民家の店・宿

 
情報誌『民家』の「民家の店、民家の宿」シリーズからの抜粋です。

2017年1月 1日 (日)

北海道/カフェショップ「shiro」

Shiro1▪️木造倉庫の小屋組みを再利用した店舗
 北海道の自然素材を厳選して配合した化粧品を製造販売する、ローレルのカフェとショップです。砂川市という小さな町が発祥ですが、評判を得て全国に店舗展開し、ロンドンにも出店しています。現在、東京の表参道に本社があります。しかし、発祥地をものづくりの拠点とする姿勢は変わっていません。
 その地元に新しい業態としてカフェを併設したショップ「shiro」をつくることになり、地元で民家再生をしている私の会社に依頼がありました。外観からはわかりませんが、現地に建っていた古い木造倉庫のトラス小屋組みを再利用しています。古くてよい素材を大切に再利用しながら、現代的センスでシンプルかつ機能的な気持ちのよい空間をつくり出しています。この建物は、オーナーのセンスと商品の特長を最大限に引き出す、よい器になっているようです。

Shiro2▪️カフェと化粧品のショップでゆったりと過ごす
 吹抜けの大空間を満喫できる1階のカフェでは、スキンケア化粧品に使用している素材を使った、おしゃれでおいしい料理がいっぱい。おすすめは、なんと言ってもパンケーキで、オリジナルオーガニックコーヒーとの相性が抜群です。
小屋組みが間近に見える2階では、厳選した旬の新鮮野菜や加工品、そして「shiro」のスキンケア化粧品、フレグランスを販売しています。

場所 北海道砂川市西1条南5丁目1-4
交通 JR砂川駅から徒歩約12分
電話 0125-52-9646
メニュー ルバーブとチーズクリームパンケーキ1,100円、
野菜ゴロゴロ焼きカレー1,100円、オーガニックブレンドコーヒー600円
(すべて税抜き)など
営業時間 10:00~20:00(ラストオーダー19:00)
定休日 木曜日(祝日の場合は翌日)

(取材:北海道・正会員 武部豊樹)

山梨/レストラン 「ラ・メゾン・アンシェンヌ」

1▪️富士山を眺めながら古民家でフレンチ
日本の里山100 選にも選ばれたのどかな里山、山梨市牧丘町。この牧丘町は巨峰の一大産地でもあります。この巨峰畑に囲まれ、前方に富士の山を望む風光明媚な所に、古民家を活用した素敵なフランス料理店「ラ・メゾン・アンシェンヌ LaMaison Ancienne (古い家)」はあります。
この古民家はもともと富士の麓に在った江戸中期の古民家で、2007(平成19)年に当地に移築再生されたもの。当初は住居として使われてきたのですが、より多くの人びとに古民家の良さを体感してもらいたいという所有者の願いと、たまたま持ち主の娘婿氏がフレンチのシェフであったこともあり、レストランを開業することになりました。

2▪️地産地消&産直の旬の食材で
  料理は、地元の生産者から届く食材やワインに、焼津港から直送される鮮魚など、旬の食材を生かした美味でオシャレなフレンチ。古民家の落ち着いた空間と、ゆったりとした時間が流れる中で、シェフ夫妻のもてなしでいただく料理は、なんとも贅沢で、格別です。
 山梨には70 余軒ものワイナリーがあり、さまざまなワインが楽しめます。また、フルーツ王国ともいわれるように、葡萄をはじめサクランボ、桃、ネクタリン、コロ柿と四季を通して果物が楽しめます。いろいろな楽しみとともに、古民家での口福!のひとときを満喫されてはいかがでしょうか。

場所 山梨県山梨市牧丘町倉科5662-5
交通 最寄り駅JR中央線塩山駅、もしくは山梨市駅よ り車にて15分。
中央高速道勝沼ICより車25分。
電話 0553-88-9152
メニュー 旬の食材を生かし日々変化するメニューを提供するため、
ランチ・ディナーともに「おまかせ1コース」のみ。
ランチ3,000円、ディナー5,000円。基本、予約制。
営業時間 ランチ11:30~14:00,ディナー17:30~20:30
営業日 定休日 火曜日
ホームページ www.ancienne-jp.com

(取材:山梨県・正会員 長谷川和男)

2016年10月14日 (金)

新潟/カフェ 「イエローハウス」

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■ドイツ風デザインの再生民家
 新潟県十日町市の「星峠の棚田」に近い竹たけ所ところ集落にドイツ人の建築デザイナー、カール・ベンクスさんが再生した民家が8軒あります。そのうちの一番大きな民家がカフェ「イエロー
ハウス」。ベンクスさんがイベント会場などに使っていたものを、東京在住の今のオーナーが同世代仲間の交流の場として譲り受け、「都会から訪れる人や地元の人がくつろげる場所にしたい」「民家の内部の素晴らしさを多くの人に見てほしい」と昨年に開店したのです。

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 建物は3階建てで、現地再生です。デザインはドイツ風。外壁は淡い黄色、屋根はドイツ産の鉄平石。内部は吹き抜けで、雪国ならではの太い柱と梁が表れ、重厚な空間が訪れる人に安ら
ぎを与えてくれます。
 竹所は豪雪の山村で、いわゆる限界集落です。ところが、ベンクスさんデザインの再生民家に魅せられて移り住む人が現れて人口が増
え、現在11世帯31人、子どもも生まれ、集落に活気が出てきたと言います。地域活性
化の先進事例です。
■営業は積雪期を除く5~11月の土日
 カフェの営業は、積雪の期間を除く5月から11月までの土日。運営は集落の五十嵐富夫さんが中心となり、スタッフは集落の女性たちが務めています。店は30人ほどが入れる広さです。
 コーヒーなどの飲み物が中心ですが、ケーキのほか、カレー
などの軽食も提供しています。
 周辺の四季折々の自然に浸りながら、ゆっくりと雪国の民家の魅力を楽しんでみてはいかがですか。星峠の棚田もぜひ訪ねてください。

場所 新潟県十日町市竹所5502-2
交通 北越急行ほくほく線まつだい駅から上越方面に車で15分ほど
電話 025-598-2558
メニュー コーヒー500円、ケーキセット800円、 レモンスカッシュ800円、カレー1,000円
営業時間 11:00~16:00
営業日 5月~11月の土・日曜日

(取材:東京都・正会員 清沢和弘)

2016年10月 1日 (土)

三重/そば&カフェ「心晴」

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■農家をオーナー自らリノベーション
 愛知県出身のオーナーが、三重県桑名市長島町で田んぼに囲まれた築46年の古民家に一目惚れし、自らリノベーションしてオープンした、そば&カフェ「心晴」。
 店内は、オーナーが収集したインテリアで囲まれており、カウンター席・テーブル席・座敷にロッ
キングチェア・ハンモックと、行くたびに違った雰囲気を楽しむことができます。
 振り子時計の音色と洋楽が流れる店内、そして大きなガラスの木製建具越しには田んぼが広がり、街なかの喧騒を感じさせない時間を過ごすことができます。

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■地元の人たちとの交流の場
 「場所に心が宿るなら、晴れ晴れしい場所にしたい。だから「心晴」ココハレって名前にしました」と、店名の由来を教えてくれたオーナー。
 たくさんの出会いや別れの中で、自身が受けた人の優しさや温かさを、与える側の場所、人になれたらという思いの詰まったお店は、早朝から地元の人たちで賑わっています。
 晴れた日は、アルバイトのケヅメ陸ガメ・ラムサス(2歳)がお出迎えしてくれます。 毎週土曜日には、「心晴リターンズ」と題し、夜の営業も行っており、お酒の知識も豊富なオーナーとおしゃべりしながらナイトタイムを楽しむことができます。

場所 三重県桑名市長島町平方475
アクセス 東名阪道 長島ICより 車で3分 JR、近鉄長島駅より 徒歩15分
電話 0594-37-2033
メニュー いかきくそば、ざるそば、かけそば、おろしそ ば
台湾まぜそば、ブレンドコーヒー、各種紅茶
ジュース、各種ケーキ、モーニングサービス
営業時間 7:00~19:00(心晴リターンズ19:00~0:00)
営業日 月曜日、第1、3火曜日

(取材:三重県・正会員 三浦 聡)

2016年7月 1日 (金)

栃木/ゲストハウス 「松香庵」

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■趣ある民家に手軽に宿泊
 足利市のほぼ中央、昭和初期の趣を残す閑静な街並みの中に、国登録有形文化財・松村記念館(大正14年築)があります。その敷地の一角に松香庵(明治期築)があります。松村記念館(主屋)と並んだ佇まいは当時の姿を留めているようです。
 松香庵ご主人の松村和久さんは、空き家になっていた民家の活用策として、旅館業の許可を受け、ゲストハウスを開設されたそうです。

2_4宿泊は主に女性対象のドミトリーで、5人まで宿泊でき、2段ベッドが2台とソファーベッドがあります。交流スペースでくつろぐこともできます。食事な
しの素泊まりで、共同の炊事場とシャワールームはありますが、路地裏を散策して気に入ったお店で食事をしたり、近くの銭湯「花の湯」を利用してもよいでしょう。

3_2■ゲストハウスを起点に街並みと史跡めぐりを楽しむ
 松香庵を出ると、石畳が続いています。石畳の歩道に面した商店街は、時代を感じさせる独特の店構えをしています。和服で街歩きできるように、昭和初期に全国で流行した足利銘仙柄の和服を貸し出すお店もあります。昔と今の調和のとれた街並みと石畳の歩道には、和服姿と下駄の音がよく似合います。2分程度歩いたところには、日本最古の学校「史跡足利学校」と国宝「鑁阿寺」があります。
 松香庵に宿泊された方は、館主のご好意により松村記念館を観ることができます。そこでは、松村家にかつて歴史上の偉人といわれる方が多数立ち寄ったことが分かります。私は、この当時は個人の尽力により街をつくっていったのだなと、思いを巡らせました。
 松香庵は、人と街とを一体で楽しめるゲストハウスです。

場所 栃木県足利市大門通2381番地
交通 JR両毛線足利駅より徒歩8分
東部伊勢崎線足利市駅より徒歩10分
問合 電話: 0284-41-2646
料金 基本料金(1人1泊、素泊まり): 2,600円
(夏季・冬季、時期により冷暖房費として1人200円)
参考 主に女性対象、諸条件を付して男性も可
ホームページ http://shokoan.net/top.html

(取材:栃木県・正会員 新井和勝)

鳥取/ゲストハウス 「解放 Guest House 勝造」

1_4 ■NPOが事業主体となり空き家を活用
米子駅からほど近い中心市街、かつては醸造業が栄えたことから糀町と名付けられた通りに面する間口の狭い昔ながらの町家。空き家となっていた建物を活用し、かつての賑わいを取り戻そうとする試みが行われています。事業主体となっているのは「NPO 法人まちなかこもんず」。町家独特の長い通り土間を「小路 」になぞらえて建物全体を「わだや小路」と名付け、2階のゲストハウスの他にも1階をレンタルスペース、シェアオフィス、カフェとして活用しています。

2_2 営業時間中はだれでも通り土間を通り抜けることができ、そこで世代や国籍を超えた交流が生まれることを目指しています。 また、プロジェクトにかかる費用をまかなうために「米子空き家活用プロジェクト基金」を立ち上げ、一般からの寄付金を受け入れるなどの取組みも行っています。その活動から生まれた、わだや小路内の「解放 Guest House 勝造」は米子初のゲストハウスとしてオープンしました。

3 ■通りを見下ろす「つし2階」のゲストハウスに泊まる
 築140 年を超える天井の低い「つし2階」にしつらえられた和室の窓からは表通りを見下ろすことができます。醸造業華やかなりしかつての賑わいを想像しながら眺めてみたいですね。町家をゲストハウスとして再生するには消防や保健所の厳しい規則をクリアする必要がありますが、ここでは元々の建物を生かした自然な形となっているので、違和感がなく心からくつろげる空間になっています。
 食事はなく素泊まりですが、設備やアメニティは充実しています。

41階のレンタルスペースや通り土間のギャラリーでは、さまざまな催しも行われていますから、思いがけない人や物との出会いもあるかもしれません。ホームページからも予約できますので、ぜひ一度泊まって新しい米子を発見してみてください。

場所 鳥取県米子市糀町1丁目10 わだや小路内
交通 JR山陰本線米子駅より徒歩6分
問合 電話:050-6866-5100
時間 チェックイン15:00/ チェックアウト10:00
料金 和室:1泊 2,500円 ベット:1泊 3,000円
ホームページ http: kaiho-guesthouse-katsuzo-yonag.jimdo.com/

(取材:高知県・正会員 公文大輔)

2016年4月 1日 (金)

滋賀/「北国街道の宿 紗蔵」

Photo_15 ■浜ちりめんで賑わった街道沿いの宿
 滋賀県長浜市は陸上、湖上交通の要衝として栄えた町。北陸と近畿を結んだ北国街道沿いの建物には、今も舟板塀や虫籠窓が残り、往時をしのばせます。
 築約150 年とされる「北国街道の宿紗蔵」はその名のとおり同街道沿いの宿。かつて周辺一帯は繊維業が盛んで、もともとこの建物は桑畑の肥料に使われるニシンの問屋でした。約50 年前ちりめん問屋に譲られ、その後2004 年に宿として生まれ変わっています。

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3_3 主屋は間口から奥に細長い典型的な商家の造り。屋根や床は補修を要したものの、基礎、梁組、柱はほとんどそのままです。
 1階廊下は重厚な梁が幾重にもわたって続き、天井が廊下の長さを強調しているものの、2階に上がると一転、小屋組が露わな明るい空間にはっとさせられます。さらに「紅梅の間」に入れば、ハイカラな初代当主の女性が“アールヌーボー”を取り入れたという竿縁天井が、軒に向かって優美なカーブを描きます。

■蔵を生かした居心地のよい空間
 極め付けは蔵を使った2棟の客室。1階が居間で2階が寝室です。私は昨年の夏に泊まったのですが、夜は静かでかつ涼しく、改めて蔵の居心地の良さに驚かされました。
 蔵2棟を含めたL字配置の内側は、3 本の多た 行ぎょう松しょうが立つ中庭。食堂の大きな窓から外を眺め、名物の鯖そうめんや近江牛、赤こんにゃくに舌鼓を打てば、旅の疲れも吹き飛びます。
 人気観光地の黒壁スクエア、慶雲館に近く、JR 長浜駅も徒歩圏内。京都、大津を絡めた旅にもフィットします。

場所 滋賀県長浜市朝日町35-2
交通  JR北陸本線長浜駅から南へ650m
問合 電話:0749-63-3911
定員 17名(5室。食事付の場合は定員14名まで)
時間 チェックイン15:00 チェックアウト10:00
料金 1泊2食付 大人10,500円~(子供6~12歳は大人の
70%、3~6歳の未就学児は食事なし1,000円) 要予約

(取材:山梨県・正会員 大澤憲吾)

福岡/農家民宿「まんてん星」

Photo_14■まんてんの星が振りそそぐ宿
農家民宿「まんてん星」は、大分県と接する豊前市の中でも、修験道で栄えた求菩提山さんの懐に位置した風光明媚な場所にあります。名前の由来は、澄んだ空気と、標高が高く夜間に冷え込むおかげで、かりんとうをまぶしたくらいに星が見えることからきているそうです。私も初めて見たときは星がこんなにあるのか?と衝撃を受けました。
 「求菩提の農村景観」は、江戸時代の景観がそのまま残されている点が高く評価され、国の重要文化的景観に選定されています。もともと、豊前市は産業が少なく、そのため若年世代の流に伴って高齢化が進み、空き家が増加しており、それらへの対応が市の重要課題になっています。そのなかで、ご主人は定年後にこの地に戻り、農家民宿の第1号として2011年に「まんてん星」をオープンしました。

■農家民宿でゆったりとした非日常を味
2_3 宿には薪ストーブと五右衛門風呂わう、屋外には釜土があり、自然の中で昔ながらの暮らしや、農林業の各種体験ができます。料理には厳選した自然食品を使用しています。周囲にはコンビニもなく自販機もかなり行かないとありません。

3  ピーンとした静寂と、四季折々に表情を変える豊かな自然と澄んだ清流、今の時代には一番の贅沢かもしれません。そのせいか遠方からの宿泊客も多く、ほとんどがリピート客だそうです。また、オーナーご夫妻の人柄にもよるのでしょう。会話を楽しみに再び来られる方も多いと聞きます。
 ゆったりとした時間が流れる非日常を、湯冷めのしない大きな五右衛門風呂と、おしゃれに再生された民家で味わってみたい方にはお勧めです。

場所 福岡県豊前市岩篠瀬95番地
交通 JR日豊本線宇島駅より車で25分
問い合せ 電話:0979-88-2058
料金 1泊2食付 高校生以上1名10,000円、2名9,500円/人、
3人以上9,000円/人、(小中学生6,000円、3歳未満は無料)
宿泊 事前に予約が必要

(取材:福岡県・正会員 柳本隆彦)

2015年10月14日 (水)

長野/信州みそ醸造元 「塩屋醸造」

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▪️登録有形文化財の老舗
長野県北部に位置する須坂市は、明治から昭和にかけて製糸の町として栄えました。今も町のあちらこちらに蔵の町並みが残っています。その町の中にある塩屋醸造は、江戸末期に塩問屋として創業し、文化・文政時代に味噌・醤油の醸造を始めた老舗のお店として知られています。
醤油蔵や味噌蔵などは江戸後期から明治にかけての建物で、店舗および主屋、離れ、醤油蔵などの10棟は、2007年に国の登録有形文化財になっています。建物は中庭を取り囲むように配置され、上から見るとロの字の形状です。蔵に取り囲まれた中庭に立つと、まるで時代劇のセットに迷い込んだようです。
前もって「みそ蔵めぐり」を予約しておけば、味噌蔵や醤油蔵を見学できます。蔵の中に一歩足を踏み入れると、薄暗くひんやりとしたなかに木桶がびっしりと並び、味噌の香りが充満しています。

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▪️伝統の手づくりみそ
この店のみそは、国産の大豆を蒸して手でつぶし丸めて味噌玉を作り、蔵の中で寝かせます。その後、昔ながらの木桶に仕込み、6~10か月かけてじっくりと熟成させます。熟成期間もさることながら、創業時から受け継がれる蔵の環境と、壁や梁を真っ白にするほどについた酵母菌がみそをより深い味わいにしてくれるとのことです。長年培ってきた歴史を感じさせます。
 名物の「えのき味噌」は国産の大豆と米、そして特産の地元北信濃のエノキダケをペースト状にしてみそと一緒に発酵させた甘口の味噌です。
店舗の1階では、味噌、醤油、自家製のお漬物、いろいろな種類の塩や、ここでしか手に入らない限定醸造品もあります。

▪️地域の人々が集まる店に
 店舗脇に小文庫蔵があります。小さな空間ですが、この囲まれ感がとても心地よく感じます。通常の見学コースには入っていませんが、活用について計画中とのことでイベントや地域の交流の場として使うことも考えているそうです。新たに活躍できる、とても楽しみな空間になりそうです。

場所 長野県須坂市大字須坂537番地
交通 長野電鉄須坂駅より徒歩15分
問い合せ 電話:026-245-0029
商品 えのき味噌(1kg:1,404円)(税込)
玉造り味噌(1kg:1,080円)(税込
営業時間 時間 9:00~18:00
定休日 不定休(8月、12月は無休

(取材:長野県・正会員 東條和夫)

高知/町家カフェ 「道 —タオ—」

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▪️伊能忠敬も泊まった脇本陣をセルフ再生

高知県中央部のやや東寄り、海沿いに開けた赤岡は幕末の浮世絵師、弘瀬金蔵の屏風絵を飾る「絵金祭り」や、日本酒の大杯で早飲みを競う「どろめ祭り」などで知られ、早くからまちづくりにも取り組んできた町です。江戸時代には参勤交代のための本陣がおかれるとともに商都として栄え、旧街道沿いには特徴的な何段もの水切り瓦を備えた、土佐漆喰塗の町家が数多く残っています。

2 なかでも脇本陣をつとめた「長木屋」は蝋燭商として栄え、文化5(1808)年には幕府天文方伊能忠敬の一行が訪れたことが知られています。この築200 年を超える“つし”2階建て瓦葺きの建物を店主がセルフビルドで内装を改修し、町家カフェを開業するに至ったのは、学生時代に、赤岡の空き家を活用できないか、という提案を受け、卒業研究として取り組んだ(2002年)のがきっかけとのこと。今でこそ、空き家の再生も全国で広く取り組まれていますが、当時としてはかなり先駆的な試みだったのではないでしょうか。今では赤岡ファンが集う店としてすっかり馴染み、県内外に広く知られています。

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▪️よそにはない味、道-タオ-カレーでのんびり
おすすめはなんといっても道-タオ-カレー。インドカレーをベースに店主が工夫を重ねた、辛くて甘いさらりとしたスープっぽいカレーは、サラダと混ぜ合わせて味の変化を楽しむのが通の食べ方。カレー好きはもちろん、カレーの嫌いな人にも「おいしい」と言わせる、まさによそにはない独特のカレーは必食です。ほかにも高知名産のゆずを使ったドリンクなども要チェック。200 年前の歴史を静かに伝える店内で食後のお茶をいただきながら、往時に思いを馳せるもよし、店を訪れる地元のお客さんたちと、まちづくり談義に花をさかせるもよし、赤岡でのんびり過ごす一日を心ゆくまでお楽しみください。なお、不定休につき営業日などは「フェイスブック」で確認するか電話で問い合わせることをお勧めします。

場所 高知県香南市赤岡町448-1
交通 土佐くろしお鉄道赤岡駅より徒歩5分
問い合せ 電話:090-1176-5545
メニュー 道–タオ–カレー750円~、ドリンク400円~
facebook http://www.facebook.com/taotaotao2002
定休日 不定期

(取材:高知県・正会員 公文大輔)

2015年7月22日 (水)

愛知 /煎売喫茶 「治郎兵衛」

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■明治45年築の住宅をカフェに
 知多半島の武たけ豊とよ町、国道から横道に入ったところにこの店はあります。前庭を抜け、格子のドアを開けて店内に入ると、高い天井と広々としたスペースに目を奪われます。1軒の民家全体を店舗に再生しており、部屋の仕切りが取り外され、床は全面フローリングに。庭に面したカウンター席には昔のガラスを通して柔らかい光が射し込んでいます。昔のままの柱、差鴨居、梁、天井が表れ、周囲の壁には絵画など美術品が飾られて、落ち着いた雰囲気です。

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 この店の建物は江戸時代から醸造業を営んでいた治郎兵衛商店の住宅だったもの。今のオーナー夫人のお母さんの実家で、明治45 年の建築です。だれも使わなければ解体するというので譲り受け、ご夫妻の「いずれコーヒー店をやりたい」というかねてからの夢を実現したとのこと。6 年前のことです。

■こだわりのコーヒーと手作りケーキ
 ご主人はもともとコーヒーの加工・卸しの会社に勤めておられたというだけに、自家焙煎のコーヒーは香り高く、申し分ありません。
ご主人に「コーヒーの味は豆の品質ですか」と聞くと、「水が第一、浄水器を使っています。それからポット」との答え。注ぎ口の長さと形が重要だと言います。夫人手作りのケーキも好評。サンドイッチのセットも評判で、朝食に立ち寄る人も多いようです。店では、コーヒー豆や器具類も売っています。

■醸造業で栄えた知多半島の町
ここ知多半島は日本三大名醸地の一つ、江戸時代から味噌やたまりの醸造業が盛んでした。特に明治になってからは港と鉄道が整備され、これらを利用して販路が広がり、一大産地になりました。この武豊町にも昭和初期には醸造元が50軒余りあったとのこと。今でも5軒が生産を続けていて、醸造工場の黒い板塀が続く趣のある町並みを見ることができます。

場所 愛知県知多郡武豊町字里中128-1
交通 JR武豊線武豊駅から南へ1km
名鉄河和線知多武豊駅から870m
問い合せ 電話:0569-72-0160
メニュー メニュー オリジナルブレンド400円、ベイクドチーズケーキ350円、アフタヌーンプレート580円
営業時間 8:00~ 17:00
定休日 火・水曜日

(取材:東京都・正会員 清沢和弘)

愛媛/ 古民家の宿「石畳の宿」

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■伊予の国、石積みの棚田が広がる山間の宿
  内子町は愛媛県の中部、3つの川の合流地点に広がる内子盆地に位置する中山間地域の町です。江戸期から大正期にかけては、木蝋の一大生産地として全国に知られていました。当時の富を背景に建てられた白壁・土蔵造りや商家群が、今も見事な町並みを形成しています。1982年には重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。内子町では、伝統的な町並みの保存にとどまらず、農村景観にまで対象を広げた地域づくりを展開しています。
 その一環として1994 年に誕生したのが、築80 年の古民家を移築再生した「石畳の宿」。建物の設計は内子町の町並み保存にも携わった建築家の吉田桂二氏。
 「石畳の宿」は、内子町の中心部から車で進むこと約25分。人家がほとんど無く、石積みの棚田が山裾から中間部まで広がり、まさに伊予の国の原風景といった石畳地区にあります。周囲には美しい棚田や水車、鎮守様へ誘う屋根付き橋など、懐かしい農村の風景が残っています。私たちが到着した頃には、1月でもあり、すでに日は暮れていて、街灯のない山道を走り続けてきたので、宿の明かりが見えた時はほっとしました。

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■地元の素材を生かしたお母さんたちの手料理
 建物は木造瓦葺きの2階建て。玄関を入ると奥に囲炉裏のある板間があり、続いて縁側のある座敷が2間(食堂と客室)。2階には小屋裏を改修した客室が3部屋あります。収容人員12名のこぢんまりとした閑静な宿です。
 宿は町営で、運営は民間委託です。切り盛りするのは、近所の農家の主婦の団体で、みなさん明るくいきいきした女性ばかりでした。料理は地元のお母さんの手料理で、お煮しめ、白和え、酢の物、アマゴの炭火焼き、山菜のてんぷら、うどん、そして水車小屋で脱穀した「水車米」。どれも素朴ながら上質なものばかりでした。

場所 愛媛県喜多郡内子町石畳2877
交通 町営バス満穂線にてJR内子駅より25分
(終点石畳の宿下車)
町営バス満穂線にてJR内子駅より25分(終点石畳の宿下車)
問い合せ 0893-44-5730
メニュー おまかせランチ 1,500 円(要予約)、サンドイッチ やリゾット、
ハヤシライスなど 800 円前後、コー ヒー 400 円(おかわり自由 )など
時間 チェックイン15:00 チェックアウト10:00
料金 1泊2食付 大人8,800円(1人利用は9,800円)
小学生6,700円、幼児3,000円 要予約
定休日 毎月第3火曜日

(取材:茨城県・正会員 吉田良一 )

2015年4月14日 (火)

広島/カフェ「ろんでんcafe」

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■下山事件の門田判事の生家をカフェに
福山駅から車で約 30 分、熊野水 源池の桜林の手前にあるこの古民 家は、山里の隠れ家カフェとして 地元や県外からファンが集まります。今年でオープンから8周年を 迎えました。緑のなかで、看板ネコちゃんと一緒に、ゆったりおい しいコーヒーが楽しめます。

2_3豪快なおまかせランチ
メインメニューのおかませランチ(1,500 円)は、2 日前までに要予約。魚や野菜など、旬の素材を使った 3 〜 5 品の創作料理にデザートや飲み物も付いて大満足です。重厚な手作りの器で豪快に供してくださいます。 もちろんカフェだけのお客様も歓迎。400 円で、おかわり 自由のコーヒーがたっぷり楽しめます。手作りの本日のケー キ(400 円)もおいしいですよ。

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■古布や和家具、器も販売
店内には、素敵な和の家具や小物、古布や手作りの備前焼の器などもおしゃれに飾られ、販売されています。インテリアの参考になるヒントもいっぱいです。
 お客さんが少ないときには、 奥様がチクチク針仕事をされる姿が見られ、手芸談義に花 が咲き、お客様同士が初対面ですっかり仲良くなることも。 DIYが得意なご主人に、いろいろなモノの作り方を聞いてみ るのも楽しいひとときです。「てきとうに、いいかげんでい いんだよ、なせばなるって」と、にやりと笑って励ましてく ださいます。 古民家や和布好きな方はもちろん、古い家に悩まれている方や、カフェを開いてみたい方なども、ぜひ気軽に足を 運んでみてください。

場所 広島県福山市熊野町甲 560
交通 福山駅より車で 30 分 ぬまくま道の駅より車で 15分
問い合せ 電話:084-959-1501
メニュー おまかせランチ 1,500 円(要予約)、サンドイッチ やリゾット、
ハヤシライスなど 800 円前後、コー ヒー 400 円(おかわり自由 )など
営業時間 11:00〜17:00
定休日 日曜日、月曜日

(取材:広島県・正会員 黒木香苗 )

千葉/カフェ&レストラン「柚庵」

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▪️文化的なイベントや地域の交流の場に
千葉県の外房、上総一ノ宮の一駅先の東浪見駅から徒歩1 分、敷地 3,200 坪の中に、長屋門カフェ、蔵ギャラリー、主屋、 オープンイベントスペース、日本庭園があります。
建物は文久元(1861)年に建てられ、代々網元、造り酒屋と して受け継がれてきました。地元でも当時の繁栄を語り継ぎ、 地域のランドマーク的存在でしたが、造り酒屋はすでに廃業 し、この建物を守り続けた最後の相続者の方も高齢となり、 手放さざるを得なくなりました。
そこに「いつか文化的なイベントや地域の交流の場として活用できるコミュニティスペースを作りたい、そして故郷でもある外房を少しでも活性化させたい」と長い間思い、その場所を探し続けていた現オーナーと出会い、再び蘇ることになったのです。

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▪️昭和レトロ風のカフェ &レストラン
カフェ&レストランは、 長屋門の脇の部屋を少し広げて、内 装を建具や小物で昭和レトロ風にし 、その先は中庭風のオープンテラス。すぐ隣には蔵をその まま生かした貸しギャラリーがあります。大きな主屋は手入れが良かったせいで、築150年経っ たにもかかわらずしっかりしており、結婚式も行われました。 イベント関係者が宿泊できる設備も整えつつあります。

3  広々とした敷地には芝生が敷かれ、近隣のお店や個人が出 展できるイベントを開催するなど、人々の交流の場を提供し、 まさに昔の地域のシンボル的役割を復活させています。
メニューは、ランチが主で、ワンプレートのパスタと魚、肉 料理と、種類は少ないですが美味しいです。雰囲気をゆっくり 味わうには、お洒落なスイーツとコーヒーもどうぞ。

場所 千葉県長生郡一宮町東浪見 1611
交通 JR 外房線東浪見駅 徒歩 1 分
問い合せ 電話:0475-40-6300
メニュー ランチ 1,200 円~(4 月より新メニューになります ) ケーキ 600 円~、飲み物 500 円~
営業時間 10:30 ~ 19:00(夜は予約制)
定休日 月曜日

(取材:千葉県・正会員 安井啓子)



2015年1月18日 (日)

栃木/「お箸でフレンチ・向日葵」

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■肩ひじ張らない、フレンチ・レストラン
 旧日光街道沿いの農家と馬小屋、そして大谷石の石蔵は、長い間使われず放置されていた。当代オーナーによって、この明治中期の主屋と石蔵を「古民家レストラン」として現地再生されたのが2006年である。

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 シェフの村川さんは、横浜迎賓館や横浜ロイヤルパークホテル等の料理長を務めるなど輝かしい経歴の持ち主であり、生まれ育った栃木に戻った。
 お店のコンセプトは「おもてなしは一流でも、本格的フランス料理を気軽に味わってほしい」と「お箸で食べられるフレンチ」。テーブルには、ナイフとフォークとともに「お箸」が置かれている。また、栃木県ならではの地場の食材の数々が存分に生かされているが、フロアマネージャーの高橋さんは「素材も大切ですが、もっと大切なのは、お客様が笑顔になってくれること」と、にこやかに笑う。

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■古民家の中で味わうフレンチ
 大谷石を敷き詰めたアプローチを通り、元玄関を改修した店の入口から一段上がった大谷石の床を通り、向かって右側は土間だったスペースで、あらわし天井に弁柄漆喰の壁が美しい空間。左側はさらに一段上がった元座敷と広縁が一体化されたあらわし天井の広いスペース。南側にあった出書院も違和感なく西側に移設され、懐かしい雰囲気の透き硝子の入った掃出し窓越しにきれいに整った主庭が見える。店内は立食パーティーも可能なように、鴨居を一段高く設え直してあるが、建具は元からのものを残して下駄を履かせて再利用している。ステンドグラスや間接照明などの演出で、お洒落な雰囲気と日本の伝統的な美しさの中でフランス料理を堪能できる「古民家レストラン」である。

場所 栃木県小山市神島谷5-5-22
交通 小山駅より南へ車で10分弱(旧日光街道沿い)
問い合せ 電話:0285-22-3621
メニュー ランチコース2,000円~
ディナーコース3,500円~
営業時間 11:00〜14:00、 17:00~21:00
定休日 水曜日

(取材:栃木県・正会員 大竹喜世彦)

2015年1月 1日 (木)

福島/「カフェ蔵」

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■いくつもの役目を経た蔵がカフェに
 1918 年(大正9 年)に造られた土蔵は、小さな町の商店街をずっと見てきました。当時の豪商
の屋敷に建てられた土蔵は、さまざまな用途に利用され、昭和30 年代に入るとバスの切符売り場として親しまれ、あまたの人の出会いをつくってきたともいえます。その後クリーニング店の工場兼店舗として、日本の高度成長期をともに過ごしてきました。
 2007年、この蔵が民家再生の普及と文化再発見の場となるようにとの願いから、カフェとしてスタートしました。
 基礎や土台を補強してよみがえった蔵は、東日本大震災の震度6弱の揺れにもびくともせず、たくさんの人の憩の場になっています。

■蔵を楽しむ人も食事を楽しむ人も
Img_4293_2  1階は4人がけのテーブルが4つ、カウンター4席です。見事な曲線の梁がある2階は8人用の大テーブルのほか、レトロなテーブル席が4つあります。
 昼のランチは営業マンや近所の女性で賑わい、夜は市役所やPTAなどの学校関係者が利用しています。
 食事は日替わりランチが充実、ドライカレー、ハンバーグ、スパゲティのセットは定番です。オムライスは作るのが間に合わないくらいの人気です。
 ティータイムにはケーキとネルドリップのコーヒーや品揃え豊富なハーブティーを静かに楽しめます。

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 阿武隈川が目の前を流れているので、食後に堤防に出て、川を眺めながら散歩するのもおすすめです。

場所 福島県本宮市本宮中條1-2
交通 JR東北本線本宮駅より徒歩5 分
問い合せ 電話:0243-34-4456
メニュー 日替わりランチ750円、ホットサンド550円
ハンバーグセット、スパゲティセット900円
ケーキセット950円
営業時間 11:00〜17:30(夜は予約のみ)
定休日 月曜日、祝祭日

(福島県・正会員 渡邉 仁)

2014年10月13日 (月)

福島/そば処「花扇」

Photo ■会津の里山にたたずむ民家
 福島県会津若松市から西に阿賀川を越えると会津美里町で、市街地から少し離れた梅・柿・りんごなどの果樹畑や田園に囲まれた小さな集落に「そば処 花扇」があります。隣は、天保2年(1831年)に建立された会津三十三観音第25番札所の領家観音で、仏都会津の穏やかな自然に心が癒されます。
Img_0353 オーナーの兼かね子こ さんは、平成5年に「日本の美と郷愁に浸る神の町」をまちづくりのビジョンとして構想を練り、町に提案しましたが実現しませんでした。その後たまたまこの地に20年くらい空き家になっていた農家を見つけ、ビジョンに沿うような里山の風景を残したいと思いました。のど かな里をイメージし、実際に稼働する水車を活かせるそば処を考え、1年中四季折々の花が咲き広がる場所にしたいとの思いから、店名を「花扇」としました。

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■水車を稼働した石臼で挽いたこだわりの手打ちそば
 民家のすぐそばに水車小屋があり、水車の動力を利用した石臼で、地元会津産のそばの実を毎朝丁寧に挽いているので、そば粉100%の挽き立て手打ちそばが食べられます。そばのつゆは、鰹だし、大根下ろしが入ったさっぱりした辛みの高たか遠とお、温かい地鶏の3種類が付き、それぞれを風味豊かに味わえます。
Photo_2 心がほっこりするような、のどかな空間で、そば本来の味と香りをぜひお楽しみください。

場所 福島県大沼郡会津美里町藤家舘字領家191
交通 磐越自動車道「会津若松インター」より車で15分
JR会津若松駅よりバスで30 分
問い合せ 電話:0242-54-7311
メニュー ざるそば800円(税別)~ 観音セット(天ざる大盛)1,500円(税別)
営業時間 11:00〜15:00(要予約)
定休日 月曜日(祝日の場合はその翌日)

(取材:福島県・友の会会員 齋藤いち子)

鳥取/ ドリンクのテイクアウト「くだものや」

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■赤瓦と焼き杉板の町家の町並み
 鳥取県の中央部、城下町として、また地域経済を支える商家の町として栄えた倉吉。市内中心の打吹玉川地区には玉川沿いの白壁土蔵群、赤瓦と黒い焼き杉板の町家の町並 みが残っており、多くの観光客が訪れています。
「くだものや」はその町並みの一角にあります。民家の道路に面する部分を取り払ってアプローチとし、その奥の部分を店舗に再生しています。

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くだものや野菜、牛乳または豆乳を使った地産地消のスムージーが専門で、テイクアウトのみ。町歩きの途中、疲れた足を休め、乾いたのどを潤そうという観光客で賑わっています。アプローチ部分がお休みどころです。

■季節のくだものを使ったスムージー
店を営む山崎優子さんは神奈川県からのIターン組。鳥取県をたびたび訪れていて、心和む自然の美しさ、地域社>会と人々の優しさに惹かれたと言います。東日本大震災の被災地支援にボランティアとして参加した折、鳥取から石巻に支援に来ていた職人グループの人たちと知り合い、思いやりの心に触れて鳥取県移住を決意したとのこと。
 山崎さんは栄養士の資格を持ち、食品加工会社に勤めていたことがあり、このくだものを活かしたドリンクの店を2012年9月に始めました。

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 スムージーは季節に合わせて数種類のメニューを用意しています。材料にはこだわり、市場で一級品を仕入れているとのこと。
 倉吉を訪ねる折には、ぜひ立ち寄ってみてください。
なお、倉吉市ではまちおこしの一環として、商工会議所が店を始めたい人に低家賃で利用できるチャレンジショップ「あきない宿」を設け、支援に取り組んでいます。

場所 鳥取県倉吉市魚町2557
交通 倉吉駅よりバスで15分
問い合せ 電話:00858-33-5673
メニュー いちじく、桃太郎ぶどう、梨グリーン、 その他旬のくだもののスムージー
 各600円前後
営業時間 11:00~16:00
定休日 火曜日、水曜日

((取材:鳥取県・正会員 山根賢志)

2014年7月 4日 (金)

茨城/ピッツァ&コーヒーの小さなカフェ カフェ 「Hanana」

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■農家の納屋をカフェにリノベーション
 果樹の里として知られる、茨城県かすみがうら市の農村集落内にカフェ「はなな」はあります。昭和の時代に農家の納屋として建てられた建物を、農村暮らしを求めていた吉川さんが見つけ、一目惚れして購入。素朴な風景の中で、温かさと懐かしさを感じるカフェにリノベーションしました。
 外観は漆喰の壁と石釜と煙突、そして赤い扉がアクセントになっています。お店の前に広がる広々とした庭には、季節ごとに草花が咲き、特に春は庭全体が花や緑でいっぱいになります。建物正面に見えるユニークな形の石釜は、吉川さんと友人たちがセルフビルドで作った秀作で、この店のシンボルとなっています。扉を開けると、ジャズの流れる室内は漆喰と煉瓦の壁、天井には黒く太い梁がノスタルジックな雰囲気を醸し出しています。

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■地元の農と人をつなげる場所
 「はなな」は石釜で一つひとつ丁寧に焼くピッツァ&コーヒ-を供する小さなカフェ。水は筑波山麓の井水の泉、小麦粉は茨城県産のユメシホウ、トッピングの野菜は地元農家のオーガニック野菜、チーズは地元鈴木牧場の自家製モッツァレラチーズを使うなど地元産を使用しています。
店主の吉川路子さんは、いつもにこやかな笑顔で迎えてくれます。果樹観光やドライブの途中にぜひ立ち寄って、心地よいひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。

場所 茨城県かすみがうら市五反田261–1
交通 常磐自動車道千代田石岡から車で
問い合せ 電話:0299-37-7778
メニュー じゃがいもと豚バラのピッツァ、マルゲリータ、
つくばしゃもピッツァ、季節のピッツァ、エスプレッソコーヒーなど
営業時間 11:30~ 15:00
定休日  日曜日・月曜日

(取材:茨城県・正会員 吉田良一)

滋賀/料亭 「豆信」

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■歴史ある古い町なみ「大津百町」のなかにある老舗料亭
旧東海道五十三次の京へ上る最後の宿場として、また、琵琶湖の水運を利用した港として大いに栄えた宿場町大津は、「大津百ひゃく町ちょう」といわれるほどの繁栄ぶりであった。
「大津百町」の中心市街地には、今でもあちらこちらにその面影が残っており、現在でも1500軒近い町家が残っている。近年、大きく変わりつつある「大津百町」を守り、残していこうとする活動が盛んである。
そのような歴史ある「大津百町」のなかにある料亭「豆信」は、外観室内とも随所に当時の面影を残している。国の登録有形文化財にも登録されており、大津では大変希少価値の高い建物である。

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■百年建築で味わう会席料理
 「豆信」は、大正期に料亭旅館として建てられたが、現在は、旅館業を廃業し、料亭のみで営業している。鯉やニゴロブナ、鮎などの湖魚を中心とした会席料理を、静寂が漂う坪庭が眺められる座敷で、ゆっくりとくつろいで味わうことができる。
高級料亭として、昼夜ともに1日2組限り(1階と2階各1組)の予約制にしている。特に2階は、おのおのに立派な床の間をもつ二間続きの大広間(22畳)であるにもかかわらず、ここには、昼1組、夜1組の客しか入れないとのこと。
「豆信」でいただく会席料理は、器とともに絶品であるが、なかでもとくに近江琵琶湖の味を堪能させてくれるのが、味噌汁仕立ての鮒ずしである。鮒ずし独特の匂いが苦手な人は多いが、味噌汁仕立てにすることにより、ほどよくその匂いは抑えられている。湖国近江を訪れたら、ぜひ味わっていただきたい一品である。

場所 滋賀県大津市長等3丁目3 –26
交通 京阪電車石山坂本線三井寺駅から徒歩3分
問い合せ 電話:077-524-2410
料金 会席:5,400円~ 松花堂弁当 :3,780円~
営業時間 11:00~ 21:00(要予約)
定休日 不定休  不定休)(8月14日~16日休 12月28日~翌年1月4日休

(取材:滋賀県・友の会会員 道本裕忠)

2014年4月 9日 (水)

山梨/素泊まりの古民家「一弓庵」

■150年前の古民家を移築再生して素泊まり宿に 
1_5「一弓庵」オーナーの武田一成さん(JMRA会員)は、JMRA 「民家の学校」の活動に第2期から協力を続け、また、素人 大工を自負して古民家の移築再生を実践してきた。ここ白州の 地で、主屋を平成14 年から平成22年まで8 年かけてセルフ ビルドで移築再生。奥の蔵は平成22年から4 年間手がけて 移築再生させた。多くの「民家の学校」受講生が武田さんの指 導の下、ワークショップでその腕を磨いてきた現場でもあった。  

2_3平成25 年夏から、主屋を素泊ま りの宿「一弓庵」として営業を開始し たとのことでお訪ねした。国道20 号線韮崎の北、道の駅「はくしゅう」 から5分ほどの場所で、なだらかな 棚田を見下ろす松林の一端に建ち、 八ヶ岳連峰が望める開放的な雰囲気の立地条件はリゾート地 としても一級品。素晴らしい景観で迎えてもらった。茅を葺い た玄関屋根をくぐると、囲炉裏を囲んだ20畳ほどの板の間が あり、その奥に和室の10畳間と5畳間がある。台所・水洗ト イレも完備していて快適な宿泊プランが組めそうだ。

■囲炉裏とピザ窯で楽しさ100倍  
3囲炉裏を囲んで語らい、鍋料理をするも よし、魚の串焼きを楽しみながらの一杯も また格別だ。庭にはピザ石窯(これもオーナー 手作り)も設備され、オーナー自らの指導で バーベキュー体験も楽しめる。食材は近くの 道の駅「はくしゅう」で手軽に揃う。新鮮な 地元野菜や果物、なかでも甘さ抜群のとうもろこしは絶品だ。 宿にお風呂はないが、車で5分ほどの所に市営の温泉センター (露天風呂付)があり手軽に利用できる。宿を拠点にハイキング、 果物狩り、酒蔵巡り、子どもたちに人気の蝶の飼育館など、 家族向け行楽プランも時季に応じた楽しみ方ができる。  私は林を抜ける涼しい風と蝉の声を耳に、都会では味わえ ない昼寝と囲炉裏を囲んでの静かな夜を満喫してリフレッシュ 気分で帰路についた。

場所 山梨県北杜市白州町白須字雑木7872-2
交通 中央高速道 韮崎または小淵沢下車
国道20号線道の駅「はくしゅう」より3km弱
問い合せ 電話:090-2308-0762
料金 家族・グループ 1棟貸切 ペット同伴は要確認
素泊まり1人3,000円(小学生以上)
利用期間 4 月~10月  チェックイン15時 チェックアウト11時

(取材:埼玉県・友の会会員 安田惠三)

東京/すき焼きレストラン 和牛処「やまだいら」

■新潟県十日町市より、古民家を移築・再生
1_4  築造されたのは、江戸後期か明治の頃と思われます。明 治44年に新潟県の山やま平だいら村むらに役場として移築され、昭和29 年県内でただ一軒の茅葺き屋根の役場として有名でした。 その後、現在のオーナーのお父さまのご実家として使われ ていました。しかし山村の過疎化にともない越冬が難しく なり、取り壊しが検討されるようになりました。  仕事上の付き合いのあった私が勤める会社(岡建工事・ JMRA登録事業者)では、使われている柱や梁の素晴らしさ を見て、壊さずに移築して店舗にすることをお勧めしまし た。移築予定地(東京都墨田区)は建築基準法の難問が多かっ たのですが、柱を切り詰めたり、防火被覆のために外壁を 二重にしたりと防火規定もクリアし、再度、披露できる建 物として再生されました。

■囲炉裏と、癒しの世界へタイムスリップ  
2_2玄関の古材土庇をくぐり、ケ ヤキの石畳から室内へ入ると、 昭和初期へタイムスリップし たかのようです。内部は、ケ ヤキの差鴨居が54cm、柱が 24cm、太くて黒い梁と小屋組 が圧巻です。古材の軸組や建具 などの古民具を、ほとんど当時 のまま再利用しています。奥の 和室のテーブルの天板はケヤキ の無垢板仕立で、堀座卓になっ ていてくつろげます。レストラン の一角には置き囲炉裏もあり、 特別な雰囲気が味わえます。  懐かしい田舎の話でもしな がらヘルシーな「近江牛」を堪 能しませんか。昼は定食がおす すめ、夜の人気メニューは、  すき焼きです。

場所 東京都墨田区八広3-7-1
交通 京成「曳舟駅」より徒歩10分
問い合せ 電話:03-5631-2539
メニュー すき焼き・しゃぶしゃぶ・牛丼・ステーキ
「近江牛」を使用しており、茶碗蒸し・刺身な ども予約できます
営業時間 昼 11:00~ 14:00 夕17:00~ 21:00(LO20:00)
定休日 月曜日

(取材:東京都・正会員 亀上真克)

2014年1月10日 (金)

京都/沖縄料理 asian chample foods「goya」

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■町家を改装したゆったりした空間 京都市左京区にある沖縄料理の店「goya」は、仕事の合間によく通っていました。お店のある吉田山のふもとは、京都大学、吉田神社があり古くから賑わいのあるところで、古書店や、京都ではじめてフランスパンを出したCAFE 進々堂もあり、アカデミックなロマン溢れる場所です。<br/>
 築60 年ぐらいの町家を改装しているのですが、日本的なものとアジア的なのものが融合されていて、南風が吹いているような感じのとても気持ちがリラックスできる空間です。<br/>
 店主の中川さんは、吉田山のふもとでお店を出すことが長年の夢だったことに加え、沖縄の複雑な歴史や、いろんなものがMIXされている雰囲気が好きで、アジア・沖縄・バリのような、ゆっくりしたリズムを感じる店にしたかったそうです。まさに中川さんの狙い通りに私が感じていたようです。</p>

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縄産食材と京野菜
ランチは、沖縄のお惣菜がメインの日替わりで、海ぶどうが大量の海ぶどう丼、ゴーヤチャンプル定食、沖縄そばなどがあります。定食には、もずくの天ぷらともずくのお味噌汁が添えられていたりします。夜は泡盛とともに島豆腐のコロッケを。食材は沖縄から取り寄せることが多く、野菜などは京都の地元のものを使っているそうです。またハーブもふんだんに使われていて、空間だけでなくお料理にも癒されます。

外国人の方々もよく訪れていて、なんだか異国情緒溢れる京町家で沖縄料理を味わうのも素敵だと思います。

場所 京都市左京区浄土寺西田町114-6
交通 J叡山電鉄出町柳駅より徒歩10分
問い合せ 電話:075-752-1158
料金 ランチ850円
夜 豚の角煮泡盛黒糖仕込み780円
営業時間 12:00〜17:00(LO16:00)
18:00〜24:00(LO23:00)
定休日 水曜日

提供/民家88号(取材:兵庫県 正会員 岡本千春)

新潟/賀茂料理「天神屋」

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■心和らぐ部屋で楽しむひととき
新潟県のほぼ中央に位置する加茂市は、古くから北越の小京都と言われています。里山を借景に加茂川沿いにある「天神屋」は、宮大工棟梁だった先々代の妻が、夫の留守を守るため、桑の葉の仲買と鮮魚商を行ったのが始まりです。
 2012年、創業100余年を迎え、店主の希望により外観、内観の1室を古材利用した小屋組あらわしの部屋に改修しました。改修したことにより殺風景だった外観は以前とはまったく変わり、内観は新しいはずなのにどこか懐かしい無垢の温もりを感じる部屋となりました。照明には田んぼで使用した田ゴロを利用し、部屋をより一層雰囲気よくしています。玄関にある赤い橋は改修前からあるもので、先代がお客様の良縁を願い架けたものだそうです。

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■食した人が健やかにそして幸せになれる「賀茂料理」が自慢
 よき水、よき土で育った、ほんの短い時季にしか味わえないさまざまな旬の素材を厳選し、料亭ならではのこだわりの料理を提供しています。昼は喫茶に変身。時には、ミニコンサートなどのイベントも開催します。また、中庭には酒樽を利用した茶室があり、そこで食事もできます。
 北越の小京都へ足を運んだ際には、ぜひ一度寄ってみて
はいかがでしょうか。

場所 新潟県加茂市荻房1-29
交通 JR加茂駅より車で約5分、徒歩約20分
市営バス:秋房入口で下車すぐ
問い合せ 電話:,256-52-8160
料金 昼:1500円〜 夜:5000円〜
営業時間 昼:11:00〜21:30
定休日 火曜日

提供/民家88号(取材:新潟県 正会員 長谷川一良)

2013年10月10日 (木)

群馬/懐石レストラン「庄屋久平」

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■豪農の家を曳家再生
 群馬県を代表する名山赤城山の南東、2006 年に笠懸町、大間々町、東村が合併して誕生したみどり市。その南部、笠懸町の一角に「庄屋久平」があります。
 明治9年築と記された立派な棟札が残る豪農の家を1991年に敷地内で曳家し、懐石レストランに全面改装したものです。民家再生という言葉もなかった時代の大工事で、完成するまでには周囲からの理解を得るのも大変だったとのこと。現在ではとても用意できないケヤキの柱、差し鴨居の骨太な木組み、建具など、当時のものが用いられています。
Dsc_0100  玄関を入ると右手に30畳ほどの洋間があります。部屋の正面には大きな神棚があり、当時の様子が垣間見られます。左手にはテーブル席と続き間の座敷が並んでいます。かつて養蚕をしていた2階には、宴会用の大広間、また広間使いと小間使いの二つの茶室が設えられています。
 外を見れば立派な門構えと板塀が芝生の先に眺められ、庭には四季折々の花が咲き、こちらも見ものです。
120529_v_0054_2_2■大切な日の思い出に、気軽にランチにも
 再生工事から20 年を経過しても変わらず、法事や結納・結婚式、誕生会、茶会など、大切な日の思い出に素敵な時間を過ごしているお客様でにぎわっています。
 懐石料理というと敷居が高い感じを受ける方もいるかと思いますが、ランチなら1,575円~とリーズナブル。近くには、岩宿遺跡(旧石器時代)や群馬昆虫の森があります。観光の途中に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

場所 群馬県みどり市笠懸町鹿4804-1 
交通 北関東自動車道太田藪塚ICから車で15分
問い合せ 電話:0277-76-0777
料金 久平膳(平日ランチ)1,575円
 季節のおもてなし御膳2,625円 久平懐石5,250円
 懐石弁当(要予約)1,000円より
営業時間 11:00~17:00
営業日 11:30~14:00 17:30~20:00
定休日 火曜日
情報提供 『民家』87号 (取材:群馬県・友の会会員 古川和弘)

千葉/甘味喫茶・ショップ・ギャラリー「いなえ」

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■「佐原」の「佐」をほどいて「いなえ」 
 江戸時代から江戸との舟運により、「江戸優まさり」といわれるほど繁栄した佐原。しかし近年では、店を閉じたり空き家になる町家も見られるようになっていました。明治から昭和にかけて建てられた町家2棟、土蔵、洋館が中庭でつながる「いなえ」も一時期空き家でした。
 2007年から再生のための工事を始め、2011年3月には震災に遭い大変な被害を受けましたが、2012年7月に再生工事が完成。「記憶」をテーマに再生された庭の敷石には、土蔵の基礎部分に使われていた銚子石を敷き詰め、震災で落ちた古い瓦を使い、庭の風景の一部としています。

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 「佐…イナエ」から「いなえ」と名付けたお店は、甘味喫茶、ギャラリー、お土産、工芸品、雑貨などが楽しめます。

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■どこにいても風が通る心地よい空間
 道路に面した右側の甘味喫茶は、季節感のある甘味、飲み物、食事が落ち着いた空間で楽しめます。
 左側のセレクトショップには、江戸時代から続く老舗の「醤油」「ごま油」、職人の技が光る「お菓子」、農家の方が丹精込めて育てた「お米」、作家による「日々の道具」などが並びます。
 土蔵と洋館は、和と洋、暗と明という対照的なギャラリーとして企画展や音楽会、お茶会などが行われています。展示がなくても入ってみたい空間です。
 それぞれの建物からは、創建当時の職人の技、それを受け継ぐ再生のアイデアを存分に感じることができます。

場所 千葉県香取市佐原イ 511 
交通 JR佐原駅より徒歩10分
問い合せ 電話:0478-54-7575
料金 季節のあんみつ780円~
料金  おうどんとミニしぐれ丼セット1,100円
あわぜんざい(冬季)700円
営業時間 11:00~17:00
営業日 10:30~17:00
定休日 水曜日
情報提供 『民家』87号 (取材:写真 東京都・正会員 平野 薫)

2013年7月12日 (金)

広島/茶房「ゆかり」

Photo■美しい町並みの中に
 江戸中期から明治にかけて建てられた建物の町並みが美しい竹原市竹原地区(伝統的建造物保存地 区)。その中央あたりに蔵を再生し茶房ゆかりがある。その場所は頼山陽(『日本外史』の著者)の叔父にあたる頼春風の別宅であったが、その一部を店主の父親が買い取っていた。娘さんの店主が6 年前に物置同然であった蔵を再生して開店したという。 Photo_2  大小のテーブルとカウンター席のほか囲炉裏のある和室があり、20人は十分入れる。椅子席のほうは天井が高く、開放的な雰囲気だ。店内には季節の花木がたっぷりと活けられている。2階部分は展示室になっていて、店主の収集品や季節の行事に合わせた飾り付けがあり、楽しい空間だ。

Photo_4■手作りの茶菓がセンス良く
いちばん人気のイチゴ大福付きコーヒーセットを注文したら、赤い花のついたツバキの小枝が添えられていて心遣いに感激した。日替わりランチは、その日はハンバーグ。メニューのすべてが手作りという。したがって、営業は金土日のみ。
 いまアニメの「たまゆら」がNHK広島で放映されていて、若者の人気を集めている。舞台がこの竹原地区で、ゆかりも登場する。女主人公は地元高校の1年生。土日には多くの若い男性ファンが竹原を訪れ、ゆかりにも行列ができるという。
 竹原は江戸時代に製塩業で栄えた町。試飲のできる酒蔵や由緒あるお寺などもあり、散策を楽しんだ後、この蔵を再生した茶房に立ち寄ってみてはいかが。

場所 広島県竹原市本町3-7-20 
交通 JR竹原駅より徒歩15分
問い合せ 電話: 0846-22-0122
料金 コーヒーセット、抹茶セット700円 コーヒー400円、ぜんざい500円
 日替わりランチ1,000~ 1,250円
営業時間 11:00~17:00
営業日 金・土・日曜日のみ
情報提供 『民家』86号 (取材:写真 東京都・正会員 清沢和弘)

千葉/和食の居酒屋「OSAKANA DINING もんしち」

Photo_3■江戸時代に建てられた建物で…
 千葉県茂原市にある「もんしち」は、店に入ると大きなケヤキの大黒柱が印象的です。
 今回の取材で260 年から270 年前に、この場所で茅葺き民家として新築されたものだとうかがってびっくりしました。自宅から近いこともあり、何度か利用したことがありますが、てっきり東北の民家を移築したものだとばかり思っていました(ごめんなさい)。建てた当時は庄屋さんで、建物の大きさは6間×10 間の60 坪です。

Photo_5 Photo_6  店内の通路を突き当たり曲がったりしながら座につくのですが、いつ行っても底知れない奥行き感があるのは、この60 坪という大きさゆえなのかもしれません。先代が40 年前に「割烹もんしち」をはじめ、現在では8代目の社長が若者にも人気の「OSAKANA DININGもんしち」として切り盛りしています。

■地産地消
 もんしちのお魚は、毎日外房の大原漁港から直送されます。肉や野菜は外房を中心に、千葉県内の食材にこだわっています。もんしちのおすすめのもう一つにくみ上げ豆腐があります。数種類の薬味とともにでき立てのほやほやを時間とともに店員さんたちが客席に運んでくれます。
 店主一押しの新鮮な刺身の盛り合わせと、きき酒師厳選のこだわりの銘酒で、江戸時代の雰囲気を味わってみてはいかがでしょうか。

場所 千葉県茂原市高師825 
交通 JR外房線茂原駅 南口 徒歩3分
問い合せ 電話:050-5798-7993
料金 コースメニュー 2,500円~ /1人
※4人~は予約が必要。
飲み放題:2時間 80種 1,500円/1人
100種2,000円/1人もお得です
営業時間 月~木・日 16:00~ 24:00(L.O.23:00)
定休日 月曜日(祝祭日の場合は営業、翌日火曜日休み)
金・土・祝前 16:00~ 01:00(L.O.24:00)定休日 無休
情報提供 『民家』86号 (取材:写真 千葉県・正会員 小林綾子)

2013年4月26日 (金)

沖縄/ウイークリー古民家間貸し「Le Lotus Bleu」

Maison2_3■石垣島の珊瑚礁の海まで150mに建つ飛騨高山の古民家
 北半球最大といわれるアオサンゴの群落で有名な石垣島の白しら保ほに、飛騨高山から約30年前に移築された築100 年以上と推定される古民家があります。石垣と赤瓦の家が立ち並ぶなか、白と黒の異色の建物が不思議に溶け込んでいます。
 以前は工芸館として使われていたその建物を、私とフランス人の夫がリフォームし、2012年7月からウィークリー間貸し「Le LotusBleu(ル・ロチュス・ブルー)」をオープンしました。2階にはさまざまな大きさの6部屋があり、各部屋にはトイレ、シャワーを完備。1階にはフリースペースと、予約制で多国籍ヘルシー料理を楽しめる食堂があります。
 青い海まで歩いて1分。ゆったりと島時間を楽しむもよし。ここを拠点に離島巡りをするもよし。

56462_292525174193221_1124942645__2■癒し、学び、つながりの場として活用
 1階のフリースペースでは、こども美術教室などの1日講座や、2 週間滞在のパーマカルチャー塾をこれまでに開催しました。家族連れやグループなど、定員30 名程度で貸切にでき、研修や講座に最適です。島の住人と、国内外からの旅行者のつながる場所として、開放的な古民家で共有する時間は忘れられない経験に……。FaceBookでも、日々の様子や講座などを情報発信しています。

場所 沖縄県石垣市白保148  
交通 石垣新空港より車で10分
問い合せ電話:0980-86-7900
E-mail:info@lelotusbleu.asia
HP:www.lelotusbleu.asia
FB:www.facebook.com/lelotusbleuishigaki
料金 一週間一部屋あたり(4人部屋) ハイシーズン63,000円から(食事含まず)
営業不定休
情報提供『民家』85号 取材・写真 (沖縄県・友の会会員 奥谷麻依子)

滋賀/隠れ家レストラン「秀明庵」

1_2■田舎のおばあちゃんち4 に帰った気分で
 伝統的建造物群保存地区に選定されている滋賀県東近江市五個荘金堂地区は、琵琶湖の東、湖東平野のほぼ中央にあり、近江商人発祥の地として知られる。
 この地に接して、レストラン「秀明庵」がある。築160 年、瓦葺の庇をめぐらせた入母屋造りの茅葺きの古民家を再生して、平成14 年9月にレストランとして開業。
 元の姿がまったく見えない「再生レストラン」が多く見られるなかにあって、このレストランはキッチン廻りだけは手を加えたが、各部屋は元のままを客室として使用している。だから「田舎のおばあちゃんち」に帰ってきたような気分を味わえる。

2_3■「和の中の洋」、「古の中の今」を味わう
 さて、田んぼや畑の間の迷路のような小路をたどって店を訪ねてみよう。大戸口の腰高障子を開けると三和土の土間。式台を上がると10畳の広間、その奥の部屋は無国籍な雰囲気がただようテーブル席。広間前の広縁を通って次の間に進むと、そこは庭に面したカップルシート席。広縁を突き当たった元茶室がもっとも古い姿をとどめていて、居心地がよい。赤松や棕櫚の床柱、曲がり木の落し掛け、縦繁障子……、しつらえすべてから、かつての住人の趣味のよさがうかがえる。
3_2 流れるジャズを聞きながら、朱塗りの丸卓の前に座って庭を眺めながら味わうのは「洋魂和才」をテーマにした欧風料理。オーナーとスタッフで考えた「和の中の洋」、「古の中の今」のアイデアに、ひと時のやすらぎがもたらされる。そしてこの建物が「民家再生」の意味を問い直させてくれる。

場所 滋賀県東近江市五個荘川並町713 
交通 JR能登川駅より近江鉄道バス八日市行き「生き活き館」バス停下車、徒歩7分
名神高速竜王ICから30 分、八日市IC から20 分
問い合せ電話: 0748-48-6193(FAX共)
E-mail:shumeian@world.ocn.ne.jp 
料金 昼2,450円~ 夜3,800円~
営業時間 昼11:00~14:30 夜17:00~(夜は完全予約制)
定休日月曜日(祝祭日の場合は営業、翌日火曜日休み)
情報提供『民家』85号 取材・写真 奈良県・友の会会員 南島順子

2013年1月15日 (火)

三重/食事処「菜乃穂」

S■お伊勢参りの旅人でにぎわった街道
 2013年は伊勢神宮20 年ごとの遷宮の年である。その参拝の道の一つ、伊勢本街道沿いの松阪市の郊外には、全国的にもめずらしい妻入りで格子戸のきれいな民家が立ち並ぶ市場庄(いちばしょう)の町がある。“語り部”としてこの町を愛し活動するグループ「格子戸の会」の人たちの手によって、「ぞうり屋、合羽屋、ふろ屋」など当時の屋号札が再現され、かつてのお伊勢参りの旅人でにぎわった様がしのばれる。
 しかし、遷宮を前にして、ウォーキングの人が大勢いるにもかかわらず、この通りに店はほとんどなく、現代旅人のお休み処の出現が待たれていた。
1■旅人、地域の人たち待望のお休み処
 そんななか、格子戸の会メンバーの娘さんが明治15 年築の“妻入り民家”を改装して、街道沿いに屋号・藤音「菜乃穂」をオープンした。店主の「自分の店を持ち、地域を盛り上げたい」という夢と「街道沿いにひと休みできる場所がほしい」という旅人の要望、また「価値ある民家の残る町を何とか残していきたい」という地域の人たちの思いなど、期待されての門出であった。
 料理は地元の季節野菜をふんだんに使った、サッパリした味付けメニューで、特に女性に人気があるという。営業は昼が中心。居心地が良いせいか「お客さんの滞在が長いのが今の悩み」とは店主のつぶやきです。

場所三重県松阪市市場庄611番地 
交通 伊勢道・松阪インターより15分、紀勢本線・六軒駅より徒歩20分
電話 0598-56-6757 
料金ランチ800円、弁当600円~、ケーキ400円~
営業11時30 分から13時30 分、14時から17時までは喫茶のみ
定休日毎週水曜日、第2、4火曜日
情報提供『民家』84号 取材・スケッチ:三重県・正会員 細野良三

徳島/茅葺き民家ステイ 「桃源郷祖谷の山里」

P1150678_4■一棟貸し切りでゆったりとした時間を過ごす天空の宿
 徳島県の北西部、平家の落人伝説が残る落合集落の石垣に支えられた山の斜面には、70 棟余りの古民家が点在している。この日本のチベットとも呼ばれている祖谷の秘境にある「桃源郷祖谷の山里」には、東洋文化研究者のアレックス・カー氏プロデュースによる茅葺き民家を改修した宿が3 棟ある。最初にオープン(2012年4月)した「浮生(ふしょう)」は、明治期に建てられた民家で築100 年以上と推定され、木造平屋建ての外観は当時のままに復元されている。一方、内部はバスルーム、空調、床暖房など最新の設備を備え、快適に過ごすことができる。
 7月にはさらに、「晴耕」と「雨読」の2棟がオープンした。
 宿泊は一棟まるごと貸し切りのため、他の宿泊者を気にすることなく自由に、思い思いのスタイルで過ごすことできる。ゆったりと流れる時間に身をおきながら眺める雲上の景観はまさに絶景、しばし時の流れを忘れるほどである。

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「浮生」の外観と室内

自炊もよし、祖谷の郷土料理もよし
 滞在中の食事についてはさまざまなスタイルがとられている。宿にはIHキッチンや調理器具一式、基本調味料類を備えているので、必要な食材を購入して自炊することもできる。また、予約時に希望すれば別途料金で食事も用意してくれる。メニューは、主に地場産の食材を使った、地元で日常的に食卓に並ぶ素朴な家庭料理。
 また、星の山里ツアー、祖谷のそば打ち体験、落合集落重伝建ガイドツアーなど、どれも祖谷そのものが体験できるプログラムが用意されている。付近には大歩危(おおぼけ)峡やかずら橋などさまざまな観光名所があるが、観光は早めに終えて趣のある古民家ステイを楽しみたい。

場所徳島県三好市東祖谷和田96-3 
交通大歩危駅前から、車で所要約45分
電話0883-88-5120 「茅葺き民家ステイ受付事務所」
料金3~5名で一人一泊8,000円から(素泊まり料金)
営業年中無休
情報提供『民家』84号 取材:愛媛県・友の会会員 岩﨑俊夫


2012年10月10日 (水)

熊本/日奈久温泉「金波楼」

Dsc_7283■部屋にたどりつくまで見どころ満載
 金波楼は熊本県南の日奈久にあり、創業は1910(明治43)年で2010 年に100周年を迎えた。右手の木造3階建の建物は創業時の建築、左手にある鍵型の木造3階建は買収した建物を曳いてきて接続している。木造3階を曳家するとは……その時代のスケールの大きさを感じる。
 金波楼は、道路沿いに高い塀があり、道路際まで建物が迫って建っている。しかし、門をくぐると外の緊張感がなくなり、広々とした土間、緑と古材によりゆったりとした時が流れ、涼しい風がながれている。正面には桜の大階段、奥には古ガラスの硝子戸で歪んで見える中庭が趣深い。玄関土間には古い柱時計があり、なんと24 時間表示のものである。中庭を眺め進んでいくと、奥に漆喰の大壁で鬼瓦を用い演出された大浴場がある。その漆喰には鏝による模様も見られる。2階には80 畳の大広間があり、ここは数寄屋風の造りで、見せ場は陶器の床框だろう!
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■建物の雰囲気に浸り、料理と風呂を楽しむ
 話はあちこちから聞いていて、写真などで見ていたが、実際に行ってみると、「百聞は一見にしかず」とはまさにこのことだ!と思うほどに迫力、雰囲気を感じた。
 宿の料理は近海の魚介類を使った「不知火漁火鍋」や八代海特産の太刀魚を使った「太刀魚づくし」など旬の食材、地元の海の幸を活かした会席料理である。温泉は、12月中旬~2月までは、晩ばん白ぺい柚ゆ 風呂、12月~4月までは甘夏みかん風呂があり、それぞれの浴槽に5~ 60 個浮かべる。ここでしか味わえない気持ちの良いお風呂に入れるのも魅力である。
<2009年4月28日 登録有形文化財に登録>







場所熊本県八代市日奈久上西町336-3
交通JR八代駅乗り換え、肥薩オレンジ鉄道にて日奈久温泉駅下車、駅から徒歩12分
電話・HP0965-38-0611 http://www.kinparo.jp/index.html
料金 一泊夕食朝食付き(サービス料、税込)

平 日:13,650円~16,800円

休前日:14,700円~16,800円
情報提供『民家』83号 取材:熊本県 古川 亮

大分/カフェ「桃花流水」

Cimg2511_2■小さな蔵を改装したカフェ
 大分市戸へ 次つぎ本町は、かつて大野川河川が交通の要所だった頃栄えた市内では、唯一歴史的な町並みが残る地域である。街道筋に残る町屋は商業の集落として栄えてきた。ここに、豊後守護職大友氏と主従関係を結んだこともある家系で、農業のかたわら、酒造を生業とした帆ほ 足あし家の本家が今も残る。主屋である「富ふ 春しゅん館かん」は臼うす杵き の名棟梁高橋団内の作であり、式台付玄関など武家構えの特徴をもつ。帆足家は豊後竹田の出身で文人画家の田能村竹田と深く交流があり、「富春館」は多くの文人墨客を迎え入れたサロンでもあった。
 今回、紹介するカフェ「桃花流水」は、この帆足家の小さな蔵を改装したものである。荒壁と構造材の柱と貫を当時の面影のまま残してあり、変に飾ったところがない。

120318_173245■眠っていた道具が地元の食材と調和する
 カウンターやテーブルの天板には、酒蔵にあった道具や樽のふたを上手く使い、足は蒸し器の角せいろを利用している。食器にいたっては、かつては冠婚葬祭などで使われていたであろう、蔵に眠っていた食器を使用しているが、当時の和食器にケーキをのせても、この空間のおかげか何の違和感もなく、むしろそれが調和している。コーヒーカップもザラメ入れもすべて昔の食器や漆器である。そこにあるものの素材を生かしてつくられたカフェである。それはメニューを見てもおなじだ。戸次のミネラル豊富な土壌で獲れるまっすぐなごぼうや、近くの農園で獲れた野菜など、地元の食材をふんだんに使用したメニューが多数ある。
 オーナーにカフェの始まりを聞いてみた。12年前に「富春館」を一般公開した時に臨時でカフェを開くことになり、もともとここにあったものを利用して、あり合わせで作ったカフェだった。好評を得て、メニューを増やし今のスタイルになった。古いものはお金で買えないからそれを大事にして、今に生かしていきたい。年配の方にも若い方にもそれを見て感じてもらいたいと語ってくれた。

場所大分県大分市大字中戸次4381番地
交通米良I.C.から車で10分
電話097-597-7111
料金コーヒー525円、ケーキセット840円、ランチ800円~
営業 10:00~17:00 定休日:月曜日
情報提供『民家』83号 取材:熊本県 和田恵利子

2012年7月10日 (火)

兵庫/キーワードは「交差点」 「篠山ギャラリーKITA’S」

Kitasdsc_0047■喜多俊之氏がプロデュース作品の発表の場に
 京の都から山陰・山陽に通じる要衝であった城下町丹波篠山は歴史と伝統文化の町である。重伝建に選定されている町並みや武家屋敷など見どころが多く、観光客で賑わっている。町家を再生した「篠山ギャラリーKITA’S」はその町並みの「交差点」にある。オープンしたのは2010年春。
 この町家をめぐるストーリーは2008年8月に突然始まった。直近まで漬物屋を営んでいた町家が解体され、ハウスメーカーの住宅が建つとの情報が流れた。景観上重要なロケーションにあったため、市や関係者は保存すべく動いたが、市は財政難を理由に退き、危機感を抱いた篤志家が買い取った。市民ボランティアで古民家再生事業を進めるNPO 法人が、活用してくれる人に売却することを目的に修理することになった。着手して早々、篠山の地域活性化を支援している世界的に有名な工業デザイナーの喜多俊之氏(JMRA特別会員)が、日本の伝統工芸の発展を願ってプロデュース作品のギャラリー&ショップにと購入を決断された。

Kitasdsc_0045_edited■過去と未来、都市部と田舎を結ぶ
 この町家は江戸期の創建で、現在の姿になったのは昭和初期。修理は建物が最も輝いた時代に戻すことから始めた。喜多氏は「交差点」をキーワードにこの建物を読み解き、ビジョンを語った。過去と未来、都市部と田舎、出会いなどを、町家に込めることでポテンシャルを高めることになった。
 1階のギャラリーは喜多氏が40 年にわたって取り組んできた伝統産業を支える職人たちとのコラボレーションで生まれた作品をはじめ、各地の作家達による作品の発表の場であり、展示即売もしている。ギャラリーの奥にはティールームがあり、お奨めは丹波篠山の銘菓の緑茶セット。2階はセミナールームで、時々のテーマでセミナーが行われている。

場所兵庫県篠山市二階町9-1
アクセスJR福知山線篠山口駅からバス(春日神社前下車)
電話 079-506-0229
料金コーヒー350円、和菓子セット500円
営業 10:00~18:00、定休日 水曜日
情報提供『民家』82号 取材:兵庫県・正会員 才本謙二

栃木/大谷石造りのかわいい石蔵 カフェ「café SAVOIA s-21」

Dsc_0008_edited_2■石蔵に一目ぼれしてカフェを開店
 宇都宮市内の大谷町に大谷石の産地があることから、周辺には大谷石造りの蔵が多く見られる。カフェ・サボイアもその一つで、オーナーのご夫妻がたまたま出会って一目ぼれし、借り受けて内部を改修し、2年前に開店した。
 築60 年、間口3間、奥行2間、2階建てのこぢんまりとした石蔵で、商家の物置として使われていた。
 外観は、大谷石特有のやわらかい肌の明るい壁面。そして観音開きの窓周辺のデザインがなんともかわいらしい。
 内部は1階がカウンター席と厨房、2階が椅子席。2階は蔵の割に階高があり、小屋組が照明を受けて美しい。妻側の壁を一面に鏡張りとしているので、広く感じる。オーナー手持ちの年代物の家具が置かれ、趣味の小物類が各所に飾られていて楽しい。全体がレトロな雰囲気である。

Dsc_0022■大人がゆっくりとくつろげる空間
 カフェは、JR宇都宮駅から徒歩で5分ほど、駅から近いわりに静かな界隈にひっそりと佇んでいる。
 ジャズに耳を傾け、香り高いコーヒーを味わう。リラックスして本を読む女性のお客さんも多い。料理やオリジナルケーキも美味しいと評判だ。口コミ評判は広がり、リピーターが増えているという。
 オーナーのご夫妻は地元出身。夫人は「この石蔵と出会えたのは奇跡です。こういう建物が残っていてくれたことに感謝しています。“宇都宮の宝”だと思うので大事に使っていきたい」と語ってくれた。カフェ・サボイアは、2010 年度の第14回「宇都宮市まちなみ景観賞」を受賞している。店名のSAVOIA s-21は、宮崎駿のアニメ『紅の豚』に登場する飛行艇の名前からとっている。ご主人は大の宮崎駿ファンだ。

場所栃木県宇都宮市今泉2-8-5
交通 R宇都宮駅より徒歩5分
電話028-666-7860
料金 コーヒー470円、ケーキセット800円~、ランチ1,000円~
営業 11:00~18:00 定休日:月曜日(臨時休業あり)
情報提供『民家』82号 取材:東京都・正会員 清沢和弘

2012年4月 9日 (月)

高知/再生古民家の喫茶と宿「カフェスペース蔵空間 茶館」

Dsc_6547■土佐漆喰と石塀が見事な美しい景観の町
 高知県室戸市に重要伝統的建造物群保存地区の指定(1997年)を受けた吉良川という町があります。吉良川は古くから農林業が盛んで近隣の豊富な山林資源を基盤に、木材や良質な備長炭の生産及び集積地として明治期から大正年間に大きく
発展しました。今日の町並みもその頃形成されています。
 町は、旧道に面してこの地方独特の水切り瓦の小さな庇をつけた白壁の蔵や、同じ形の格子が使われた美しい景観が続きます。白壁の土佐漆喰は地灰にネズサを加え水ごねしたもので、糊を含まないため塗り付けた後、水に濡れても戻りがなく厚塗りが可能できめが細かいなどの特徴があります。山側の路地に入ると「いしぐろ」と呼ばれる石垣塀が民家の周辺に築かれています。土佐漆喰・水切り瓦と同じく、台風などの強い風雨から家を守るためのこの地独特の見事な造作です。

Dsc_6398_2■旧家の米蔵を再生した安らぎの空間
 この町並みに残る代表的な伝統的民家の1つで明治期に建造された旧家の米蔵を再生した「カフェスペース蔵空間 茶館」があります。
 約300 坪の短冊形敷地に正門・店と米蔵が道に面して建ち、前庭をはさみ母屋と釜屋(台所)中庭を囲んで離れなどが別棟で配置されています。この建物、実は16 年間空き家で放置されていたのですが平成11年に改修再生され甦りました。伝統的家屋の良さを失うことなく、現当主の感性を随所に生かしながらモダンに仕上げられています。ここで土佐備長炭を使用した直火焙煎珈琲や手作りケー
キ、用途に応じた炭関連製品が販売されています。またこの建物はお遍路宿としても活用されており一般客も宿泊可能です。音楽家でもある素敵なご夫婦の心のこもったもてなしは、素晴らしい家屋とも相まって、極上の旅のひと時となることでしょう。

場所高知県室戸市吉良川町東町
交通 バス:高知市内より県交通バスまたは土佐電鉄バス(2時間)
飛行機:高知空港より土佐電鉄バス室戸岬・甲浦行直通便
マイカー:高知市内より高知自動車道路→南国IC→国道55号→室戸岬方面へ約1時間50分。
電話・FAX0887-25-3700
料金 宿泊お遍路7,500円~ 8,000円(離れ利用)、 一般客8,500円(いずれも1泊2食付)
情報提供『民家』81号 取材:神奈川県・正会員 長谷川和男

山梨/築200年の庄屋造り 蕎麦処「草至庵」

l1八ヶ岳南麓の集落に佇む風格ある屋敷
 日本一の日照時間、咲き誇るヒマワリで有名な、その名の通り明るい里、山梨県北杜市明野町に昨年の1月開業した「蕎麦処・草至庵」を訪ねました。
 道祖神を祀り、昔ながらの季節行事が続けられる集落に、ひときわ目を引く立派な屋敷。庵主の金子徹也さんのご両親が、9年前、退職を機に移住を決意し、長い間放置されていた大地主の住まいを見違えるほど美しく蘇らせたのです。
 山羊や烏骨鶏を飼い、畑で作物を育てる自給自足の毎日を送りながら暮らしてきたご両親。そんなお二人を支えていきたいと、新宿の老舗店で江戸前蕎麦を学んだ徹也さんも、当地に腰を落ち着け、開業の運びとなりました。

l2_4親子が共に創り上げるもてなしの空間
 外廊下が廻る母屋の広い座敷に集う客人に、別棟の土蔵を改築した厨房から蕎麦が丁寧に運ばれてきます。徹也さんが試行錯誤を重ね、細麺にしても歯ごたえがあるように仕上げた蕎麦は、すっきりしたつゆによく合います。烏骨鶏の卵で作る贅沢な出汁巻玉子も人気の一品。
 お母様の恵子さんが仕込む保存食は懐石料理として供されます。自家農園の作物を中心に、添加物は一切使わず郷土の味わいが活きています。食器をはじめ、店内にはお父様の至さんが30年もかけて収集された骨董品が飾られており、しっくりと馴染んでいます。
 囲炉裏端を囲んでの談笑は、ゆっくり流れる田舎時間に浸れる至福のひととき。八ヶ岳南麓にお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。

場所場所 山梨県北杜市明野町上神取1323-1
交通 中央道須玉ICより車で約15分
電話0551-25-2317
料金 もり蕎麦600円、出汁巻玉子600円ほか、懐石コース3,000円より(要予約)
情報提供『民家』81号 取材:東京都・:山梨県・友の会会員 佐々木知勢子 写真:滝沢清次
地図は「草至庵の案内」でご確認ください。 http://blogs.yahoo.co.jp/cnhgn717/29330420.htm

2012年4月 4日 (水)

福島/茅葺き曲家集落の宿 かやぶき民宿「離騒館」

Img_0215_3■水引集落でただ一軒の宿
 南会津の水引地区は、現代的な開発の手があまり加えられていない昔ながらの茅葺き集落の雰囲気を色濃く残していることで知られています。市町村合併で南会津町になる以前は館岩村という名称でしたが、その旧役場から川沿いの道を湯の花温泉を横目にぐんぐんと登って行くと、まるで昔話にでてくるような茅葺きの集落にたどりつきます。現在残っている茅葺きは7軒で、いずれも良く手入れがなされているようです。その集落の入口近くに伝統的な曲屋の宿「離騒館」があります。明治30 年代の建物ですが、数度の改修を経て現在も美しい姿を保ち続けています。女将の五十嵐さんはもともとは千葉県の出身で趣味の登山に通っているうちに、この集落に嫁がれ
たとのこと。集落の使われなくなった民家が解体され、材料が都会にもっていかれるのを見ているうちに、悔しくなり民家を残すために民宿を開業されました。

Img_0187_2■南会津の豊かな自然を楽しむ
 南会津の山々が産み出すキノコや山菜等の山の幸、渓流のイワナやヤマメ、集落の畑でとれたばかり新鮮な野菜が「離騒館」のテーブルにのぼります。そのおいしさは豊かな自然の恵みそのものです。自然を楽しむといえば、水引は花の百名山として知られる田代山(標高1,971m)の登山道の入口。山頂では貴重な湿原植物を見ることができます。季節によっては麓ふもとの松戸原から田代山ライン号が運行しています。松戸原には国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されたばかりの前沢集落があり良く知られていますが、民家通の皆さんには整然としすぎていて物足りないかもしれません。そんな時には少しだけ足を伸ばして水引集落を訪ねてみることをお勧めします。きっとご満足いただけることでしょう。

場所福島県南会津郡南会津町水引469
交通 会津鉄道 会津高原尾瀬口駅から車で約40 分、 東北自動車道西那須野塩原ICから約75km
電話0241-78-2338
料金夏期5,500円 冬期6,000円(税込、1泊2食付)
情報提供『民家』80号 取材:東京都・正会員 公文大輔

福岡/宿 天然田園温泉「ふかほり邸」 

Cimg5285_2■非日常空間を味わう
 筑後平野のちょうど真ん中あたり、ほっとする空間と真心のおもてなしをテーマにした、ふかほり邸を訪ねました。まず目に入るのが、築180年の庄屋の家を再生した主屋です。そこでは洗練されたマナーとともに笑顔の素敵なスタッフの皆さんと、上品なオーナー夫人が迎えてくれます。
 主屋を抜けると、わずか5室の全露天風呂付き離れの宿、温泉棟、パン工房「じゃぱん」、囲炉裏のある離れ等が、4千坪の敷地に点在しています。手入れの行き届いた雑木林の中を散策もでき、存分に非日常空間を味わうことができます。

Cimg5296_3■食事とお風呂を楽しむ
 客室内はすべて自然素材で仕上げられており、部屋から庭を眺めるひとときも格別です。
 食事は、自家農園で採れた旬の野菜や雑穀、食品添加物を使用せず手作りにこだわった体に優しい料理です。私が特に感動したのは、帆立の杉板焼(写真)で杉の香りがほのかに口に広がり絶品です。どれも手間を惜しまずに調理され、野菜は本来の甘みを堪能でき、脳と胃袋まで癒されるお食事です。かまどで炊いた雑穀米、そしてこだわりの味噌……味噌汁も格別でした。
 地下500mから湧き出る温泉はびっくりするほどつるつる肌になります。外風呂はラジウム鉱石でしっとりとした肌ざわりで、自然のなか日頃の疲れも解消できました。
 ぜひ、一度この空間でゆったりとした時間を過ごしてみることをお勧めします。

場所 福岡県久留米市三潴(みづま)町西牟田6552
交通 JR西牟田駅から車で約5分、九州自動車道広川ICより約20分
電話0942-54-6681
料金 29,400 ~ 73,500円(1室)、25,200 ~ 48,300円(4室)(税込、1泊2食付)
情報提供『民家』80号 取材:福岡県・正会員 柳本隆彦

2011年10月15日 (土)

長野県/旅館「まるも」

1_4■宗悦が褒めた旅館でくつろぐ
 松本市街の中心地、女鳥羽川沿いにある旅館「まるも」は、江戸末期(1868年)の創業で明治21年の大火後に建て替えられ、現在に至っています。設計は松本民芸家具の創立者・池田三四郎氏、完成当時民藝運動の父・柳宗悦氏がそのでき栄えを褒めたということです。
 旅館内に一歩足を踏み入れると、街中の喧騒がウソのように静まり、和風でありながらかどこか洋の香りがするしつらえです。また外国からのお客様も多くお迎えしてきた歴史のせいでしょうか、アットホームな温かさも感じられます。

■旅館併設の喫茶「まるも」で珈琲を味わう
3 近年先代のオーナー・新田貞雄さんが他界され、息子の宏さんが後を継いでおられます。長い南米での生活を経て、二十数年ぶりに松本に戻り旅館経営者となった宏さんは「ここは旅館だけど私が生まれ育った家でもあります。やっと我が家に帰ってきた、という感じでやってます」とおっしゃる。そんな思いが旅館のあちこちから感じられました。今年6月松本を襲った大地震でも大した被害はなく、今までと変わらずお客をお迎えしています。
 旅館に併設された喫茶「まるも」は朝8時開店。ほんのりとしたステンドグラスの明かり、心地よいクラシック音楽、どっしりとした松本民芸家具
が、大人の時間を演出しています。カッコいいマスターがいれてくださったコーヒーは、お店の雰囲気と似て大人の味がしました。

場所長野県松本市中央3-3-10
交通JR松本駅より徒歩25分
電話 0263-32-0115
料金一人 一泊 5,000円(税別)、 朝食付一泊6,000円
情報提供『民家』79号 取材:長野県・友の会会員 内川優子

長野県/とんかつ屋「麓庵かつ玄」

1■本棟造りの民家で味わう贅沢でリーズナブルな料理
 松本から国道19号を北上、奈良井川の流れを横目に車のハンドルを握っていると、道路に控えめな「とんかつ屋かつ玄」の看板が見えてくる。慌ててハンドルを右に切り駐車場に入ると、緑濃い山の麓に「麓ふもと庵あん かつ玄」はあった。
 長野県中部地方に見られる本棟造りの大きな古民家は、江戸時代末期、今から170年ほど前に建てられた。屋根は板金に変わったものの全体の面影は当時のままだ。
 小さなくぐり戸から中に入ると、目前に直径600mmはあろうかと思われる黒々とした丸太の小屋組みが現れる。ホーっとため息をついていると「こちらへどうぞ」と座敷へ案内される。座った席の視線の先には、美しいけれど主張しすぎない日本庭園が広がっていた。注文したのは「夏野菜のカレー」。昼の食事にしては贅沢なほどの質と量だがお値段は1,500円とリーズナブル。大満足の一品だ。

■きめ細やかな空間の演出
2 店長にお話を伺った。とてもシャイで繊細そうな青年は、「開店して18年、お客様にとってここが隠れ家的な癒しの空間になるように心配り
をしている」という。ファストフードが横行する現代だが、スローフードを季節感と共にじっくり味わっていただきたいと、空間の演出も実にひっそりときめ細やかだ。季節の花も店長自らが生け、壁に飾られた品々も男性オーナーのセレクトによるという。
 現代社会における古民家再生のあり方が、ここに一つの良い例として存在していると感じた。

場所長野県松本市島内7717
交通長野自動車道豊科インターから車で15分、梓川スマートインターから車で10分
電話 0263-33-1129
定休日年中無休
情報提供『民家』79号 取材:長野県・友の会会員 舛田宣彦

2011年7月 4日 (月)

奈良/古民家民宿「木治屋」

Photo_5 Photo_6屏風岩
■奈良の秘境「曽爾村」
曽爾村は奈良県中部東端に位置し、170万年前から1万年前までの室生火山群が活動していた頃の痕跡がみられます。
奇怪な形の鎧岳(894m)、兜岳(920m)、200mの断崖絶壁の屏風岩などが見え(その下の山桜が絶景)、雄大なすり鉢状の茅場がある曽爾高原は、心をなごませてくれます。

■美しい村を次代につなぐ「木治屋」
Photo_2木治屋は先代(現当主の父)が農家型民家の行く末を案じ、建物の維持とまわりの景観を美しく保つようにと民宿を始めました。「温故知新」を玄関に掲げたのは、「成長した若者達が村外から帰ってきたとき、生まれ育った民家がなくなっていたのでは帰る気が失せてしまう」、「民家は決して快適空間ではなくても生活のバロメーターがわかる大切な空間であり、若者が自慢できるように守っていくことが大切である」という思いからです。
 村の祭り、獅子唄祭は毎年秋にあり、292年も続いています。民謡も幼い時から教え、文化の伝承に努めています。
 「祖父が建てた築130年の農家の歴史や、曽爾高原の野焼の手順のことも次代の人に継いでいってもらいたい」「これからの村おこしとして、「日本の美しい村」を全国に呼びかけ、手をつないでいきたい」とご主人は熱く語ってくださいました。
 料理は山里らしく川魚や山菜が中心ですが、清楚に盛りつけられ、やさしい味付けでした。

              名阪国道針 I.C.より車で 30分
場所奈良県宇陀郡曽爾村伊賀見 2126-2
交通近鉄大阪線名張駅から曽爾行きバスで 25分
電話0745-94-2551  http://kijiya-kominka.com
料金1泊2食 大人 8,500円 小人 7,500円
定休日不定休
情報提供『民家』78号 取材:大阪府・正会員 小原公輝

静岡県沼津市/イタリアン「千本松・沼津倶楽部」

014_3■駿河湾の潮騒に包まれ富士山を望む千本松原
 明治末期から大正初期にかけて、茶人でもあったミツワ石鹸2代目当主三輪善兵衛は三千坪の土地を沼津市から借用し、千人茶会も可能な本格的な数寄屋造りの別荘を建てました。棟梁は、幕府棟梁本家「柏木家」十代目の名匠祐三
郎です(柏木家は上野寛永寺を手がけています)。
 和室は茶室として使えるしつらえになっています。京都から移築されたといわれている3畳台目の茶席もあります。また和洋折衷の部屋があり、そこで終戦直後「昭和憲法」が起草されたそうです。昭和21年、この地の存続と地域の振興を願う有志が社団法人沼津倶楽部を設立し、収益事業として料亭を営みながら庭と建物を維持してきました。
 沼津倶楽部の目の前に若山牧水記念館があります。若山牧水もこの景色を好んですみかを設けた一人でした。

■「和」を感じさせるイタリアン以上の「伊」料理
009_3 レストランの自慢は、近くの沼津港で水揚げされた新鮮な海の幸、富士山の麓の「あしたか牛」など地元の食材を贅沢に使った、シェフ大坂光生の研ぎ澄まされた感性で創り上げられた料理です。
 緑に囲まれた静かな庭と瀟洒な数寄屋造りがかもしだす上質な和の空間で、美味しい料理を味わいながら、ゆったりと至福のひとときを過ごすことができます。
 建物内外の見学も可能です(事前問い合わせ必要)。

        
場所静岡県沼津市千本郷林 1907
交通JR沼津駅から車で10分
電話055-954-6613
料金ランチコース 12:00~13:30(LO)3,500円  5,500円(税込)
ディナーコース 18:00~21:00(LO)8,000円  10,000円(税込)
定休日水曜日
情報提供『民家』78号 東京都・正会員 鈴木英二
    

2011年4月18日 (月)

新潟県佐渡市/古民家で音楽と陶芸の宿 御宿「花の木」

Photo_17■築160年の古民家に優しい時間が流れる
古民家大好き人間にとって、ぜひとも泊りたい宿の条件を考えると、まず宿の建物が本物(できれば古民家)で美味な料理と酒。清潔で風情があって接客良し。そして料金がリーズナブル。加えて近辺で古民家町など見学できれば言うことなし。こんな宿はめったにあるものではありませんが、今回紹介する御宿「花の木」はまさにそのような宿です。

Photo_19 「花の木」は佐渡ヶ島南部、小木町宿根木近くにあります。宿根木はその昔廻船業で栄えた町で、新潟県下で唯一重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。宿の主屋は島内畑野小倉地区で嘉永期(1848 ~ 1853年)に建てられた古民家を、海と山に囲まれ自然が満喫できる2,000坪の敷地に1996年移築再生。古民家の中に2室と宿坊離れに5室の、優しい時間が流れるなぜかなつかしい感じのする小さなお宿です。

Photo_18■料理と音楽と陶芸の宿
さて待望の食事は、美人の女将さんがつくる地元佐渡産の四季折々の新鮮な海の幸・山の幸をふんだんに盛り込んだ料理と地酒が堪能できます。料理を盛る器は陶芸作家でもあるご亭主の作。また佐渡を本拠とする音楽集団「鼓こ 童どう」が近くにあり、時たま「花の木」でコンサートも開催されます。小木町には温泉もあり、海ではダイビングや釣りなど海のレジャーも体験できる、まことに滋味豊かな宿なのです。

場所新潟県佐渡市宿根木78-1
交通小木港から車で約 8分 両津港から車で約 60分
電話0259-86-2331  http://www.sado-hananoki.com
営業時間チェックイン15:00 チェックアウト10:00
料金1泊2食付9,450円、11,000円、12,600円(税込)の3コース
※小木町温泉券サービス一人客(一室)の場合1,050円プラス
定休日不定休
情報提供『民家』77号 神奈川県・正会員 長谷川和男

2011年1月12日 (水)

千葉・勝浦/季節の料理と古民家の宿 「竹林奏」

Chikurin_76 ■ 築100余年の古民家を宿へ

千葉県南房総の勝浦市大楠。木立の中の小道を抜けたその先に、竹林に囲まれひっそりと佇む古民家の宿「竹林奏」がある。広々とした庭には芝生が、花壇には季節の草花が植えられ、散策が楽しむことができる。竹のそよぎや小鳥のさえずりに耳を澄ますと、この宿が「竹林奏(ちくりんそう)」と名づけられた理由を感じることができるのではないだろうか。
築100余年の主屋に入ると、大きな梁や柱をそのままに残した高い天井が目に入る。重厚な外観とは反して、開放的でありながら、迫力のある室内となっている。しかし購入時は傷みがひどく、全面的な改修をおこなったそうだ。その際にこだわったことは「できるだけ元通りに復元しつつ、使いやすいように改装する」ことだったとか。長い時を重ねた古色の味わいを漂わせながらも、水廻りやサッシは使いやすく改装されている。

■ 囲炉裏を囲んで食す、旬の炭火焼料理

Chikurin2_76 「竹林奏」の料理は、地元産のアワビや野菜、箸でも切れる和牛のヒレなど厳選した食材を使用し、四季折々に趣向を凝らした炭火焼のコースを堪能することができる。一品ごとに丁寧に提供される料理は、イタリアンシェフの経験者である店主のこだわりと心配りを感じずにはいられない。
こだわりの料理と空間でのおもてなしは1日2組限定。こちらで過ごす時は日常の喧騒から離れた贅沢な時間となることだろう。
「竹林奏」はそんな隠れ家的宿である。

場所千葉県勝浦市大楠791
交通JR勝浦駅より車で約10分
電話0470-77-1375
料金【宿 泊】1室2名で1泊2食 1名 ¥25,000 ~  ※1日2組限定
【ランチ】囲炉裏焼きコース¥2,940 ~
     ※完全予約制(3日前までに要予約)
ランチ営業時間11:30 ~ 15:00
定休日不定休
情報提供『民家』76号 東京都・友の会会員 信本和美

長野・松本市/伊太利亜炭火焼き料理「ドマノマ」

Mise_76 ■ 時間を忘れてくつろげる空間

今日は親しい仲間や家族とご飯食べに行こうか、というときにまっさきに思いつく、お気に入りのお店です。
新しい住宅街にポツンと残された民家。その民家を改修、増築し1999年にOPENしました。
ハーブのお庭を通ると、苔生した瓦屋根の平屋があります。建物へはくぐり戸からお店へ、そして土間の間へ入ります。和紙が貼られた壁、天井を見上げるとトントン葺き(杮こけら葺き)の瓦屋根下地が…。窓も少なく、隠れ家にいる感じ。「昔の家はこれだったよね~」と思い出す。

■ 地元の味、季節の味を楽しむ

地元産の食材、ワイン、炭からも信州に来たことを実感できます。店の前で採ってきたばかりのハーブも食材に華を添えます。
Domanoma_76 メニューは予算に合わせて選ぶことができますが、私のおススメはパスタ(6種類から選べます)・サラダ・ドリンクに、おちょこのデザート5種!! がついたランチセットです。4人で頼むと、20個のいろいろな形のおちょこがお盆に盛られ、見た目も華やかで、季節の味覚がちょこっとずつ楽しめますよ。

場所長野県松本市寿北6-11-1
交通長野自動車道 塩尻北ICから車で約15分
電話0263-85-7337
営業時間11:15 ~ 15:00(Lo 14:00) 18:00 ~ 22:00(Lo 21:00)
※金・土・祝前日は22:30(Lo 21:30)
定休日月曜日(祝日の場合は変更あり)
情報提供『民家』76号 長野県・正会員 本城将道

2010年11月11日 (木)

新潟・柏崎市/古民家宿「光村屋」

2■芭蕉や良寛が愛した地に建つ古民家宿
宿の前に広がる日本海に夕陽が沈むと、浜の漁民はその日の無事を感謝して、手を合わせる。松尾芭蕉の「荒海や佐渡に横たふ天の川」の名吟はここで詠まれ、良寛さんも行脚の末にこの地に住みつき、多くの書や詩歌を残した。海が夕凪になると海面が鏡のようになり、遠く佐渡島の灯りが映し出される。江戸から明治にかけて文人墨客も往来していた北国街道の海沿いに民宿「光村屋」がある。この建物は江戸時代中期に新潟県柏崎市出雲崎町より移築された。お座敷は、12帖間、8帖間、10帖間が隣合っていて、襖を取ると大広間になる昔の造りだ。総ケヤキ構造の部屋は、どっしりとして築150年の歴史を彷彿させる。祖母の時代から民宿を始め、3代目となる現在のご主人が引き継ぎ、台所、水まわりなどを一新した。

■コシヒカリと新鮮な海の幸を提供
宿泊は別棟を使っているが、この広いお座敷で食事を楽しむことができる。農家を営むご主人は新潟名産コシヒカリを自ら育て、野菜、味噌なども自家製。魚介類は目の前の海で獲れた新鮮さが売りだ。大皿に盛られた地魚の活造りは見事である。出雲崎の良寛さんの史跡巡りの折にでも寄ってみてはいかがだろうか。

■ガイド
場所新潟県柏崎市西山町大崎1693
交通JR信越線柏崎駅よりバス出雲崎行きに乗り、約50分長磯にて下車北陸自動車道西山インターより車で15分
電話0257-47-2046
メニユー(昼)コース2,800円〜、(夜)コース 4,800円〜
 ※すべてコース料理、要予約
営業時間11:00〜20:00
宿泊1泊2食8,500円(1人)要予約
定休日年中無休
情報提供『民家』75号(新潟県・友の会会員宮嶋一彦)

千葉・白里町/アートギャラリー「古屋敷」

Photo_2

■3度目の改装でアートギャラリーに
千葉県JR大網駅から九十九里海岸方面へ車で10分。2000坪という広い敷地の中に建つアートギャラリーは豊かな自然の中にあります。この建物は、築250年余。この家は由緒ある家柄で、隣町の東金御殿に鷹狩りに来ていた徳川家康の鷹狩りの要員として召集されたとの記録が残されています。建物は、昭和初期に養蚕を始めた際に大きな改装を行い、それまで見えていた大きな梁が天井で隠されました。その後、1954年(昭和29年)には、それまでの茅葺き屋根を瓦に葺き替え、3度目に現在のアートギャラリーとして改装されました。

■どっしりとした空間に作品が生きる
ここ大網は、東京駅から特急で約50分、比較的都心からも近く、多くのアーティストが移り住む地域でもあります。オーナーの吉田さんは、その人たちが作品を展示できる場所として、ギャラリーをオープンされました。私が訪ねたときにはもうすでに、年内いっぱい個展のスケジュールで埋まっていました。常設展では、オーナーの奥様の吉田貞子さんの版画作品が壁いっぱいに飾られていました。古民家のどっしりとした空間の中に温かい作品がたくさん飾られていて、建物と芸術作品の両方を楽しむことができる心癒される時間となりました。

■ガイド
場所千葉県山武郡大網白里町下ヶ傍示60
交通JR大網駅から九十九里浜に向かって車で10分
電話0475-72-1328
ギャラリー利用芸術・文化活動を目的とした展覧会、個展、グループ等の利用
利用料照明代など必要経費 ※要相談
入場料無料
営業時間10:00〜17:00 定休日:月曜日
情報提供『民家』75号(千葉県・友の会会員二宮美千代)

2010年9月15日 (水)

東京・立川市/パン工房「ゼルコバ」

Photo_2今ここにあるものを大切に使う
 店の名前の「ゼルコバ」とはケヤキの意味で、店は旧五日市街道のケヤキ並木が残る屋敷林の少し奥にあります。街道からの入り口には木の板に手書きの看板、店までのアプローチは野草が植えられた緑陰の小道が続きます。大正時代の建物は、養蚕のための作業場を店として使えるように少しずつ手を入れながら改装しています。丸太梁のとぶ高い天井は、ほどよい明るさを造り出しています。入り口前のカフェテラスでは、自然の風を感じながら、自家製スープやコーヒーとともにパンを味わうこともできます。

家族で作る無農薬の野菜をパンの材料に
 農業を営むパン好きの奥さんの「自分の畑で採れた野菜を材料にしたパンを作りたい」という夢から始めたこの店は、パンの材料も建物も「今ここにあるものを大切に」という思いが感じられます。働いているスタッフも含めてすべてが自然で素朴な工房です。
 パンは、国産小麦に天然酵母と天然塩を用いて溶岩窯で焼きます。これぞ田舎パンと言える素朴なパンです。皮はパリッ中はモチッとして、噛みしめるほど深い味わい。いろいろな根菜やクルミ、ドライフルーツがたっぷり入ったカンパーニュ(田舎パン)がいちおしです。

■ガイド
場所東京都立川市西砂町5-6-2
交通西武拝島線西武立川駅から徒歩20分。JR昭島駅北口からバス「西砂殿ガ谷」バス停下車。駐車場あり(台数に限りあり)
電話042-560-4544
メニユーふすまパン120円、バケット400円、自家製酵母さんのカンパーニュ(量り売り)、季節のパンほか。ソフトドリンクもあり
営業時間10:00〜17:00(パンは売れ切れ時に終了)
定休日:火曜・水曜・木曜
情報提供『民家』74号(東京都・正会員 新居誠之)