民家の店・宿

2016年4月 1日 (金)

滋賀/「北国街道の宿 紗蔵」

Photo_15 ■浜ちりめんで賑わった街道沿いの宿
 滋賀県長浜市は陸上、湖上交通の要衝として栄えた町。北陸と近畿を結んだ北国街道沿いの建物には、今も舟板塀や虫籠窓が残り、往時をしのばせます。
 築約150 年とされる「北国街道の宿紗蔵」はその名のとおり同街道沿いの宿。かつて周辺一帯は繊維業が盛んで、もともとこの建物は桑畑の肥料に使われるニシンの問屋でした。約50 年前ちりめん問屋に譲られ、その後2004 年に宿として生まれ変わっています。

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3_3 主屋は間口から奥に細長い典型的な商家の造り。屋根や床は補修を要したものの、基礎、梁組、柱はほとんどそのままです。
 1階廊下は重厚な梁が幾重にもわたって続き、天井が廊下の長さを強調しているものの、2階に上がると一転、小屋組が露わな明るい空間にはっとさせられます。さらに「紅梅の間」に入れば、ハイカラな初代当主の女性が“アールヌーボー”を取り入れたという竿縁天井が、軒に向かって優美なカーブを描きます。

■蔵を生かした居心地のよい空間
 極め付けは蔵を使った2棟の客室。1階が居間で2階が寝室です。私は昨年の夏に泊まったのですが、夜は静かでかつ涼しく、改めて蔵の居心地の良さに驚かされました。
 蔵2棟を含めたL字配置の内側は、3 本の多た 行ぎょう松しょうが立つ中庭。食堂の大きな窓から外を眺め、名物の鯖そうめんや近江牛、赤こんにゃくに舌鼓を打てば、旅の疲れも吹き飛びます。
 人気観光地の黒壁スクエア、慶雲館に近く、JR 長浜駅も徒歩圏内。京都、大津を絡めた旅にもフィットします。

場所 滋賀県長浜市朝日町35-2
交通  JR北陸本線長浜駅から南へ650m
問合 電話:0749-63-3911
定員 17名(5室。食事付の場合は定員14名まで)
時間 チェックイン15:00 チェックアウト10:00
料金 1泊2食付 大人10,500円~(子供6~12歳は大人の
70%、3~6歳の未就学児は食事なし1,000円) 要予約

(取材:山梨県・正会員 大澤憲吾)

2014年7月 4日 (金)

滋賀/料亭 「豆信」

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■歴史ある古い町なみ「大津百町」のなかにある老舗料亭
旧東海道五十三次の京へ上る最後の宿場として、また、琵琶湖の水運を利用した港として大いに栄えた宿場町大津は、「大津百ひゃく町ちょう」といわれるほどの繁栄ぶりであった。
「大津百町」の中心市街地には、今でもあちらこちらにその面影が残っており、現在でも1500軒近い町家が残っている。近年、大きく変わりつつある「大津百町」を守り、残していこうとする活動が盛んである。
そのような歴史ある「大津百町」のなかにある料亭「豆信」は、外観室内とも随所に当時の面影を残している。国の登録有形文化財にも登録されており、大津では大変希少価値の高い建物である。

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■百年建築で味わう会席料理
 「豆信」は、大正期に料亭旅館として建てられたが、現在は、旅館業を廃業し、料亭のみで営業している。鯉やニゴロブナ、鮎などの湖魚を中心とした会席料理を、静寂が漂う坪庭が眺められる座敷で、ゆっくりとくつろいで味わうことができる。
高級料亭として、昼夜ともに1日2組限り(1階と2階各1組)の予約制にしている。特に2階は、おのおのに立派な床の間をもつ二間続きの大広間(22畳)であるにもかかわらず、ここには、昼1組、夜1組の客しか入れないとのこと。
「豆信」でいただく会席料理は、器とともに絶品であるが、なかでもとくに近江琵琶湖の味を堪能させてくれるのが、味噌汁仕立ての鮒ずしである。鮒ずし独特の匂いが苦手な人は多いが、味噌汁仕立てにすることにより、ほどよくその匂いは抑えられている。湖国近江を訪れたら、ぜひ味わっていただきたい一品である。

場所 滋賀県大津市長等3丁目3 –26
交通 京阪電車石山坂本線三井寺駅から徒歩3分
問い合せ 電話:077-524-2410
料金 会席:5,400円~ 松花堂弁当 :3,780円~
営業時間 11:00~ 21:00(要予約)
定休日 不定休  不定休)(8月14日~16日休 12月28日~翌年1月4日休

(取材:滋賀県・友の会会員 道本裕忠)

2013年4月26日 (金)

滋賀/隠れ家レストラン「秀明庵」

1_2■田舎のおばあちゃんち4 に帰った気分で
 伝統的建造物群保存地区に選定されている滋賀県東近江市五個荘金堂地区は、琵琶湖の東、湖東平野のほぼ中央にあり、近江商人発祥の地として知られる。
 この地に接して、レストラン「秀明庵」がある。築160 年、瓦葺の庇をめぐらせた入母屋造りの茅葺きの古民家を再生して、平成14 年9月にレストランとして開業。
 元の姿がまったく見えない「再生レストラン」が多く見られるなかにあって、このレストランはキッチン廻りだけは手を加えたが、各部屋は元のままを客室として使用している。だから「田舎のおばあちゃんち」に帰ってきたような気分を味わえる。

2_3■「和の中の洋」、「古の中の今」を味わう
 さて、田んぼや畑の間の迷路のような小路をたどって店を訪ねてみよう。大戸口の腰高障子を開けると三和土の土間。式台を上がると10畳の広間、その奥の部屋は無国籍な雰囲気がただようテーブル席。広間前の広縁を通って次の間に進むと、そこは庭に面したカップルシート席。広縁を突き当たった元茶室がもっとも古い姿をとどめていて、居心地がよい。赤松や棕櫚の床柱、曲がり木の落し掛け、縦繁障子……、しつらえすべてから、かつての住人の趣味のよさがうかがえる。
3_2 流れるジャズを聞きながら、朱塗りの丸卓の前に座って庭を眺めながら味わうのは「洋魂和才」をテーマにした欧風料理。オーナーとスタッフで考えた「和の中の洋」、「古の中の今」のアイデアに、ひと時のやすらぎがもたらされる。そしてこの建物が「民家再生」の意味を問い直させてくれる。

場所 滋賀県東近江市五個荘川並町713 
交通 JR能登川駅より近江鉄道バス八日市行き「生き活き館」バス停下車、徒歩7分
名神高速竜王ICから30 分、八日市IC から20 分
問い合せ電話: 0748-48-6193(FAX共)
E-mail:shumeian@world.ocn.ne.jp 
料金 昼2,450円~ 夜3,800円~
営業時間 昼11:00~14:30 夜17:00~(夜は完全予約制)
定休日月曜日(祝祭日の場合は営業、翌日火曜日休み)
情報提供『民家』85号 取材・写真 奈良県・友の会会員 南島順子