民家の店・宿

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2011年10月15日 (土)

長野県/とんかつ屋「麓庵かつ玄」

1■本棟造りの民家で味わう贅沢でリーズナブルな料理
 松本から国道19号を北上、奈良井川の流れを横目に車のハンドルを握っていると、道路に控えめな「とんかつ屋かつ玄」の看板が見えてくる。慌ててハンドルを右に切り駐車場に入ると、緑濃い山の麓に「麓ふもと庵あん かつ玄」はあった。
 長野県中部地方に見られる本棟造りの大きな古民家は、江戸時代末期、今から170年ほど前に建てられた。屋根は板金に変わったものの全体の面影は当時のままだ。
 小さなくぐり戸から中に入ると、目前に直径600mmはあろうかと思われる黒々とした丸太の小屋組みが現れる。ホーっとため息をついていると「こちらへどうぞ」と座敷へ案内される。座った席の視線の先には、美しいけれど主張しすぎない日本庭園が広がっていた。注文したのは「夏野菜のカレー」。昼の食事にしては贅沢なほどの質と量だがお値段は1,500円とリーズナブル。大満足の一品だ。

■きめ細やかな空間の演出
2 店長にお話を伺った。とてもシャイで繊細そうな青年は、「開店して18年、お客様にとってここが隠れ家的な癒しの空間になるように心配り
をしている」という。ファストフードが横行する現代だが、スローフードを季節感と共にじっくり味わっていただきたいと、空間の演出も実にひっそりときめ細やかだ。季節の花も店長自らが生け、壁に飾られた品々も男性オーナーのセレクトによるという。
 現代社会における古民家再生のあり方が、ここに一つの良い例として存在していると感じた。

場所長野県松本市島内7717
交通長野自動車道豊科インターから車で15分、梓川スマートインターから車で10分
電話 0263-33-1129
定休日年中無休
情報提供『民家』79号 取材:長野県・友の会会員 舛田宣彦