにパンを味わうこともできます。

家族で作る無農薬の野菜をパンの材料に
 農業を営むパン好きの奥さんの「自分の畑で採れた野菜を材料にしたパンを作りたい」という夢から始めたこの店は、パンの材料も建物も「今ここにあるものを大切に」という思いが感じられます。働いているスタッフも含めてすべてが自然で素朴な工房です。
 パンは、国産小麦に天然酵母と天然塩を用いて溶岩窯で焼きます。これぞ田舎パンと言える素朴なパンです。皮はパリッ中はモチッとして、噛みしめるほど深い味わい。いろいろな根菜やクルミ、ドライフルーツがたっぷり入ったカンパーニュ(田舎パン)がいちおしです。

■ガイド
場所東京都立川市西砂町5-6-2
交通西武拝島線西武立川駅から徒歩20分。JR昭島駅北口からバス「西砂殿ガ谷」バス停下車。駐車場あり(台数に限りあり)
電話042-560-4544
メニユーふすまパン120円、バケット400円、自家製酵母さんのカンパーニュ(量り売り)、季節のパンほか。ソフトドリンクもあり
営業時間10:00〜17:00(パンは売れ切れ時に終了)
定休日:火曜・水曜・木曜
情報提供『民家』74号(東京都・正会員 新居誠之)

茨城・つくば市/イタリアンレストラン「藤右ェ門 栄」

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■登録有形文化財をイタリアンレストランに
 車窓から筑波山を望む田園風景を楽しみながら、つくばエクスプレスつくば駅から車で10 分ほど行ったところに、旧家「沼尻家住宅」の主屋を改装したイタリアンレストランがある。
 重厚な門をくぐると、目前に寄棟造りの茅葺き屋根が見えてくる。手入れのいき届いた日本庭園が広がり、納屋を改装したパン工房も併設されている。主屋は築180年、江戸時代後期の建築である。外観は大きく変えず、内装は歴史を物語る柱や梁をそのまま残し、風格ある空間を醸し出している。個室は建具で仕切られており、必要に応じて建具を取り外すことも可能で、すべて開放されると40.5 帖にもなる。ここからは四季折々の庭園の風情を楽しむことができる。

■季節感のある地元の新鮮食材に舌鼓
 地元で採れた野菜は季節感を彩り、つくば地鶏や筑波山麓で育成された豚、常陸牛をメインにしたコース料理を堪能できる。和の空間を存分に楽しみながらいただく旬の素材を生かした本格イタリアンには、オーナーの食に対するこだわりとゲストへのもてなしの心が感じられる。ここでは、レストランウェディングも可能で「国の登録文化財での挙式」は印象深く心に残るだろう。日常から離れてゆっくりと味わうランチもおすすめ。大人の時間を過ごすことができる素敵な空間である。

■ガイド
場所茨城県つくば市金田38-1
交通つくばエクスプレスつくば駅から車で約10分
電話029-857-4020
メニユー(昼)コース2,800円〜、(夜)コース 4,800円〜
※すべてコース料理、要予約
営業時間ランチ11:30〜(最終予約受付13:30)
ディナー18:00〜(最終予約受付20:30)
  定休日:月曜日(祭日の場合は火曜日に振り替え) *10歳未満は飲食不可
http://www.touemon.com
情報提供『民家』74号(神奈川県・友の会会員 山田夕湖)

2010年7月 7日 (水)

福島・南会津町/和風レストラン「山王茶屋」

_edited_3■本陣形式を備えた旅人休憩所を移築復元
 東京から車で3 時間、福島県奥会津地方の美しい自然の中に奥会津博物館があります。山王茶屋はこの博物館の一角にあり、下野街道の山王峠の入り口にあった旧山王茶屋を移築復元した茅葺き屋根の建物です。
 下野街道は会津と関東を最短距離で結ぶ重要な交通路であり、旧山王茶屋は難所の山王峠を越す旅人の休泊所として利用されていました。1617 年に創建されましたが、1868 年戊辰戦争で焼き討ちされ、翌年に同じ間取りで再建されたと伝えられています。構造的には、旅人の入り口とは別に武士階級専用の「乗り込み玄関」があるなど、近世宿駅の本陣形式を備えています。
 交通手段の変化により休憩所の役目を終え、2002 年に博物館内に移築され、2009 年10 月からは民家レストランとして見学者に親しまれています。

■南会津の郷土料理を堪能できる食事処
 ここでは民家の雰囲気をそのままに、地元南会津の郷土料理をゆっくりと楽しむことができます。手打ちそば、岩魚の塩焼き、ニシンの山椒漬け、つゆじ、会津地鶏、しんごろう(うるち米を半つきにして竹串に刺し、エゴマを混ぜた味噌を塗って炭火で焼いたもの)、季節の山菜やきのこの料理を堪能できます。こだわりの蒸し釜で炊き上げたご飯は格別です。

■ガイド
場所福島県南会津郡南会津町糸沢字西沢山3692
交通会津鉄道会津山村道場駅より徒歩10分車で東北自動車道西那須野塩原ICより国道400号・121号経由で1時間
電話0241-66-3888
メニユー郷土食御膳1,350円、会津地鶏定食1,200円、天ぷらそば1,000円、
営業時間9:00〜16:00(年中無休)
情報提供『民家』73号(茨城県・友の会会員 原 啓)

広島・広島市/カフェ&花の教室「くらら」

_edited■山里の小径に迷い込んだような空間
 広島市の中心から電車で15 分、今は住宅地に囲まれているが、かつての農家の屋敷が憩いの空間に生まれ変わっている。築100 年の主屋は座敷部分がカフェと茶室に、土間部分がお花の教室に、築80 年の、当時としては珍しい鉄筋コンクリート造の蔵はギャラリーに。そして広い屋敷には山里の小径のような散策路が設けられ、雑木や自然の草花を楽しむことができる。
 オーナーの久留島律子さんは、子どもの頃はこの農家で育った。当時の暮らしの雰囲気を生かして建物と屋敷を残したいと考え、改修・改装をして6 年前に開店した。
 主屋の玄関引き戸を開け、薄暗い、蛇行した土間の通路を見た瞬間に、多くの訪問者は幼少期の原体験が蘇ってくるとう。「雲がたなびくように」という久留島さんのコンセプトでデザインされた室内は、小舞をあらわに見せた壁面、センスのよい伝統の建具、要所に配置された月のマークなど、心地よい。

■地域の文化サロンとして
 カフェは、緑を眺めながら流れる時間をゆっくりと過ごしてもらえればと、コーヒーとケーキセットのみ。
 ギャラリーは、カフェを訪れるお客さんに楽しんでもらうため利用料は格安。陶芸作品や骨董品の展示即売、フラワーアレンジメントの作品展に利用されている。
 花の教室は、久留島さんと娘さんが先生を務める。

■ガイド
場所広島市安佐南区大町東3-16-33
交通JR可部線大町駅またはアストラムライン(モノレール)大町駅より徒歩10分     山陽自動車道広島インターより車で10分
電話082-879-0011
メニユーコーヒー350円、ケーキセット750円
営業時間12:00~17:00
定休日日曜・祝日と月曜日
情報提供『民家』73号 (広島県・正会員 山口裕二)

2010年5月11日 (火)

岩手・西磐井郡/そば処「二足の草鞋 地水庵」

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■自ら集めた古材で店を建てた
 店は、国の特別史跡である中尊寺の近くにある。店主は以前、東京でコンピューター関係の仕事をしていて、そば打ちとの二足の草鞋を履いていた。岩手の山間部から自ら古材を集め、1996年(平成 8年)に再生した。木組みは圧巻、大黒柱は栗材のカンナ削りである。床も厚い栗材を使用している。

■ゆったりとした空間で味わう本物のそばの味もうつうじ
 店主は、平泉町の毛越寺の西側に広い畑を持ち、そばを自家栽培している。収穫したそばは、石抜き(混入している小石や異物を除去する)から皮むきまですべて自らが行っている。さらに脱酸素と呼ばれる作業をした後、冷蔵庫で 1年間保管してから石臼で挽いているため、そば本来が持つおいしさを味わうことができる。注文からそばが運ばれてくるまで、民家の持つゆったりとした空間の中で時が流れる。待った時間の分を、そばの味が十分応えてくれる。
 店主は「日本人は古いものを粗末にし過ぎである。建物も食べ物も一緒。モノを大事にしたい」と話す。
 メニューの表紙には「白いのもそば 黒いのもそば 腹は満たせなくとも時を満たすそば屋でアリタイ」とある。

■ガイド
場所岩手県西磐井郡平泉町平泉衣関1-3
交通中尊寺から4号線沿いに200メートル駅寄り JR東北本線平泉駅から徒歩20分
電話0191-46
メニユー古典ざるそば1,000円(1日10食限定)、 せいろそば900円、野菜の天ぷら800円、 そばぜんざい900円 
営業時間11:00.15:00(そばがなくなり次第閉店)
定休日火・水・祝日
情報提供『民家』72号 友の会会員・相澤征雄

埼玉・越谷市/レストラン&ギャラリー「楽の蔵」

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■外観から想像できない内部の展開
 埼玉県北越谷の住宅街でひときわ目を引く白壁の土蔵。外見は間違いなく「和」だが、入口にはトリコロールがたなびく。そう、ここはフレンチレストランである。
 大戸の向こうは、予想しえない異空間が広がる。高い天井、古材の生命感と、それらをさらに引き立てる白を基調としたインテリア。清々しさと安らぎを感じ、オーダーの前から頬がゆるむこと請け合いだ。

■こだわりの素材がたっぷり
 料理は地元産の有機野菜をふんだんに使っているのが特徴。訪れた日は、越谷産青大豆や、香り高い花田ゴボウのスープが楽しめた。つぼみ菜という新顔野菜の天ぷらは、さっくりした歯ごたえのあと、優しい甘みが口いっぱいに広がる。あらためて春の訪れを感じ、心が和む。
 メインは鹿児島産のイシモチとヒゲダラの甘エビソース添え。素材選びに長崎の漁協へ毎日連絡をとり、空輸で翌日のまないたに上げる徹底ぶり。常連のご婦人が次々に新しい友人を伴って訪れるというのもうなずける。

■あの大作家ゆかりの蔵
 2階はギャラリー。絵画展、手芸展のほか、コンサートも開かれ、澄み切った音色と迫力の音響は、聞く側にも演奏する側も好評だ。ウェルカムドリンク付きで音楽を堪能した後、階下でディナーを、という楽しみ方もできる。1880年(明治 13年)築のこの蔵は、かの藤沢周平が寄宿した山形県鶴岡市の邸宅敷地内から移築された。知れば知るほど興味が尽きない店である。

■ガイド
場所埼玉県越谷市北越谷2-33-9
交通東武伊勢崎線北越谷駅より徒歩8分
電話048-978-8287
メニユー 昼 :パスタコース1,300円,ランチコース/夜:ディナーコース 3,500円
営業時間(昼)11:30~14:00(ラストオーダー) 〈夜〉18:00~.20:30(ラストオーダー)
定休日水曜日、第3火曜日
情報提供『民家』72号 正会員・大澤憲吾

2010年3月 6日 (土)

神奈川・鎌倉市/食事処「なるせ」

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■江戸時代の貴重な茅葺き民家
 くねくねと曲がる古い石垣に沿って行くと、住宅街にただ1軒残された茅葺きの民家が現れる。江戸後期の建物で、先ごろ鎌倉市で 32番目の景観重要建築物に認定された。1869年(明治 2年)築の土蔵もある。
 訪れた日は建物周囲に足場が建ててあり、JMRA会員の工務店による茅葺き補修工事がスタートしたところだった。

■1組だけの贅沢なおもてなし
 店は古民家本来の、大戸、土間、畳の座敷、広縁をそのまま残していて、故郷の親戚の家に訪れたような懐かしさ、居心地の良さをかもし出している。6年前、ご主人の成瀬さんがご自分の生家で営業を始めるにあたり志したのは「気の合った仲間が集い、日本の原風景の中で気分よく過ごしてもらうこと」。そのため昼1席、夜1席の完全予約制をとっている。
 食材は、自家製や近所の農家に分けてもらう野菜と、三浦半島の魚介を主としている。会席コース料理だが、気取らない雰囲気の料理がボリュームたっぷりいただけるので満足感は最高。なお、普通のコースにない料理も幅広く対応できるそうなので、予約時に相談してみてほしい。予約は 10日前までが望ましい。
 浮世を離れ、時間を忘れ、心ゆくまでおいしい料理を楽しむことのできる、稀有な店である。

■ガイド
場所神奈川県鎌倉市手広2-32-1
交通湘南モノレール西鎌倉駅下車徒歩7分           敷地内に駐車スペースあり
電話0467-31-3373(要予約)
メニユー会席コース 昼 3,500円~/夜 4,200円
営業時間12:00~20:00
定休日年中無休
情報提供『民家』71号 正会員・西本佳代子

福島・喜多方市/食事処「志ぐれ亭」

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■100年前に建てられた山地主の民家を移築
 福島県喜多方市、県道 336号線(まほろば街道)と国道 459号線の交差点より北に 1キロ入った里山のふもとに、ふるさと懐石「志ぐれ亭」はある。まほろばとは、神々(もとは山々や自然)や信仰に守られ実り豊かで人々が暮らしやすい住みよい土い意味。そんな場所に西会津の山中にあった築 100年の民家を可能な限りかつての姿を再現して移築再生した。
玄関正面を入るとまず、板の間の大きな囲炉裏が出迎えてくれる。座敷に入って驚くのは大きく立派な三つの神棚。山地主の住まいであったというから当時の繁栄ぶりが想像できる。奥座敷では100年経っているとは思えない素晴らしい白木の建具や梁、欄間が見られる。

■上質な懐石料理と懐かしい郷土料理の味わい
 喜多方の里山には、四季折々さまざまな味覚が実る。それら地元の食材を主役にし、京懐石に郷土料理を織り交ぜた志ぐれ亭の「ふるさと懐石」。素材の持ち味を大切に、調理は手を加えすぎないように心がけている。

■宿泊は1日2組のおもてなし
 1日 2組限定の宿泊も受け付けており、贅沢な漆塗りの風呂に入浴できる。お客様の「ふるさと」になりたい…そう言う女将さんとご主人は「おかえりなさい」と宿泊客を出迎える。客もまた「ただいま」と帰ってくる。まるで実家に帰ってきたような雰囲気だ。ここが、ふるさと「志ぐれ亭」。

■ガイド
場所福島県喜多方市上三宮町吉川字日照畑374-1
交通JR喜多方駅からタクシー10分
電話0241-24-4905(要予約)
メニユー昼御膳(要予約)2,000円.、ふるさと懐石(要予約)3,500円.ほか             *昼限定メニューあり
営業時間昼〉11:00.15:00〈夜〉17:00.22:00(要予約)
定休日火曜日(休日の場合、翌平日へ振り替え)
情報提供『民家』71号 友の会・竹内樹美

2010年1月16日 (土)

福岡・糸島市/食事処「前原古材の森」

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■かつての豪商の出店
 福岡市西部に隣接する糸島市の中心、唐津街道の宿場町・前原宿の町並みにこの店はある。江戸時代に栄えた豪商「綿屋」の出店として呉服屋を営んでいた建物で、解体寸前のところを「地域の貴重な文化財をなくしてはいけない」と、現在の店主が借り受け、喫茶、食事処、イベント会場として4年前に開店した。
 建物は1901 年(明治34 年)の建築で、吹き抜け部分の2階には漆塗りの回廊があり、伝統建築の粋を鑑賞できる。食事を楽しむのは、床の間・書院付きの和室、広い土間スペースだ。
 「町並み散策」のイベントも季節に合わせて企画しており、散策後には江戸時代の料理を再現した「唐津街道御膳」を楽しむという趣向をこらしている。

■地産地消、手作り、本物の味
 食事処としてのコンセプトは、地産地消、手作り、本物の味。
 昼間は喫茶とランチが中心で、約30 種類の食材を使った糸島ランチが1,100 円と値段も手ごろ。すべての料理が手づくりというのもうれしい。
 夜は、玄界灘に近いことから季節の魚介類を取り入れたコース料理や豊富な単品メニュー。団体の予約も受け付けている。

■ガイド
場所福岡県糸島市前原中央3-18-15
交通JR筑肥線筑前前原駅より7~8分 西九州道前原ICより5分
電話092-321-4717
メニユー:〈昼〉町家弁当 1,000円、古材の森ランチ 1,600円ほか〈夜〉磯音2,500円、山海3,000円 (要予約)、いとしま4,000円(要予約)
営業時間昼11:30~14:30(喫茶は17:00まで) 夜18:00~23:00 定休日 水曜日
定休日不定休

2009年11月 4日 (水)

宮城・仙台市/絵本と木のおもちゃの店「横田や」

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■明治初期の商家を絵本屋さんに
仙台で絵本屋といえば横田やさんの名前がでるくらい 有名な店であり、市内にはこの店の絵本やおもちゃで 育った人が大勢います。
店は仙台市の北西部、北山にあります。ここは、伊達 氏が仙台城下の鬼門を守るために建てた古刹 群や輪王寺 等有名な寺が多い門前町です。とはいえ、通りにはい まどきの建物が建ち並んでいますが、この店のある一角 だけが昔ながらの町並みを想像させてくれます。仙台は 第二次大戦の空襲でほとんどが焼けてしまい、戦前の建 物が残っているのは珍しく、たいへん貴重な建物でもあ ります。
■「おはなし会」で児童文化を発信 店主の横田重俊さんは、学生時代に絵本の魅力を知 り、絵本と木のおもちゃの店を始めました。祖父の代ま では醸造業を営み、この建物で味噌や醤油を販売してい たそうです。いまも当時の間取りのまま利用していて、 店内には土間部分や二間続きの部屋の黒い柱、梁、欄 間、床の間、神棚等が見えます。
横田さんご夫妻が店を営んで31年にもなります。お客 様に1冊の本を勧めるにも、まず話を聞いてからするとの こと。「絵本を売ることは人と向き合うこと」と考えて います。「おはなし会」や「赤ちゃん広場」などの活動 にも取り組み、仙台における児童文化の発信基地でもあ ります。ぜひ、のぞいてみてください。

■ガイド
場所宮城県仙台市青葉区北山1-4-7
交通JR 仙台駅から車で15分
電話022-273-3788 URL http://www.yokotaya.net
営業時間昼 10:00~19:00
営業日月曜、金曜、土曜、日曜の営業
情報提供『民家』69号 正会員・伊藤秀明

島根・斐川町/蕎麦処「鶴華 波積屋」

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■雑木林やせせらぎの雰囲気も復元して
 文化元年(1804年)築の古民家を移築保存再生した、「出雲そば」の店です。建物は、「そば庄たまき」の敷地の中にあり、木造建築のたくましさ、豊かさ、また木材の穏やかな表情が、心安らぐ落ち着いた雰囲気にしています。周囲には雑木林、せせらぎを復元しており、つい築
じ地松で有名な典型的散居村集落が残るこの地域の景観を守り、住民の誇りを守り、人々の拠り所を保持したいとの店主の気持ちが伝わってきます。 店内には広い土間や囲炉裏があり、柱には太い地松、ケヤキ、ヒノキ等の樹齢200年相当の大木がふんだんに
使われています。黒くいぶ燻されたスケールの大きな木組みは圧巻で、年月を経た味わいを感じさせます。波積屋とは、庄屋を務めていた5代当主・石田初右衛門の屋号です。
■昔ながらの食材にこだわる
 当初、店主は数奇屋造りを構想していましたが、この民家を発見した瞬間に「よう帰ってきたな」と言う家族、両親の声が聞こえたそうです。そこで昔ながらの食事へのこだわりをコンセプトにしました。木桶の生醤油や出雲の地伝酒などを使い、そばもうどんも手打ちにしました。秋田の稲庭うどんと同じで、油を使わずに延ばしてゆく「手延べ文吉うどん」も継承復元しています。割子そばは松江
藩主・松平ふ不 まい昧公が賞賛したといわれ、波積屋では石臼挽きの自家製粉にこだわり、季節によっては岩ノリなどを使っています。また「そば庄たまき」内の別館には、そばづくりを身近で体験できる「そば道場」もあります。

■ガイド
場所島根県簸川郡斐川町沖洲1680(そば庄たまき内
交通出雲空港より車で5分、JR出雲市駅より車で30分
電話0853-72-0770(要予約)http://www.sobasho-tamaki.jp/
メニユー割子そば 630円/十割そば /そばづくし 2,000円/文吉うどん 600円780円
営業時間昼 11:30~20:00
定休日不定休
情報提供『民家』69号 正会員・江角彰宣

2009年7月16日 (木)

東京・文京区/リストランテ「ラ・バリック」

Labarrique_mise ■ 昭和の民家をイタリアンレストランに

約60年前に造られた鍵の手状の民家を前半分壊してマンションにし、残りを二階屋のままレストランに改造した店である。両引き戸の玄関、床の間、凝った彫刻が施された欄間、長押などを残し、和の座敷に絨毯が敷かれている。照明もほどよく、自宅の応接間にいるような落ち着いた雰囲気を醸し出している。
オーナーの坂田真一郎氏によれば、当家は氏の実家で、1年半前まではご両親が住まわれていたが、段差があって不便ゆえ引っ越されたとのこと。坂田氏は2年間ほど北イタリアでソムリエをしていたが、厨房を担当しているパートナーと東京でイタリアンレストランを開こうと六本木や原宿などを探したが適当な物件がなく、和の雰囲気を残したイタリアンもよかろうと、今に至ったそうである。

■ 食前酒もぜひお試しを

前菜からデザートまで、薄味でありながらも、それぞれしっかりした味である。量は一見少なめだが、食事が進むうち十分満腹し、パン皿が空くと補充をしてくれるので、不満はない。
イタリアンといえばパスタだが、自家製パスタは細、太麺2種、両方ともコシがあり、味も絶品である。食前酒としてオーダーしたグラスワイン(赤)も、色、香りそろったコクのある味わいだった。摘んだ葡萄をいったん干し、「干し葡萄」のようにしてから醸造するとのこと。ぜひ、お試しいただきたい逸品である。

場所東京都文京区水道2-12-2
交通東京メトロ有楽町線江戸川橋駅4番出口より徒歩5分
電話03-3943-4928(要予約)
メニユー昼 2,800円~/夜 6,500円~
営業時間昼 11:30~13:30/夜 18:00~22:00
定休日水曜日(毎週)、火曜日(毎月第二)
情報提供『民家』64号 正会員・菊水大造

2009年7月15日 (水)

長野・下諏訪/ギャラリー・そば処「苔泉亭」

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■ 明治初期の茶室・土蔵を
  再生

苔泉亭 たんせいていは、諏訪大社秋宮の参道歩道拡幅工事に伴って移動することになった旧塚越邸を再生し、2007年秋にオープンした。ここは明治初期に建てられ、昭和には郵便局、その後は医院として利用されていたが、この20年ほどは空家となっていた。
入口部分の書院造りは茶室を含めて改修され、見事な欄間を引き継ぐ「茶室 塚越」、奥部の土蔵二棟はそば処「萩月庵」として再生されている。茶室と土蔵をつなぐ三和土の廊下も「ギャラリー下諏訪」として、地元で活躍している方々の作品が展示する場となっている。また、油絵画家・黒田良夫氏の作品や収集物を展示する「黒田良夫文庫」なども併設されている。
茶室 塚越で、抹茶と菓子がいただける。京風庭園を眺めながら、ゆったりした時間を過ごせることだろう。蕎麦処・萩月庵へは苔泉亭の中庭を抜けて入る。手打ちならではの風味と香りが堪能できる。 苔泉亭のあたりは、中山道、甲州街道が分岐する宿場町として栄えた下諏訪町の面影を残す、風情ある共同温泉や旅館が町屋の形式で並ぶ。参道散策を兼ね、ぜひお立ち寄りいただきたい。

場所長野県諏訪郡下諏訪町大社通り5531-1
交通JR中央本線下諏訪駅から徒歩10分
電話/URL0266-27-8861  http://www.tamariya.org
メニユー茶室 塚越 抹茶(菓子付き)600円/萩月庵 もり蕎麦 1,200円
営業時間11:00~20:00(苔泉亭)
定休日水曜日
情報提供『民家』64号 正会員・関 謙二

2009年7月12日 (日)

沖縄・国頭群/コテージ「CANAC(キャナック)」

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■1世紀以上前の赤瓦民家

築百年以上という貴重な木造赤瓦民家を、1992年に 今帰仁 なきじん大工の手によって 安波 あは集落から移築再生した宿。木材は皮付丸太の垂木までできる限り再利用し、瓦はもともとの古瓦を8割使い、残りは古瓦をオーナーご家族で探し回って集められたそうです。
間取りは、 表座 おもてざと呼ばれる4畳半の和室が2部屋、裏座に4畳半と6畳が2部屋あり、ほかにキッチン、バスルーム、トイレがあります。塀で囲まれた庭の一角には屋根付のバーベキューハウスがあります。風呂はゆっくりと入れるジェットバスになっています。

■アマハジでユンタクを

外観を特徴づける「アマハジ(雨端)」と呼ばれる深い軒下空間があります。この深さと高さの関係は季節ごとの太陽高度に適応しているようです。寒い時期にはいい具合に暖かな日差しが差し込み、逆に暑い時分には影を落として壁面と室内への日射量を低減しています。このアマハジ空間はユンタク(おしゃべり)や軽作業などにちょうどよく、内外の緩やかなつながりを生む半屋外空間になっています。開口部が多いため、影の深い外観とは逆に室内は明るく開放的です。
訪れたのは気温と湿気が高く日射の強い日でしたが、建物内に入ると「ス~ッ」と汗が引きました。木の調湿性と程よい換気によるものでしょう。沖縄の気候に適した、昔ながらの家の環境性能をぜひ確かめてほしいと思います。

場所沖縄県国頭郡本部町字渡久地286-8
交通渡久地十字路から徒歩15分
電話/FAX/URL0980-47-2233  http://www.geocities.jp/canac_okinawa_motobu/
宿泊料金1泊(1棟6名まで同料金)
オフシーズン 26,250円、オンシーズン 31,500円、ハイシーズン 36,750円
営業日年中無休(要予約)
情報提供『民家』62号 友の会会員・下地洋平


2009年7月11日 (土)

埼玉・秩父市/民芸茶房「木亭」

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■ 養蚕農家が写真館、喫茶店へ 再生

もともとは、秩父浦山ダム近くにあった江戸末期か明治時代に建てられた養蚕農家で、1950(昭和25)年に現在の場所へ移築し、写真館兼住宅として使用していました。喫茶店となったのは23年前、2階を改装してスタートしました。
店内は天井がなく、むき出しの黒光りする3.5間の太い松丸太の小屋組みが印象的です。可愛らしい昭和の照明器具やアンチークなランプ、柱時計、桑のたんすが、少し前の時代の温かさを感じさせます。

■ 秩父の文化を発信する場

テーブルでくつろいでいるとき、古い水道の蛇口を発見! ユーモアなところも。壁面には秩父を描いた水彩画が並んでいます。この家で育ったオーナーの塚越康一さんの作品とのことです。
塚越さんは写真家ですが、イギリスのロングラン・オペラ「ミカド」が秩父に関係することを知り、2001年の初演や、その後の再演にも尽力しています。店には秩父に関する書籍コーナーもあり、秩父の文化を伝える場ともなっています。

場所埼玉県秩父市野坂町2-15-26
交通西武秩父線西武秩父駅から徒歩5分
電話/FAX0494-22-7841
メニュー炭火コーヒー 550円、ケーキ 350円、ピラフ・スパゲティ 680円
営業時間10:00~20:00
定休日水曜日(祝日の場合は営業)
情報提供『民家』62号 正会員・北折佳司

2009年7月10日 (金)

東京・八王子/手打ち蕎麦「車屋」

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■ 会津只見地方の曲屋を
  移築

築130年余りの会津只見地方の曲家(旧目黒家住宅)を移築した手打ち蕎麦のお店です
現在の東京・八王子の地に移築されたのは昭和61年、木々に囲まれた建物で、静かな時を過ごすことができます。店内は自然な柔らかな光を取り込んだ明るく落ち着いたたたずまい、高い天井に大きな梁が見えます。座敷とテーブル席があり、磨かれた柱や建具、しつらえられたイス・テーブルなどにも日本文化が感じられます。

■ 体によい食材を

車屋は、甲州街道の宿場町だった八王子市に1972年開業。厳選された食材や水を取り入れた料理はどれも絶品です。食することを大切に考えて東洋・西洋医学の観点から栄養学を学び健康につながる蕎麦作りに取り組んでいる姿勢が伝わってきます。
ダッタンそば、二八そばは、品のあるのど越し。うどんも美味です。おすすめは鴨せいろ。時間と手間をかけてしっかり飼育されたであろう肉厚の鴨と蕎麦、ネギの組み合わせは口にした瞬間から食の喜びを実感できます。
旬の食材を使った季節の料理は日本酒がすすみます。食することに大切なもの、空間と安心ともてなしも味わうことができます。
「次回は何を食べようか」と何度も足を運びたくなるお店です。

場所東京都八王子市越野3-10(多摩ニュータウン内)
交通車 :中央高速「国立府中インター」から約20分
電車:京王相模原線堀之内駅下車、2番バス乗り場「北野行き」または「南大沢行き」、「帝京中高校前」下車
電話0426‐76‐9505  http://www.soba-kurumaya.co.jp/
メニユー茶室 塚越 抹茶(菓子付き)600円/萩月庵 もり蕎麦 1,200円
営業時間11:00~15:00、17:00~20:00
定休日毎水曜日・第三木曜日
情報提供『民家』61号 友の会会員・山田夕湖

2009年7月 9日 (木)

山梨・山梨市/ギャラリー「梨の木畑」

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■ 小森御前ゆかりの主屋を山梨へ

このギャラリーは、山梨市牧丘町西保下の巨峰畑に囲まれた山里にあります。
建物は、奥州志津川の地で41代続く、小森御前(源義経の家臣・鈴木三郎重家の妻)の後裔といわれる旧家が所有していた「梨の木畑屋敷」主屋だったものです。その老朽化による崩壊を危惧した佐藤巧東北大学教授、松本の建築家降旗広信氏の仲立ちで、平成5年、河合家(筆者宅)の屋敷に移築保存されました。
桁行16間、梁行6間半、土間だけで分譲住宅が宅地ごと入ってしまうほど大規模な建物で、梁や桁も直径2尺ほど、長さ8~10間の巨材が随所に架け渡されている逞しく雄大な構造であり、改造も少なく、文化2年上棟時の姿を今に伝えています。

■ 一室を器店に

移築以来、陶芸家の個展や文化的イベントの開催以外は戸締めにしていましたが、昨年から一室を使って器店を開きました。お手頃な「ふだんづかいの名器」を揃えていますので、建物を見学がてら、ぜひお気軽にお立ち寄りください。

場所山梨県山梨市牧丘町西保下1126
電話0553‐35‐4177
交通JR塩山駅からタクシー10分、中央高速勝沼インターから車で25分
品揃美濃、瀬戸、常滑、信楽、笠間の陶器、ほか漆器
営業時間10:00~17:00
定休日毎週木曜日
周辺情報市営鼓川温泉(日帰り入浴)へ車で4分、武田信玄公菩提寺恵林寺へ車で5分、
重文甘草屋敷へ車で10分、近在に甲州切妻造り古民家群あり
情報提供『民家』61号 友の会会員・河合嘉徳

2009年7月 8日 (水)

京都・中京区/おかき処「蕪村庵」

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■ 歴史を感じる粋な京町家

江戸後期の京町家。町家には珍しく、間口4間の 表屋造 おもてやづくり の建物です。店の形・間取りから見て、織物屋さんの仕事場だったようです。
株式会社「味蔵や」さんが、6年前にこの店を改修され、本店を構えました。「蕪村庵」は、「味蔵や」さんが、蕪村が生まれた大阪都島の毛馬で発祥したことから名づけられています。
いまでも、カド脇に 友待 ともまち が残り、ミセの はほぼ建築当時のままに復元されています。
一方、通り庭・ダイドコは、吹き抜けを有効利用しつつ、現代風に素敵にリフォームされています。聚楽壁と黒塗の構造材が、おかきのおいしさを一層ひきたてているようです。

■ 与謝蕪村にちなんだおかき

蕪村庵さんのおかきは絶品。与謝蕪村の句が持つ奥深い世界が、おかきという小さな食材に凝縮されています。
特にお勧めなのが、「丹波の黒豆おかき」。丹波産の大粒黒豆と風味のよい佐賀県産の餅米がシンプルで飽きのこないおいしさを作りだしています。

場所京都市中京区六角通烏丸東入堂之前町234
電話075-213-7888
交通阪急電車烏丸駅または市営地下鉄四条駅下車 徒歩約5分
メニュー丹波の黒豆おかき 714円〜、揚げせんべ い525円〜、あられ蕪村春秋 714円〜、
七彩焼きつらね詩 525円〜、さくらえびせんべい 714円〜、四万十川のりせんべい525円〜 他
営業時間10:00〜18:00
定休日年中無休(年末年始・夏期休暇を除く)
情報提供『民家』60号 友の会会員・荒木 勇

2009年7月 7日 (火)

秋田・横手市/中華そば「三角そばや本店」

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■ 山形県金山町の町屋を移築再生

横手市は小正月の伝統行事「かまくら」で全国的に知られていますが、当地独特の中華そばも名物です。「横手焼きそば」(ソース焼きそば)が町おこしの一翼を担っていますし、市内十文字町の「十文字ラーメン」も観光資源として近年注目されています。
その十文字ラーメン店の一軒、「三角そばや本店」が昨年、民家を移築再生して新装開店しました。
元の民家はお隣山形県の金山町にあった築100年の町家。間取りなど原型を生かしています。椅子席の部分は吹き抜けになっていて、広々として気持ちがいい。ラーメンが和風仕立てなので、和の伝統的な空間が似合っています。

■ 細打ち手もみ麺に魚介系のさっぱりスープ

十文字ラーメンはさっぱりしたスープが特徴で、陸奥湾特産の焼き干しをベースにしています。しょうゆ味で、原料は厳選された丸大豆とのこと。
トッピングのチャーシューも、こだわりの十文字特産の栗駒美味豚。麩が載っているのも特徴です。 麺は、低温熟成・無かん水の細打ち手もみ麺。
全体にさっぱりしているから、お酒を飲んだ後のシメにはありがたい。しかし、こってりしたラーメンに慣れている人には、少々物足りないかもしれません。
60席ある店なのに、メニューは中華そば(ラーメン)のみ。ただし、畳の部屋もあるので宴会も可能で、予約注文すれば料理も作ってくれます。
そばは全国に宅配もしています。

場所秋田県横手市十文字町梨木字羽場下 63-1
電話0182-42-1360
交通湯沢横手道路十文字インターを降りてすぐ
メニュー中華そば650円、冷やし中華そば750円(夏季のみ)
営業時間11:00~19:30
定休日月曜日(祝祭日の場合は翌日)
情報提供『民家』60号 正会員・岡田 登

2009年7月 6日 (月)

長野・安曇野市/花・林・桃・源・郷「蔵久 」

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■ 安曇野の酒蔵を改修

1810年(文化7年)に建てられ、1986年(昭和61年)まで造り酒屋「飯野屋」を営んでいた。2005年6月、主屋の一部を改修し、 花林糖 かりんとう菓子の売店および飲食空間としてオープンした。この主家には8代目当主飯田さんの居住部分もある。
2005年秋、この飯田家住宅は国の“登録有形文化財”に指定された。 本棟 ほんむね造りの主屋を中心に、七つの蔵が立ち並び、それを屋敷林が取り囲む。安曇野に見られる典型的な姿で、素晴らしい景観を備えている。
1976年に公開の映画「犬神家の一族」の一作目ロケが、この飯田家住宅で行われた。ロケ地訪問に興味のある方は、一度訪れてみる価値がある。

■ 新しい食文化の発信地として

蔵久 くらきゅう」は、松本市内にある花林糖菓子一筋の老舗、久星食品㈱が経営している。民家と菓子メーカーのコラボレーションで、伝統に足を着け、未来を見つめた食文化を全国に発信する拠点にしたいと努力している。
2006年、豊かな地域資産を活かし、独創的で良質な商品やサービスを創出・提供しているブランドとして “信州ブランドアワード2006特別賞”に選定されている。昨年秋には、蔵久エキュート立川店(東京)をオープンした。

場所長野県安曇野市豊科高家 604
電話0263-73-0170
URLhttp://www.kurakyu.jp/
交通長野自動車道豊科ICより車で7分
商品源作花林糖(16個入)1,050円、揚げたて花林糖(100g)300円
食事メニュー田舎そば 850円、黒糖カレー 680円
営業時間10:00~17:00
定休日4~10月は無休、11~3月は水曜日
情報提供『民家』59号 友の会会員・北村耕一

2009年7月 5日 (日)

東京・文京区/串揚げ処「はん亭」

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■ 下町の三階建て商家

東京都23区内でふらりと町歩きなぞ……といった気分のときに、真っ先に足が向くのが、「はん亭」のある根津界隈だろう。近隣も含めて「谷根千」(谷中・根津・千駄木)として紹介されることも多い。丹精された鉢植えが並ぶ二階家の小路、個人商店の年季の入った看板などをたどるうちに、暮らしがもっとゆっくりしていた時代に入り込んでいく。
はん亭はもともと、明治42年に下駄の瓜皮を商う店として建てられ、大正期に蔵と三階建て部分が増築されて現在の姿になった。関東大震災、東京大空襲の戦災もくぐり抜けた、東京では数少ない木造三階建ての商家である。

■ 吟味した素材をたっぷりの野菜で

昭和40年代の半ば、先代店主の高須治雄さんは、運送会社の独身寮として使われていたこの建物を偶然、通りがかりに見た。相当傷んでいたが、根津の町の財産としてなんとか残したいと思った治雄さんはこれを譲り受け、串揚げを供するはん亭として蘇らせた。
現在は、二代目の徹さんが店を守る。はん亭の串揚げは、吟味した肉や魚介、野菜、珍味など三十余種。たっぷりの新鮮な生野菜が揚げの味を引き立てる。建物ともども、先代から引き継いだスタイルはいまも変わらない。父子二代にわたる熱い思いが、いまや根津のランドマークとなった下町の三階家・はん亭を支えている。

場所東京都文京区根津 2-12-15
電話03-3828-1440
URLhttp://www.hantei.co.jp/
交通東京メトロ千代田線根津駅不忍池方面出口から1分
メニュー最初のセット<一の膳>(串揚げ6種に酒菜2品)  2,835円
はん亭<昼膳> 3,500円
営業時間11:30〜15:00、17:00〜22:00
定休日月曜日(祝祭日の場合は翌日)
情報提供『民家』59号 正会員・杉浦干城

2009年7月 4日 (土)

長野・中条村/里山の宿「やきもち家」

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■ 浮世を忘れる茅葺きの宿

長野駅から西へ車で30分、中条村標高700m付近を目指し山道を登ると、山裾にひときわ大きな茅葺き屋根の宿が見えてきます。ここが、やきもち家です。現在でも約360棟の伝統的な民家が残る村の中心部から移築したものです。集落の屋根の大半は茅葺きから鉄板へと変わっていますが、懐かしい山里の風景がこの集落には残っています。
近くには昔の木造校舎を利用した音楽堂や水車小屋、神社などもあり、のんびりとした山道散策も楽しむことができます。
宿の前を通る県道を西に向うと、北アルプスの山々が眼前に開け、山岳道路のような感覚に陥ります。
夜ともなれば、囲炉裏で地酒を飲むもよし、露天風呂から満天の星空を見るもよし、浮世をしばし忘れさせてくれる茅葺き民家の宿です。

■ 囲炉裏で食べる「やきもち」

 

やきもち家は昔なつかしい引き戸から入ります。「やきもち」は「おやき」とも呼ばれ、中条村をはじめこの地方一帯で昔からある郷土食です。小麦粉の皮に季節の野菜を入れ、囲炉裏で蒸し焼きにして食べます。焼きたてのあつあつ、ほくほくをいただくのは、また格別です。

場所長野県上水内郡中条村大字日下野5286番地
電話026-267-2641
交通JR長野駅から川中島バス、初引または高府行きで中条下車(送迎あり)
メニュー「手打ぶっ込みうどん」550円、「やきもち」1個150円、「やきもち体験」1人1,000円(要予約)
宿泊料金1人1泊2食(税込み)6,825円~7,875円  日帰り入浴/大人500円・子ども400円       (10:00~19:00、水曜日定休)
情報提供『民家』58号 正会員・峯村 洋


2009年7月 3日 (金)

宮城・登米市/うなぎ割烹「東海亭」

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■ 山形の米蔵を移築して店舗に

「東海亭」は登米(とめ)市登米(とよま)町の北上川畔にあり、1875(明治8)年創業の老舗です。蔵を移築再生して2006年10月に新装開店しました。外観は、漆喰壁の白と杉板張りの黒のコントラストが美しく、どっしりとした構え。5×7.5間の2階建てで、中に入れば、蔵ならではの豊富な木使いです。ケヤキの大黒柱1尺2寸角、3尺間隔に栗材の柱が立ち、天井の梁も迫力があります。歴史と今日の合作とも言うべき仕事振りに感嘆させられます。元は山形県鶴岡市にあった米蔵で、明治の建築。ご主人の「登米の街並みを大切にしたい」という願いで、場所を移して新しい役目を担うことになりました。
2階の客間からは雄大な北上川の風景が眺められます。とりわけ春の河畔の桜は絶景です。


■ 柔らかくふっくらとしておいしい

身の厚いうなぎを白焼きにして蒸し、歴史を重ねた秘伝のタレで香ばしく焼き上げます。柔らかくふっくらとしておいしい。7~10月の期間限定で、北上川の天然うなぎを食べることもできます。(前日までに要予約)

場所宮城県登米市登米町寺池九日町
電話0220-52-2023
交通JR仙台駅から東日本急行高速バス「とよま総合支所行」で1時間35分。
「とよま明治村」下車、徒歩7分
メニューおすすめは「うなぎ2段重ね」2700円、天然うなぎのうな重セット3000円
営業時間11~14時、17~19時
定休日第1、3月曜日(祝日の場合は翌日)
周辺情報登米町は伊達一門の城下町で、明治の一時期、旧水沢県の県庁が置かれていたため、町内には武家屋敷、旧水沢県庁、旧登米警察署など多くの重要文化遺産があり、「みやぎの明治村」と呼ばれています。なかでも旧登米高等尋常小学校校舎(現在、教育資料館)は明治期の擬洋風建築で、和洋がよく調和し、明治の学校建築の特色を残していることで全国的に知られています。
情報提供『民家』58号 正会員・佐藤丈美

2009年7月 2日 (木)

奈良・奈良市/蚊帳・蚊帳地製品「吉田蚊帳店」

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■ 奈良町に残る町家の蚊帳店

吉田蚊帳店は古い町家をたくさん保存する奈良町(昔は元興寺境内であった場所につくられた町)の一角にある。写真の主屋は築100年余り、店に使われている蔵は130年ほどのもの。創業は大正10年というから、主屋ができてしばらく経って蚊帳製造を始められたのでしょう。ご主人の吉田氏は三代目とのこと。
蚊帳にはその世話になった人も多いでしょうが、殺虫剤やコンクリートの家や輸入物におされてだんだん減ってしまったそうです。しかし、この何年かはその良さが見直されて、また盛り返しているとのこと。殺虫剤の毒は体に悪さをするし、輸入物は合繊でできていて暑いし、なんといっても蚊帳には風情があります。

■ 蚊帳地を使ったのれんも販売

日本の蚊帳は、素材が麻なので通気性がよく、吸湿性にも優れ、肌触りも見た目も気持ちがよい。そこで蚊帳地を使って、のれん・ふきん・テーブルマットなど新製品を開発しています。販売もインターネットという新ルートを開発してやっているとのこと(ナラマチドットコムによる)。古き皮袋に新しき酒ならぬ、新しき皮袋に古き良き酒というところでしょうか。これ からも100年、200年と続けてほしい店です。

場所奈良市芝新屋町1番地
交通近鉄奈良駅より徒歩10分
電話0742-23-3381
価格ふきん:260円、のれん:5460円
営業時間9:00〜16:00
定休日なし(元旦をのぞき無休)
情報提供『民家』55号 正会員・二宮倫行)

2009年7月 1日 (水)

佐賀・鹿島市/そば処「西の蔵」

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■ 重伝建地区の酒蔵通りの一角に

鹿島市といえば、全国的に知られているのがガタリンピック。有明海に面し、その泥干潟で運動会を始めたのがそもそものスタート。今では海外からも参加者があり、盛大に行われている。
この町の中央を、長崎街道の一つ、多良海道が通っていて、その肥前浜宿の街並みが昨年重要伝統的建造物群保存地区に指定された。保存地区は二つあり、一方は白壁土蔵の酒蔵通り、もう一方が茅葺き町家の街並みだ。
そば処があるのは酒蔵通りのほうの一角で、酒蔵を改造して店舗にしている。

■全国を食べ歩いて開店に

九州で麺類といえば、うどんかチャンポンを思い浮かべるが、そばの人気はどうだろうか。しかし、この店のそばのうまさは抜群である。地方ではふつう「地場産のそば粉使用」を売り物にしているが、ここは全国区のうまさである。
ご主人は役場勤めをしていたが、そばを作りたくて退職、全国のそばを食べ歩いて研究し、開店にこぎつけたという本格派。味が全国区であるのは当然だ。
そば粉は鹿児島県産から北海道産まで、季節によって産地とその割合を変えて味を調整している。石臼挽きの自家製粉だから、そうした調整ができる。たれはかつお節とうるめで出し汁をとり添加物なし。「食材は可能な限り無農薬、有機栽培のものを」の心意気である。
重伝建地区の蔵を見学した後に、絶品のそばをどうぞ。

場所佐賀県鹿島市浜町中町2751
電話0954-63-1013
交通JR長崎本線肥前浜駅から徒歩5分
メニューもりそば 620円、舟もりそば 1200円、つけとろろそば 800円、地鶏そば 950円
営業時間11:30~14:00
定休日月曜日、火曜日
情報提供『民家』55号 正会員・清沢和弘