民家の店・宿

2015年10月14日 (水)

高知/町家カフェ 「道 —タオ—」

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▪️伊能忠敬も泊まった脇本陣をセルフ再生

高知県中央部のやや東寄り、海沿いに開けた赤岡は幕末の浮世絵師、弘瀬金蔵の屏風絵を飾る「絵金祭り」や、日本酒の大杯で早飲みを競う「どろめ祭り」などで知られ、早くからまちづくりにも取り組んできた町です。江戸時代には参勤交代のための本陣がおかれるとともに商都として栄え、旧街道沿いには特徴的な何段もの水切り瓦を備えた、土佐漆喰塗の町家が数多く残っています。

2 なかでも脇本陣をつとめた「長木屋」は蝋燭商として栄え、文化5(1808)年には幕府天文方伊能忠敬の一行が訪れたことが知られています。この築200 年を超える“つし”2階建て瓦葺きの建物を店主がセルフビルドで内装を改修し、町家カフェを開業するに至ったのは、学生時代に、赤岡の空き家を活用できないか、という提案を受け、卒業研究として取り組んだ(2002年)のがきっかけとのこと。今でこそ、空き家の再生も全国で広く取り組まれていますが、当時としてはかなり先駆的な試みだったのではないでしょうか。今では赤岡ファンが集う店としてすっかり馴染み、県内外に広く知られています。

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▪️よそにはない味、道-タオ-カレーでのんびり
おすすめはなんといっても道-タオ-カレー。インドカレーをベースに店主が工夫を重ねた、辛くて甘いさらりとしたスープっぽいカレーは、サラダと混ぜ合わせて味の変化を楽しむのが通の食べ方。カレー好きはもちろん、カレーの嫌いな人にも「おいしい」と言わせる、まさによそにはない独特のカレーは必食です。ほかにも高知名産のゆずを使ったドリンクなども要チェック。200 年前の歴史を静かに伝える店内で食後のお茶をいただきながら、往時に思いを馳せるもよし、店を訪れる地元のお客さんたちと、まちづくり談義に花をさかせるもよし、赤岡でのんびり過ごす一日を心ゆくまでお楽しみください。なお、不定休につき営業日などは「フェイスブック」で確認するか電話で問い合わせることをお勧めします。

場所 高知県香南市赤岡町448-1
交通 土佐くろしお鉄道赤岡駅より徒歩5分
問い合せ 電話:090-1176-5545
メニュー 道–タオ–カレー750円~、ドリンク400円~
facebook http://www.facebook.com/taotaotao2002
定休日 不定期

(取材:高知県・正会員 公文大輔)

2012年4月 9日 (月)

高知/再生古民家の喫茶と宿「カフェスペース蔵空間 茶館」

Dsc_6547■土佐漆喰と石塀が見事な美しい景観の町
 高知県室戸市に重要伝統的建造物群保存地区の指定(1997年)を受けた吉良川という町があります。吉良川は古くから農林業が盛んで近隣の豊富な山林資源を基盤に、木材や良質な備長炭の生産及び集積地として明治期から大正年間に大きく
発展しました。今日の町並みもその頃形成されています。
 町は、旧道に面してこの地方独特の水切り瓦の小さな庇をつけた白壁の蔵や、同じ形の格子が使われた美しい景観が続きます。白壁の土佐漆喰は地灰にネズサを加え水ごねしたもので、糊を含まないため塗り付けた後、水に濡れても戻りがなく厚塗りが可能できめが細かいなどの特徴があります。山側の路地に入ると「いしぐろ」と呼ばれる石垣塀が民家の周辺に築かれています。土佐漆喰・水切り瓦と同じく、台風などの強い風雨から家を守るためのこの地独特の見事な造作です。

Dsc_6398_2■旧家の米蔵を再生した安らぎの空間
 この町並みに残る代表的な伝統的民家の1つで明治期に建造された旧家の米蔵を再生した「カフェスペース蔵空間 茶館」があります。
 約300 坪の短冊形敷地に正門・店と米蔵が道に面して建ち、前庭をはさみ母屋と釜屋(台所)中庭を囲んで離れなどが別棟で配置されています。この建物、実は16 年間空き家で放置されていたのですが平成11年に改修再生され甦りました。伝統的家屋の良さを失うことなく、現当主の感性を随所に生かしながらモダンに仕上げられています。ここで土佐備長炭を使用した直火焙煎珈琲や手作りケー
キ、用途に応じた炭関連製品が販売されています。またこの建物はお遍路宿としても活用されており一般客も宿泊可能です。音楽家でもある素敵なご夫婦の心のこもったもてなしは、素晴らしい家屋とも相まって、極上の旅のひと時となることでしょう。

場所高知県室戸市吉良川町東町
交通 バス:高知市内より県交通バスまたは土佐電鉄バス(2時間)
飛行機:高知空港より土佐電鉄バス室戸岬・甲浦行直通便
マイカー:高知市内より高知自動車道路→南国IC→国道55号→室戸岬方面へ約1時間50分。
電話・FAX0887-25-3700
料金 宿泊お遍路7,500円~ 8,000円(離れ利用)、 一般客8,500円(いずれも1泊2食付)
情報提供『民家』81号 取材:神奈川県・正会員 長谷川和男