民家の学校

2009年12月29日 (火)

9期生活動内容

第1回講座 「日本の民家」

2008年4月5日(土)  自由学園 明日館

桜吹雪が舞い散る春うららかな陽気の中、自由学園明日館にて民家の学校第9期が開講しました。座学だけでは学べない、五感が研ぎ澄まされる講座が始まりました。9期生は女性が多く第1回講座から和やかな雰囲気でした。

「日本の民家」をその風土から考えようというものです。気候・植生が日本人の自然観の形成に関わり、ひいては日本人の住まい観にも影響を及ぼしているということでした。後半は、建築学・道具学・民俗学など多種多様な学問が「民家」をどのように見てきたのかといった紹介でした。

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第2回講座 「民家の見方・楽しみ方」

2008年5月11日(日) 川崎市 日本民家園

雨の中、カエルの鳴き声に迎えられた民家の学校第2回講座-川崎市立日本民家園見学が行われました。今回は、日本民家園に勤務されていた横浜国立大学大野敏先生に講師をして頂きました。

民家園の中には、様々な時代、地域、用途の民家が屋外に点在していました。中には、一棟の民家でも曲り屋の様な形態で100年違いで増築されたものもあり、大変興味深く見学できました。

第3回講座 「民家再生の実際(1)古材の再生」

2008年6月7~8日(土、日) 山梨県甲州市塩山他

6月の講座は山梨県甲州市塩山への1泊2日の合宿です。各地に残る民家の中でも塩山型と呼ばれる切妻屋根と貴重な集落が残るこの地で古材の再生活用方法を間近に見て感じることができました。そして、水上荘でのひとときを含めこれまで以上に班や先生生徒をこえての楽しい機会になりました。

上条集落散歩:案内石川重人氏

古材体験から引続き石川工務所の石川さんの解説で福蔵院を起点に茅葺屋根をトタンで覆う上条集落を歩きました。

金井加里神社が集落の規模に比べて大きいことが黒川金山に関係している話や、茅葺材が山茅から戦中小麦栽培奨励で麦わらに変わり、果樹栽培の転換によりトタンで覆うように等時代により屋根風景が変化する話、また現在この集落が現代の生活との狭間で揺れる危機遺産であるといったお話を交えながら、17世紀後期には建てられていたという中村さんのお宅を拝見することができました。塩山型の特徴である四つ建柱から養蚕のために柱の一部を省略し棟下に後から大黒柱を入れるなどまさに「すご技」住宅は驚きの連続であり、住み続ける方々の愛着と生活の歴史を感じました。

高台から眺める集落は周囲の自然とよく調和しており、樹齢100年は超える杉がまっすぐにそびえているのはとてもシンボリックでした。

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古材の保管状況見学&古色塗り体験:石川工務所

石川工務所では石川さんをはじめスタッフの方の説明とともに古色塗り体験は各班に分かれ、柿渋、弁柄など混ぜたり重ねたり3色ずつパターンを作成し、杉や檜、古材に塗装しました。柿渋のにおいや、発色など工作のように楽しみながら体感できました。柿渋は日本古来の塗料であり、防腐剤でもあり、薬や紙衣(かみごろも:レインコート)などの用途になり、その多用性故に民家の庭先には柿の木が多かったという話もとても納得できる発見でした。

大鋸(オガ)挽き見学&体験:雨宮氏

昼食に甲州名物ほうとうを食べ、大工の雨宮氏の元へ。

室町時代に大陸から二人で押し引きする鋸が伝わり、江戸時代に一人挽きの柄鋸が普及しました。 この古来からの製材法は機械製材とは違い、一本の丸太を無駄なく使用する事が出来、切り口の味も機械とは異なります。 今まで見た事も無いような大きな鋸で直径500ミリ程の栗の木を切っていきます。 見た目はかなり大掛かりに見えますが、実際体験してみるとサクサクと切る事が出来ました。 材料だけでなく自らエネルギーも無駄にしない技術、古来の技術のすごさ、伝統を守り続ける努力、一本の鋸から本来の人間の姿を教えてもらった気がします。

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第4回講座 「民家のある町並みと保存運動」

2008年7月6日(日)埼玉県小川町

夏の日差しが降り注ぐなか行われた第4回講座の舞台は、今でも古い街並みや建物が残る埼玉県小川町です。今回の歩きながらの講座では、意外なところにたくさんの面白い発見があり、民家の保存運動から活用まで多くのことを学ぶことができました。

吉田家住宅見学 講師:吉田千津代氏

東武竹沢駅から静でのどかな道を約20分ほど歩いた場所に吉田家住宅はありました。 吉田家住宅の奥様・千津代さんは、元バスガイドということもあり、保存・活用までの経緯をユーモアたっぷりにお話してくださいました。吉田家住宅は、千津代さんが文化庁に連絡したことがきっかけで重要文化財に指定されました。再生実現までには、およそ10年ほどかかったそうです。外は暑かったにもかかわらず、家の中はとても涼しく、快適でした。耐震強度を上げるために入れた鉄筋に穴を開けたことにより風通しがよくなったり、常に火を焚くことによって、空気の循環がよくなり家の中が涼しくなるそうです。他にも馬に乗ったまま家の中に入れる大戸口や胎盤を壺に入れて埋めたという「えな壺」などのお話を伺いましたが、やはり民家は奥が深いです。 お昼には、かまどを利用して作られたご飯をおいしく頂きました。

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第5回講座 「民家生活体験」

2008年9月13~15日(土、日、祝) 長野県飯田市大平

番外WS(火おこしのための事前勉強会):8月2日

大平での合宿を前に、各班から数名酸化して、火おこしの一通りを学ぶワークショップが、千代田区の神保町区民館で開かれました。メインは火口づくりとつけ木づくり。火口は、火打石と火打金から出た火花を受けるもので、古着やTシャツを裂いたものを固く丸め、それをガスコンロの上で黒くなるまで焼いて作ります。しっかり中まで真っ黒になるまで焼いておくのがポイントです。つけ木は火口の上に落ちた火花を大きくするために使うもので、いわゆるマッチ。薄い木を細長く切りわけ、先に硫黄を溶かしたものをつけて作ります。火口は乾燥させておくことが必要なので、密封できる缶に入れておきます。火打石は硬度7以上の硬いものが必要で、反対に火打金は、少々やわいものが使いやすい(火花が出やすい)とのことでした。今回はWSの前に、100円ショップで買った中国製ノコギリをかまぼこ板に差して作った火打金を準備して頂きました。番外WSでは、火花は出ても、そこから火をおこすのが結構大変で、火花が出やすい火打石の争奪戦となりました。昨年度の合宿では火おこしに苦労してご飯が炊けなかった班があると散々脅かされ、ドキドキして本番を迎えたのでした。

■ワークショップA:障子班

障子班が張り替えたのは、おおくら屋、大蔵屋、藤屋の障子合わせて二十枚程度。大沢校長の奥様の慶子さんの手ほどきを受け、前日に各家で障子をはがして乾かした建具の作業にとりかかりました。地味な作業ながら、立ったり座ったり、そして糊付けやカッターで紙を切る作業で緊張したりという時間が続きました。今回使用した障子紙はかなりの上等品のようで、強度が強いです。また、同じ刷毛でも上等の方が糊の付き方が良かったりと、やはり良い道具が大事なんだなと実感しました。各家共に、一晩目は、隙間風だらけでしたが、二番目は風通りが幾分塞がれ、なんとなく暖かかったような。障子一枚でも重要なのです。

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■ワークショップB:根太工事班

根太工事班では、三軒並ぶ真ん中の大蔵屋の八畳間の根太の修理に挑みました。畳が凹み、どうにも寝心地の良い状態ではありませぬ。畳からみると、畳-床材-根太-大引き-束-土台の石、という順番になっているので、畳が乗る板のすぐ裏の部材を交換するのが、根太工事班のお仕事です。しかしそのはずか、実際に床板を引っぺがしてみると、根太は結構朽ちていて、大引きも束も一部修理せねばならぬ状態。しかも、躯体が縁側に向かって数センチ傾いており、これが寸法割り出しの障壁に、WSリーダーの田立さんもいつしか無口に。想定外の大工事になりましたが、昼食をはさんで、作業は終了。

今度は戻した畳が平らな床の上で歪んでいましたが、じきに平らに戻るでしょう。午後からは、三軒並ぶ右端のおおくらやの囲炉裏端の床材の補修。ここはもう田立さんと大沢校長の独壇場。華麗というより流麗な職人技を無言で繰り出す田立さんと、それを補助する大沢先生、さすがにプロの職人と建築家。格好良すぎでありました。

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■ワークショップC:修理班

修理班では、主に建具の修理を担当しました。建具の取っ手の取り付け、閉まらない扉の修理、壊れた扉をボードで修復、扉の戸車とレールの修理など、地味で細かい修理ですが、やらないと生活に困ることです。最後まで閉まらない建具は、それを取り外すために、まず枠の上部を一部削り、外した建具を直してから枠にはめ、新しい木で欠いた枠を補修するという、なかなか手間暇のかかる作業が必要でした。

 

■ワークショップD:建具班

建具班はおおくら屋の建具の修理にあたりました。以前、おおくら屋を直した際に、床と梁の寸法が変わってしまったために、それまで収まっていた建具がどうにも収まらなくなったとのこと。このため建具の上下を削って寸法を合わせるという作業にあたりました。これがなかなか難しい様子。直線で部材が切ってあるようでいても、微妙に手前と向こうの寸法が違う。おおくら屋、最初はこの建具が壁に立てかけてあり、部屋が仕切れずなんともしまらない様子でありましたが、ワークショップ後は障子が入り、建具が入り、全体としてすっきりした印象に。立派に、廃屋寸前→再生民家と出世を遂げました。

第6回講座 「民家を支える技術(1)木工」

2008年10月5日(日) 埼玉県久喜市 (株)和田工芸

◆講義1「大工道具」

大沢校長が電車を乗り間違えて遅れる(!)というアクシデントがあり、予定を変更してまずは先に和田工芸の和田さんから大工道具や和田工芸、現代の大工についてお話がありました。

なかでも特に興味深かったのが、「大工育成塾」という国のプロジェクト。工務店で働きながら、座学での講習も受けに行き、3年で1人前の大工にするというプロジェクトとのことでした。工務店としても育成塾に行かせながら、働いてもらうのは大変なようでしたが、次の世代に技術を伝えていかなければという熱い心意気を感じました。

◆講義2「伝統木造建築」

次に大沢校長より、縄文時代から始まって、明治に至るまでの伝統木造建築についての講義がありました。日本人は建築の材料として木を選んだということ(石ではなく)、しかもヨーロッパでよく建築材料として使われる樫やブナなどの固い広葉樹ではなく、針葉樹であるということが複雑な仕口など日本特有の建築技術の発展につながったということでした。

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第7回講座 「林業体験」

2008年11月2~3日(日、祝) 静岡県浜松市天竜地区水窪町

第7回講座は、浜松市天竜区の水窪町で行われました。林業の現状、木の使用法を講義で学ぶとともに、山で下草刈り、間伐にいそしむという、頭と体をフルに使う2日間でした。

◆TSドライ見学

TSドライでは、新月伐採された木材と製材の様子を見学しました。

新月伐採とは、新月前の数日間に木を伐採すること。新月伐採された木は、腐りにくく、割れにくく、曲がりにくいという特長があります。伐採後は通常3ヶ月以上寝かせ、葉や根から水分が抜けるのを待ちます(葉枯らし)。その後、貯木場で半年~1年間、含水率が30%を切るまで天然乾燥させます。また、木材1本1本にタグを付け、いつどこで伐採されたかを記録します。

木で家を造るということは、木の命をいただくということ。自然の営みに沿った製材法からは、木に対する畏敬の念さえ感じられました。

 

◆ワークショップ(1) 下草刈り

2日目はワークショップが盛りだくさん。色づく山並みを見渡す標高600~650mのスギ・ヒノキ林を訪ねました。最初のワークショップは下草刈り。「とにかく安全に」という守屋さんの激励を受け、一同緊張の面持ちで幼木の並ぶ斜面へ。慣れない作業の中、最大の難敵はイバラでした。トゲが痛くてしっかり持てず、指を離すと顔面めがけて跳ね返ってくるタチの悪さ。それでも互いの姿に励まされ、斜面の上をひたすら目指しました。また、地下足袋を履いた人はその威力に感動。歩きやすく、踏ん張りやすく、滑らず、気分は“おらが山”。終わってみれば、充実感とともに山への愛着がわき「また来てみたい」と思った人もいたのではないでしょうか。

 

◆ワークショップ(2) 間伐

休憩でかわいい梨をいただいたあとは、間伐です。チェーンソーで木の谷側に切り込みを入れ、あとは一気に。切り屑と木の香りがパッと周りに広がると、ものの数秒で見事切り倒されました。しかし、ここまで育てるには大変な労苦があります。ヒノキがビール瓶の太さになるまでの間、節が出ないように、毎年1回根元から3~4mの枝打ちを繰り返すそうです。また、7~10年に1回間引きをして、直射日光をとり入れて下草を生やし、50~60年かけて針葉樹と広葉樹のバランスが取れた森林を育て上げます。

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第8回講座 「民家を支える技術(2)左官」

2008年12月7日(日) 自由学園 明日館

「どぞう」の絵本を朗読し土蔵とはどのようなものかを講師の村尾かずこさんと校長が対談形式でおこなった。わかりやすい内容で良かった。また土壁の歴史と魅力をテーマに校長の講義を受け、これからの土壁はどうあるべきか、多彩な表情を生かし、自然素材の特性を生かすことで土壁の未来を考えた。ワークショップでは、少しでも土壁の感触をつかんでもらおうと、竹ざる漆喰左官アートをおこない、各自個性的な作品をつくることができた。また、修了式のときに、作品の発表会もすることができ有意義な一日であった。