民家の学校

2010年7月 2日 (金)

6期生活動内容

第1回講座 日本の民家~風土と造型

2005年4月10日(日) 自由学園明日館にて

初夏のような気候の日曜日、自由学園明日館の芝庭には、さわやかな風が流れ、桜の花びらが舞い踊る中で、民家の学校第6期が開講いたしました。今年で第6期。卒業生もスタッフとして大勢集まり、毎年のことでありながら、多少緊張気味の校長でした。JMRAからは金井事務局長に来ていただきまして、民家協会の活動主旨、活動内容、今後の動向についてお言葉をいただきました。

第1回の講座は、日本の風土の中から成り立っていった民家のかたちについての講義から始まりました。日本人の自然観や住まい観は人それぞれですが、従然草にもあるように、「家は夏をもってつくるべし。冬はいかようにも住める」。まさに日本の古民家は、日本の高温多湿の気候に対応するため、夏をいかに過ごすかが主になっていました。古民家は、地元の素材、自然のままの風合いを活かし、新しい建築には、表現できないものが多くあります。今回の講座で、改めて古民家の良さを実感したのではないでしょうか。また、民家園見学に参考になるような、様々な視点から見た民家、形も紹介していただきました。

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■ワークショップ1 民家のここが好き

イメージを付箋紙にそれぞれ記入し、各班で班員の意見をまとめて発表していただきました。

<まつ班>の一例
民家を見る、触れる、嗅ぐ(匂い)、聞くなどの五感からのイメージ(毎年、受講生に発表していただいている課題ですが、このような五感という発想は初めて!と校長も関心されていました。)

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■ワークショップ2 どんな木知っている?

知っている木の名前を思う存分出し切っていただきました。
すぎ班が76個で最多!
構造材、家具材、庭木(観賞)、果樹など、様々な分類に分けることができました。

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■ワークショップ3 グループの木はどれ?

各班に木のサンプルを8種類(くり・ひのき・すぎ・なら・ひば・まつ・けやき・つが)をお渡して、クイズ形式で木の名前を当ててもらいました。大沢校長からは、木の特徴や用途について説明をいただき、正解を発表していただきました。
残念ながら、今年は全問正解の班はありませんでした。

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第2回講座 民家園見学

2005年5月8日(日) 川崎市日本民家園

ゴールデンウィーク明けの5月8日、少し肌寒さの残る日曜日、民家の学校第2回講座、川崎市日本民家園見学が行われました。私は千葉からの参加で、遠く川崎まで行くのは遠足のようなドキドキ感がありました。参加者の中には自転車で来られるようなお近くの方や、また私よりももっと遠い方もたくさんいらっしゃったと思います。緊張の中民家園の門の前へ来ると、前回のニュースが配られ、写真やプロフィールを見ながら、1ヶ月ぶりの班員を確認し集まっていきました。民家園の中へ入り、大野先生によって宿場、信越の村、関東の村、神奈川の村、東北の村と順を追って丁寧かつ熱心な説明を受け、一言に民家といっても、場所や年代や用途によってまったく違った形に作られていることがわかり、改めて深さを感じました。お蕎麦屋さんになっている山下家で昼食をとり、班ごとに課題のテーマを絞り、午後は課題に取り組んでいきました。大沢校長から、今回は細かなテーマで、より詳しい発表を期待するとの言葉を受けて、第4回目の明日館では各班緊張の発表になることと思います。(まつ班 MN)

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■ 講師紹介

大野 敏 (おおの さとし) 先生
群馬県生まれ。横浜国立大学工学部建築学科卒業後、財団法人文化財建造物保存技術協会にて、燈明寺本堂、鳳来寺仁王門、旧神戸居留地15番館等の保存修理に従事。その後川崎市教育委員会・川崎市立日本民家園勤務。現在母校の助教授として活躍中。

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第3回講座 森を知ろう・木を知ろう

2005年6月11日(土)12日(日) 群馬県勢多郡東村 大嶽・小嶽の森にて

新緑から盛夏に向けて木々の緑が濃くなっていく景色が美しく、空気も美味しい渡良瀬渓谷、大嶽・小嶽の森で第3回目講座が行なわれました。

初日は梅雨の入りを感じさせる霧雨の中での森林体験。森の遊学舎の久保理事の安全に対する諸説明と奥多摩に伝わるという準備体操の後、早速、山に入りました。まずは山に入らさせて頂くことと、安全に合宿が終了することを願い、森の神様に皆で祈りました。小森谷さんより逞しく育つ自然更新の杉の幼木の説明をして頂いた後、まもなくして植林されて20年が経つという杉が立ち並ぶ林に入りました。間伐、枝打ちされた木々は1.8~2.0メートルの間隔をおき、急斜面ながら整然とバランスよく真っ直ぐに立ち並んでいました。木・森を作ることに如何に人の手間を掛かなければならないのか簡単に想像できました。今回大変お世話になった小森谷さんは山林を1000ha所有とのこと。1000haと言えば私の住む世田谷区のほぼ2.5倍。その広大な土地をどのようにして管理するか想像もできません。

沢沿いを歩き、木々の名前やその植生地域や建材に適しているかの説明を拝聴しました。カラマツ、ツガ、トチノキ、ミズナラ、桂の木のハート型の葉、黒ブナの葉の毛、クマシデの実、ミズメの皮を剥いだ時の匂い、ヤチダモト、シオジの違い皆さん覚えてますよね!? 最後に訪問した大正2年、今から91年前に植林された杉林はどこか神聖な雰囲気でもありました。

箸作りは丸太から。手斧(テオキ)、杭、ナタを駆使してそれぞれ好きな丸太から木を切り出し、後は小刀とヤスリで仕上げました。ヒノキは抜群の香りと色白さ。仕上げのヤスリで如何に木目を綺麗に見せるか楽しんでいるとどんどん細くなってしまいました。(-_-;)栗は長年つかえそうなしっかりとした箸に。杉は、、、割り箸!?綺麗な正目の箸に。意外に苦心した箸作りで市販されている箸の高い精度と丁寧な作りに今まで高いと思っていた箸の値段が安く思えてきました。 夕食は疲れた体においしいお酒も入り、今までの緊張の糸が~。それぞれ親睦が深まった夜だったと思います。

前夜の林業クイズで苦汁をなめたヒバ班による美味しい朝食で合宿2日目がスタートしました。前日の霧雨が一転して晴天となり、違った表情の山を感じながら林業体験をしました。この時期の杉は多くの水分を含む為か杉丸太の皮剥ぎは皮剥ぎ鎌と竹べらだけで意外に簡単にできました。森さんのブリナワ(振縄)実践はまさに圧巻。堅木と縄だけを駆使し、どんどん木の上に登って行く技は流石でした。先人はブリナワの技術で一日80-100本の木に登り、枝打ちしたとのこと。林業の技術の高さと凄さを感じました。

その後山鳴りが。地鳴りとはまた違うドーンという感じでした。切り出した木を山から下ろす修羅シューターを各班共同で作りました。やや左曲がりの修羅シューターを大沢先生監修のもと調整し、うまく木を流すことができました。最後に道具をしっかりと手入し、林業体験は終了しました。

これからの林業を考える座談会では、現在の国産材の切り出した後の土場渡し価格の値段の安さに驚きました。衰退していると言われている農業でも就労者人口は300万人。林業就労者、9万人で日本の国土の67%にもなる森を維持することは絶対的に不可能。林業復活に向けて各班より現実的かつ斬新な意見が出され、どうすれば復活するか議論しました。是非いくつかは実践して頂きたいなあと思います!限られた時間ながら林業体験を通じて、我々一人ひとりの意識も貨幣価値だけで木の価値を考えてはいけないのだと一層考えさせられました。(すぎ班HT)

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第4回講座 民家再生の実際 1

2005年7月10日(日) 自由学園明日館にて

梅雨明けを間近に一足早い夏空の下、第1回講座以来久々の自由学園明日館への訪れである。あらためて、この場で学べることに喜びを感じる。講座の最後には見学会が行われ、それぞれ思い思いにライトの建築に触れた。そしてそれは講義内容にも通じる絶好の実例でもあった。今回の講座は「民家再生の実際1」である。予定変更により、林業体験時の休憩時間を惜しんでまで作成した、各班力作揃いの民家園の発表を午後に控え、少し落ち着かない心持ちの中、大沢先生の「民家調査の方法」から始まった。新居先生の「民家再生の設計」では、多数の事例をスライドを交えてご紹介頂いた。特に、古民家を図書館に再生した事例は、明日館同様、保存と活用について考えさせられるものだった。また、今回、大沢先生より基本調査ができる様になる事という民家の学校のひとつの目標が示された。そこで、自学自習の為に、以下に講義の復習を兼ねて、参考ノートをまとめてみた。

(財)文化財建造物保存技術協会
※平井家住宅解体修理事業紹介は参考になる。「建造物修復アーカイブ」では自由学園明日館をはじめ文建協が関わった建造物修復データが閲覧できる。
大原幽学記念館
※旧林家住宅保存修理工事報告書が送料だけで手に入る。
浦安市郷土博物館
※旧宇田川家住宅修理工事報告書他、数棟の報告書が購入できる。
「日本の民家調査報告書集成(全16巻)」/東洋書林
※全国の教育委員会から出た民家緊急調査の記録を復刻したもの。
登録文化財制度をまちづくりに活用している真壁町の紹介ビデオ
※登録文化財制度の理解に役立つ。
■「民家のみかた調べかた」/文化庁監修/第一法規出版
※絶版だが、先日、神田の明倫館書店で6500円で売っていた。
■「ディテール73号(番付)」/宮澤智士/彰国社
※民家の番付について学べる。これも古い雑誌で絶版。
■「ニッポンのサイズ・身体ではかる尺貫法」/石川 英輔/淡交社
※尺貫法についてわかりやすい本。
■「職人」/永六輔/岩波新書
■「クジラとカネ売ります・計量法現行犯は訴える」/永六輔/講談社
※尺貫法復活運動について学べる。
■古民家平面図スケッチ・房総民家紀行/道塚元嘉
※道塚氏のスケッチは千葉県建築士会会報に連載されている。最新号は大沢先生の手による旧水田家住宅。川崎民家園の建物もある。
自由学園明日館
※明日館のF.L.ライト・ライブラリーでは「重要文化財自由学園明日館修理報告書」の閲覧、掲載図面の複写(有料)、保存修理工事を記録したビデオの閲覧ができる。ビデオは購入もできる。大沢先生推薦の「ライト館の幻影」/遠藤 陶/広済堂出版も購入できる。(すぎ班 MK)

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■ 講師紹介

新居 誠之先生
株式会社和(やまと)設計
※現地再生、現地曳家再生、移築再生、古材利用等、講義と同じ古民家再生の実例が閲覧できる。

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第5回講座 夏期合宿 大平宿民家生活体験

2005年9月17日(土)~19日(月) 長野県飯田市大平宿にて

集落そのままがタイムスリップした美しい村「大平宿」。せせらぎと木々に囲まれ、風が肌だけでなく「さわさわ」と、耳でも楽しむことが出来た。

途中バスを降り、大平街道を歩き、大平宿に入る。大沢校長の説明を聞きながら、集会所である「紙屋」に到着。開校式の後、宿泊棟に分散し、薪割り、竈・囲炉裏の火起し、風呂焚き、夕食つくりに取り掛かる。「火がつかねば、食事はできぬ。風呂には入れぬ。」大沢校長の一言に、みな必死に取り組んでいた。

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■座学 大平宿の歴史と暮らし 講師:大蔵喜久雄氏

古人の歴史を刻んだ紙屋の佇まいの中で、250年余り前にタイムスリップ。大平宿の歴史を、思い巡らしながら聞き入った。

講座後、紙屋では、貴重な物が発見されたり、大沢校長による、梁や柱、建具などの鑑定が始まった。所有者は、校長の鑑定に保存の重要性を改めて実感したようだった。

 

■ワークショップ1 餅つき

大平合宿では、古民家で、昔の生活を体験することが目的。今年は、受講生の要望もあり、「餅つき」を体験! つき立ての餅は、おろし醤油ときなこでいただいた。

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■ワークショップ2-1 薪小屋改修

□床班

昨年5期生が取り組んだ薪小屋に、今年は6期生が引継ぐ。女性メンバーが多い中、卒業生の田立さんと武田さんが指導してくださった。

まずは、スコップで土ならし、地面を水平に。大引きの下に置く礎石を計12個配置した。下の土を盛ったり掘ったりしながらそれぞれの高さを調節し、糸を張って大引きを据える。床材を打ち付ける前に、年輪を見ながらどっちが表か裏かを見分けるところから教わり、床材を木表にして「さねはぎ」という方法で張っていった。繰り返しの作業だったが、日も暮れて他の班が宿に戻ってもまだ作業が終わらない。肉体労働で身体は疲れたが、最後の1枚を班全員で1本ずつ釘で打ちつけた後の爽快感はひとしおだった。

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□屋根班

まずは、昨年5期生が仮施工した垂木、棟押さえを外し、石を撤去。ほんの5,6分で完了。見たところ屋根面積はあまりないので午前中で終わるかも・・・。これが大変な間違い。5期生の丁寧なビス止めのおかげで屋根押さえががっちり食い込んで、全然取れない。散々苦労して垂木・棟押さえを外したのはもう昼のこと。午後からは杉皮・檜皮を半間の長さに切って用意。続いて垂木の位置に墨付けをして、檜皮を2枚、仕上げに杉皮を重ねる。合計3枚、屋根釘で垂木に打ち付けた。更に押さえのためビスで留め、石を置いて工事完了。辺りはもう薄暗くなっていた。

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■ワークショップ2-2 三河屋調査・応急処置

□応急処置班

まず、材料の整理や三河屋の床下掃除から取りかかった。思いのほか作業が多く、今回の目的である応急処理に取り掛かったのは、午後だった。

上下二段に入っている土台をつなげる為、補強を数個所行った後、土台をジャッキアップさせ腐っている束の入換えと上部柱の位置と合っていない束を、束石を設置し移動させた。最後に筋交いを主要な部分に釘を打ち付けた。手を加える前と比べると、見た目にもしっかりとした床下になり、なんとか一日である程度の補強まで終わらせる事が出来た。

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□調査班

「ログハウス風のデッキ」が付足され、微笑ましさ感じる表の外観とは裏はら。後ろへ回ると、お化け屋敷よう。今にも崩れそうな、何とも頼りない構造の上を、息を潜めて調査を行った。

「平面調査」は、番付け→ 柱の記入→ 柱間内法寸法測定記入→壁・天井の種類等調査記入を行った。

「沈下調査」は番付けされた柱に、「レーザーレベル」で基準の高さを出し、テープで印を付け、敷居までの高さ寸法を取り、平面図へ記入。各箇所の差を比較した結果、後方が約10cm沈下していることが判明した。「傾き調査」は「下げふり」を各柱上部2方向に当て、測定した。

調査報告書は後日作成し、今後の対策を検討予定。
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