イベント報告

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2011年12月

2011年12月 8日 (木)

長野/「民家フォーラム2011in信州」現代の暮らしに民家を生かす

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 11月5日、6日の2日間にわたりJMRA主催の「民家フォーラム2011 in信州」が長野県安曇野市で開催されました。第14回目となる今回のフォーラムは、JMRA「信州民家の会」が1年を通してイベント「信州スタイル」を開催し、地元マスコミへのPRも重ねたことが実結び、会場の安曇野サンモリッツは多数の来場者と出展者で賑わいました。
 1日目、中ホールでは小林廣高実行委員長による開会宣言、佐藤彰啓JMRA代表理事による主催者挨拶、村上広志安曇野副市長による歓迎の挨拶がありました。続いて「民家を生かした快適な暮らし」をテーマに、降幡廣信氏、土本俊和氏、川上恵一氏によるシンポジウムが、
300席を埋め尽くす熱心な観客のなか行われました。
 続いて「民家再生奨励賞」の表彰式では、受賞した22作品の再生民家の紹介、授与式が行われました。また、会員と地元の大学生による絵画・写真の展示、民家再生相談会も催されました。

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 大ホールでは、30を超える出展があり、数多くの展示、販売、実演や体験イベントが催されました。屋外では丸太の製材、大民家の組み立て、揚家実演、上棟式、木遣り、餅投げが行われました。
 懇親会は、木遣りの歌声で始まり、全国各地から集まった会員が友好を深める
ことができました。
 2日目は、大ホールでは前日からの出展に加え、地元高校生による書道ガールズのパフォーマンス、高校生民家写メールの表彰、民具ークションなどがあり、盛り上がりました。

Dsc_0216 安曇野市「本棟民家見学会」
 小雨のなか、102名の参加者が2班に分かれ、安曇野市内にある登録有形文化財で花林糖ショップの「蔵久」、フォーラムのポスター掲載された「飯田邸」を見学した。 松本市の老舗菓子メーカー久星食品が店舗として再生し営業する蔵久は、江戸後期建築の本棟造り家。所有者から土地建物を10年契約で借り受け、主屋や蔵の一部を含め、敷地の3分の1、約2000㎡を再生し2005年に開いた。
 久星食品の三代目社長の青柳良彦さんは、再生・店舗利用はブランディング事業の一環、と位置付ける。利益を維持管理費に還元、家主さんが家に寄せる思いも受けて表現し、安曇野を訪れるお客様にここでしか味わえないものを感じてもらいたい、と話した。
 次に訪れた飯田邸は、ふだんの生活の場である非公開の住宅をご当主より特別の許可を得ての見学。建築家・降幡廣信さん、信州大学・土本俊和さんの案内を受けた。
 土本さんは、南の妻入り正面アプローチから、規模が大きく緩い勾配の屋根を持つ本棟造りの特徴を説明。正方形9割の内部空間の構成について、正面入口の位置から派生する東西南北とカミ/シモ、オモテ/ウラの方向性の関係を外観より説いた。家屋内部には、降幡さんが大戸から土間、中央のオエと呼ばれる居間へと参加者を導いた。土間から見える大黒柱の構造的な必要性と来訪者に力強さを付ける視覚効果、座敷の庭が縁側を通し室内と連続し、庭までが室内という自然と調和する日本の民家の姿など、実際に見て感じてと呼びかけていた。
(長野県・田澤佳子)

B_editedオプショナルツアー「蔵のまち松本を歩く」
午前中の本棟民家見学会に引き続き参加のグループは途中の「麓庵かつ玄」(本棟造り)にて、松本に直接参加のグループはレトロな「松本ホテル花月」にてそれぞれ昼食を済ませて、午後1時に城下町松本市内の大手門駐車場に47名が集合。 あいにく小雨模様であったが、前日のシンポジウムで講演いただいた松本在住の建築家・川上恵一さん、松本市はかり資料館長の田中健太郎さんの案内で蔵の
町並みを歩いた。
 市の中心部を流れる女鳥羽川沿いに民家風に整備された小さな店が並ぶナワテ通りを眺めながら橋を南に渡ると、「蔵のまち」中町に入る。善光寺街道の中ほどに当たり、町人町として栄えてきた。なまこ壁の蔵造りの商店などが軒を連ねている。多くは明治23年の大火の後に建てられたものだという。
 まずは造り酒屋を移築再生した「中町クラシック館」に立ち寄り、土間や板の間の広くて高い空間に身を置いて蔵の魅力を確認した。
 松本は「平成の名水百選」に認定されたまちでもある。そこで、横道に入り、「当国第一の名水」と言われた「源智の井戸」に立ち寄る。
 中町通りに戻って、全国唯一という「はかり資料館」を見学。これも蔵である。裏庭には明治の名棟梁・立石清重が手がけた「旧三松屋座敷蔵」が最近、移築復されている。2階は洋間で文明開化の意匠が面白い。
 松本民芸家具や工芸品の店、食事処、和菓子や漬け物の店など、地域色豊かな町並みを楽しみ、最後は川上さんの事務所にて本日総括。この事務所は取り壊し寸前の診療所を借り受けて最小限の修繕・整備をした大正ロマンの建物で、まちづくり関係者の会合場所にもなっている。川上さんの「民家の価値をもっと多くの人に知ってもらいましょう」の発言に一同拍手をし、再会を約して三々五々帰路についた。
(民家まちづくり部会清沢和弘)