イベント報告

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2010年11月

2010年11月30日 (火)

新潟/越後高田 雁木(がんぎ)のまちなみを歩く

会場=新潟県上越市
期日=2010年11月20日・21日

今回は、まちづくり部会と新潟民家の会の共同企画です。
日本一の豪雪地帯・高田は、11月には珍しく両日とも快晴に恵まれました。初日の20日は正午にJR高田駅に13人が集合。まずは「富寿し」で腹ごしらえ。その後、地元まちづくり団体「越後高田あわゆき組」の関由有子さんと石塚正英さんの案内で雁木の連なるまちなみの見学へ。

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雁木の総延長は16キロ、日本最長とのこと。最近でも雪は2~3メートル積もるのですが、今は車道については行政が除雪してくれるので、かつてのような難儀はないそうです。雁木はアーケードのようなものですが、違う点は雁木とその地面が個人所有であること。各家が自分で設置するのですから、雁木は連なっているもののバラバラで、風情はあるが見栄えがいいわけではありません。それに、これも風物かなと思いますが、最近は雪下ろしのためにアルミ製のはしごが常設されているので異様な眺めです。

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ところが、町家の内部に案内してもらうと、その立派な構造に驚かされます。吹き抜けのチャノマが豪快です。富山県に見られる「枠の内」を思わせる太い柱が四方に立ち、吹き抜けの上方まで延びています。そこには高窓が設けられ、十分な明かりが確保されています。オモテニカイとウラニカイを結ぶ渡り廊下も興味深いものでした。そんな町家の内部を6軒も見られたのは大収穫でした。
まちづくりに関わる団体がいくつかあり、町家住人を含め活発な活動を展開しているがゆえに、こんな素晴らしい見学ができたのだと思いました。
宿で夕食の後、JMRA会員の北折佳司さんが移り住んでいる民家を訪ね、囲炉裏を囲んで地元の方も加わり地域おこしの話になりました。

_edited_16 翌21日は北折邸を再訪。構造材の立派な大きな茅葺き農家です。移住1年半でまだ未整備ですが、徐々に手を付けていくのでしょう。しかし、北折さんは地域にどっぷり漬かっていて、解体寸前の民家を引き取ったり、使われなくなった納屋を移築再生中であったり、地域活動に参加したり、充実した日々をを送っているように見受けられました。これこそ、今年の民家フォーラムのテーマ「民家を生かす、地域をおこす」の活動事例だと思いました。
高田の市街地から車で30分ほどの地域ですが、景観のよい山村であるものの、過疎高齢化がすすんでいて、ここでも地域の活性化が課題です。移住者を歓迎しており、「自然と暮らそうサポートセンター」が活動しています。

周辺を散策し、北折さんの健闘を期待しつつ別れを告げ、その後、日本で初めてワイン用ブドウ品種を開発したという歴史を持つ岩の原葡萄園などを訪ねて、帰途につきました。(東京都・正会員 清沢和弘)

2010年11月12日 (金)

岐阜/「民家フォーラム2010 in 飛騨市」

「民家フォーラム2010 in 飛騨市」が10月16日(土)、17日(日)の2日間で行われ、多くの方にご参加いただき無事終了いたしました。
当日の様子をちょっと写真でご紹介します。(JMRA事務局 渡邊 泉)

_edited_3 まつり広場での屋台入替。迫力満点です。

まつり広場では、このほかに、曳家(ひきや)実演と、杣(そま)職人の実演が行われました。

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              なぜ機械を使わずに丸太が平らになるのだろう…

16日は古川のまち歩きからスタートしました。30人ずつ4班に分かれて、地元のガイドさんの説明を聞きながら散策しました。

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右手はろうそく屋さん
           
吹き抜けから作業部屋まで明かりが降りてくる仕組み
     
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登録有形文化財の酒屋さん コイの泳ぐ瀬戸川と白壁土蔵


夜には、「第5回民家再生奨励賞」の授賞式と懇親会が行われました。懇親会は、参加者が100人以上ということで、このお膳…!

Imgp0254 端が遠くてよくみえません・・・

2日目の17日は、宮川地区の民家、種蔵の見学と、シンポジウムです。

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2日目も地元の方含めたくさんの方にご参加いただきました。ありがとうございました。
さて、来年2011年は長野!

2010年11月11日 (木)

長崎/五島列島の木造教会群を巡る旅会

会場=長崎県下五島
期日=2010年9月4日(土)、5日(日)

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 JMRA九州・沖縄地区運営委員会ではこれまで、九州民家塾のイベントとして「重要文化財民家を巡る旅」を企画し、九州各地の重要文化財の民家、まちなみを訪れてきました。昨年の広島県福山市「鞆の浦」に次いで今年は、長崎県五島列島の島々に残されている木造の教会群を、参加者15名で巡ってきました。
 4日の早朝に福岡を出発し、7時10分に長崎港ターミナルに集合。7時40分発のジェットホイルに乗船すると、もう九時には福江島に到着しました。
Egami1 早速「堂どうさき崎教会」を見学。明治41年に鉄川与助が設計したゴシック様式の天主堂は、南海の美しい入り江とゴシック様式の赤い煉瓦がとても印象的でした。その後同じく鉄川与助が設計し、木造教会としては最大規模の「水みずノの浦うら」教会、ゴシック様式の「楠くすはら原教会堂」、そして色鮮やかなステンドグラスの「貝か い津つ教会堂」を見学。車窓から垣間見えるまさに津々浦々の景色、点在する集落や澄みきった蒼い海に感動しました。
 夕方五時に、海上タクシーに乗船して久賀島に向かいました。久賀湾に面した島唯一の民宿「深浦荘」では、翌日に見学する予定の「旧五輪りん教会」の保存に尽力された坂谷さんを交えての懇親会が行われました。久賀島の歴史と五輪教会保存のいきさつについてのお話しはとても感動的でした。
 5日は、タクシーにて「深浦荘」を出発。途中の道は車の離合できない細い山道、そして最後は坂谷さんの案内で10分ほど歩き、やっと国指定重要文化財「旧五輪教会」に着きました。外観は和風ですが、内部の木造リブ・ヴォールト天井は、長い年月を経た深い味わいとゴシック様式の持つ普遍性を感じさせます。
 本当によく残されたと、改めて坂谷さんの保存運動に感謝です。
 そして、近くの船着き場から坂谷さんに見送られ、海上タクシーにて最後の教会、奈なる留島の「江上教会」へ向かいました。鉄川与助の手による最も完成度が高いと言われているロマネスク様式の天主堂リブ・ヴォールト天井の空間は、旅の最後を飾るにふさわしい見応えのあるものでした。
(福岡県・正会員 照井善明)

兵庫/第22回ボランティアによる茅葺き民家再生プロジェクト

会場=兵庫県赤穂郡上郡
日時= 2010年9月25日(土)、26日(日)
 
 現場に到着してまず驚いたのは、好き放題に伸びた雑草。総勢15名で約一時間半かけて草刈りを行い、現場はすっかりきれいになった。
 201009_3ようやく上棟作業にとりかかる。まずは基礎の上に土台を敷く。「コン、コン、コン」「入った入った!」「ん、なんかちゃうぞ」「この土台長すぎるやんか。直さなアカンで」。しばしの刻み作業の後、「よっしゃ今度は無事納まった!」。こんなやりとりもありながら、少しずつ作業は進んでいく。
 柱が立ってきたら貫を通し、桁を載せ、つなぎの梁を架けて小こ屋や束づかを立てる。最後に棟木が無事納まって上棟。お神酒と塩で簡単な儀式も行い、晴天の初秋の空に古材の骨組みが映えた姿はとても清々しかった。
 土台から柱、梁、貫など、すべての構造材は、過去2年にわたって、このプロジェクトに参加された素人のみなさんが、一つひとつ仕口を手で刻んだものだ。ホゾや蟻だけでなく、なかには光りつけをしたものまである。すべての材料は、この敷地内に建っていた建物の解体の際に出た古材ばかり。棟梁の指導があったからこそできたものではあるが、それにしても実際に建ってしまったのだからすごいと思う。 二日目の作業は、垂た る木きを流して野のじ地板いたとルーフィングを葺き、雨あ ま仕じ舞まいができたところで終了した。 このプロジェクトは、2003年に民家バンク登録物件としてJMRAが相談を受けたことが発端だった。一〇年間無償で、ボランティアによる民家再生を自由に行うことをオーナーに了承していただいた。着手した2005年から数えて今回で通算22回目となる。 毎回一泊二日の日程で、夜の宴会も含めてみんなで大いに楽しみながら続けている。
 残された期限は4年。興味のある方はぜひご参加いただきたい。次回は、2011年5月の予定だ。
(兵庫県・正会員 佐藤 仁)

神奈川/第四回日本民家の美術展

会場=神奈川県横浜市 横浜みなとみらいギャラリーA
日時=2010年9月15日(水)〜19日(日)

 JMRAには、民家が好きで、写真、絵、スケッチなどの趣味を持つ会員が多く、なかには、セミプロ級の腕を持つ人も少なくありません。そんな人たちが、自由に発表できて、加えて会員同士の交流の場にもなる美術展を開催してみてはどうかと、企画され2006年に第一回が開かれ、今回で第4回を迎えます。会場は横浜みなとみらいの大きなショッピングモール内で開かれ、延べ470名の来場者が来館しました。

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日本民家の美術展に出展して

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私は設計の仕事をしていますが、透明感のある空間と美しい「破風」のディテールを設計する建築家の事務所に入ったときに、その原型が民家にあるということ知りました。それ以来、風雪に耐え、その土地の歴史や文化などによって生まれた民家を、改めて意識するようになりました。
 その後、仕事でも約30年間、手描きのパースを描いてきましたが、仕事のかたわら民家に関わり合いたいと強く考えるようになりました。そして、民家そのものだけでなく地形から生まれたその集落の姿を描きたい、パースという仕事を生かし、写真やスケッチでは描けない別アングルから描き、新たな発見を楽しみたいと思うようになりました。「日本民家の美術展」への出展作品も初回から、毎回テーマを決めて描いています。
 私は今年、「民家の学校」を受講していますが、そのなかで自分の知らない集落を教えていただく機会もあります。最近訪れた長野県の大平宿では、昔の街道沿いの山奥にひっそり埋もれていた民家に、その土地から生まれた気品と格調の高い破風のディテールが表れていました。このような出会いをもとに、私はこれからもいろいろな視点を探して描いていきたいと思っています。そしてそれらを「日本民家の美術展」に出展できたらと思っています。
(神奈川県・友の会会員 柿沼迪夫)


2010年11月10日 (水)

各地のJMRA会員の活動

崎空き家・古民家等リフォームフェアに参加して

Photo「ふくしまの家地域活性化推進協議会」主催のこのイベントは、福島県在住者や二地域居住を希望している人に、古民家の空き家情報や実際のリフォーム事例を紹介することと、建築の専門家にも民家の再生技術を学んでもらう目的で、九9月19日(日)、20日(月)に福島県郡山市で開催されました。
 一日目のリフォーム勉強会では、福島のJMRA会員宗像智加枝氏と渡辺仁氏が民家の再生事例報告を行いました。二日目は「古民家空き家活用プロポーザル」の公開審査と発表の後、「古民家等リフォーム技術講習会(第二回)」で、宮城県のJMRA会員佐々木文彦氏と、プロポーザルの審査委員長でもある筑波大学の安藤邦廣教授が講師を務められました。
 福島県には茅葺き民家や蔵が数多く残されています。まだ使えるのに取り壊され、放置されて朽ちていく民家も少なくありません。
 今回のイベントのように、地域の力を総動員して民家の維持管理や活用方法を広めていくことが必要だと思いました。
(福島県・友の会会員 斎藤いち子)

幸手まちなか再生・活性化事業にJMRA会員が参加・協力

「しあわせの手」と書いて幸さ っ手てという町をご存知でしょうか。幸手市は埼玉県北東部の小さな町ですが、中心部は日光街道の宿場町として栄えていました。
 その幸手で地元を中心に、私たちJMRA会員がアドバイザー兼サポーターとなり「旧日光街道幸手を感じる会」というボランティア組織をつくり、これを事業主体として国交省助成事業の「地域木造住宅市場活性化推進事業」の助成を受けました。江戸時代後期の町屋であり、登録有形文化財の岸本邸を核に活動しています。幸手駅前に岸本邸までの案内道標を設置し、街道に残る木造商家を記したガイドマップを作り配布しました。ホームページの開設、将軍吉宗が日光墓参の折に食した昼食を「吉宗弁当」として売り出す協力なども行っています。岸本邸を改修することもこの事業の中心テーマで、家財(お宝?)の片付け、曳き家なども活動の一部です。
 去る九月一八日には、「幸手の建物を活かし、幸手の文化を生かす」をテーマに、登録文化財に関する第一人者である工学院大学後藤治教授の講演会を開催しました。
 次回は一一月一三日(土)に「文化財保護調査ボランティアの会」代表の野澤秀吉氏による「日光道中幸手宿受け売りばなし」の講演を予定しています。
(東京都・正会員 新居誠之)