イベント報告

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2010年9月

2010年9月30日 (木)

岐阜県/日本建築研鑽会 飛騨講座 杣職人と飛騨の匠

 今回、第三回目となる連続講座「日本建築研鑽会 各地の作法に学ぶ」が8月21日(土)、22日(日)に岐阜県飛騨市の宮川町、古川町にて開催されました。

全体写真

 1日目は、宮川村で現地再生された民家を見学したあと、若き杣職人(山から木を伐り出し、その場で製材を行う大工)荒木昌平さんの案内で、林業地および作業場でのマサカリ、チョウナ、オガの実演を見学し、一部参加者も体験しました。
 杣職人・荒木さんの実演動画はこちら

宮川村現地再生見学 チョウナ実演
宮川村現地再生見学とチョウナ実演

 2日目は、まず荒木さんご自身が、以前の家の解体材を活用して建てたご自宅を見学。その後古川町に移動し、飛騨の匠、金子公彦さんを講師に、飛騨の匠文化館、金子さんのご自宅、作業場などを見学しました。

荒木さんご自宅見学 飛騨の匠文化館に展示されている金子さんご自宅模型
荒木さんご自宅見学と飛騨の匠文化館に展示されている金子さんご自宅模型

長野県/日本建築研鑽会 信州講座 漆と建築

 今回、第二回目となる連続講座「日本建築研鑽会 各地の作法に学ぶ」が6月12日(土)、13日(日)に長野県にて開催されました。

全体写真 宴会写真


 1日目は、まず、木曽平沢町のかどや漆器店にて金閣寺改修時のお話をお聞きしました。なぜ、金閣寺改修に木曽平沢の職人が選ばれたのかというと、平沢には全国でも唯一、座卓などの大物を扱える職人が多くいたためだと言われます。その職人たちが、二層内部になっている金閣寺屋根の漆黒の漆や金箔下地の漆塗りを行ったそうです。
 次にお隣の巣山漆器店の工房にて手黒目作業の見学をしました。巣山さんは、生漆を二五年以上、精製しています。現在、手黒目による精製は、この地域でも大変少なくなっています。しかし、品質・耐久性とも、年月が経つにつれて明らかに差が出るため、日光東照宮修復の際も、機械精製から手黒目の漆に変わったと聞きました。
 巣山さんの手がけたお宅を見学しましたが、床・建具・柱・梁など、他の塗料にはない肌触り・質感を感じました。

かどや漆器店見学 巣山漆器店見学Kiso3
かどや漆器店の見学と巣山漆器店の見学

 その後木曾漆器館に移動し、金閣寺改修時のビデオを見ました。劣化原因の調査や試験を繰り返した結果、金閣寺の金箔の厚みを通常の五倍にしたこと、鳳凰にはフッ素のコーティングが三重に塗られていることなど、その対策や工夫を知ることができました。
 1日目最後は大共木材に伺い、木曽のヒノキ、サワラを中心に扱う製材所を見学し、木曾檜の性質などについて説明を受けました。

木曾漆器館 大共木材見学
木曾漆器館前と大共木材見学


 2日目は、まず木曾檜官材市場で見学を行い、原木の並ぶ前で市の様子や目利きの仕方などを学びました。
 その後、木曽の材木で建具をつくる田沢木工所見学では、普段は見ることのできない工場の中まで案内していただきました。

木曾檜官材市場 田沢木工所
木曾檜官材市場見学と田沢木工所見学

東京都・栃木県/日本建築研鑽会 東京講座 

 今回、第一回目となる連続講座「日本建築研鑽会 各地の作法に学ぶ」が4月24日(土)、25日(日)に東京都台東区谷中と栃木日光市にて開催されました。

全体写真

 1日目は、東京・谷中に新築中の功徳林寺本堂および客殿の見学しました。この寺の設計は、近代数奇屋を確立した吉田五十八氏最後の弟子、板垣元彬氏です。
 次に東京芸術大学の教室にて、板垣元彬氏による作品写真を解説していただきました。


 2日目は、日光東照宮にて平成の大修理を見学しました。漆塗りの修復現場や工房を、日光社寺文化財保存会の方に案内して下さいました。修復用の足場から見る彫刻など圧倒されるような迫力がありました。

修復説明 修復見学
日光東照宮の修復説明と見学

修復段階説明 修復内容説明
修復工房にて修復段階説明


 最後に日光田母沢御用邸記念公園を見学しました。

Edo8

2010年9月16日 (木)

京都/藤井厚二の「聴竹居」見学と大山崎界隈スケッチ散策

会場=京都府乙訓郡大山崎町
期日=2010年6月13日(日)

Photo_6当日は、梅雨入りしたばか雨の一日でした。JR山崎駅に集合しました。
今回のイベントは、天王山山腹青空に映えるむくりの家の「大山崎山荘美術館」と建築家藤井厚二の自宅であった「聴竹居(ちょうちくきょ) 」を訪問しました。これらの建物は、どちらもその背景にある自然を大事にしていました。
「聴竹居」は、「なんて健康的!」の一言です。裏山の地下から風の通り道を作り、風が室内の空気を浄化し、天井から抜けていくように考えられていたからです。
また、藤井厚二は、環境が人に与える影響についてシビアな考えを持っている人だったと思います。室内を循環する空気にも、読書の際に差し込む光にも敏感であり、開放と遮断の仕掛けが数々ありました。彼は自分の感覚に忠実で、独自の理論を組み立てる、ま
さに建築家というべき人だと思いました。
私にとって京都は遠い遠足でしたが、満足できました。実物を見て圧倒されたり、設計者の考え方に共感して尊敬の気持ちが膨らんだりと、期待以上のものがありました。
参加者のみなさんとは、多少、年齢の差はあったけれど、みなさんの輝く目は少年のようで、
打ち解けた気分で帰路に着くことが出来ました。
(長野県 小松希江)

栃木県/「那須野が原三本木むくり屋根の家」再生見学会

会場 栃木県那須塩原市
期日 2010年6月5日(土)
Photo_3JR那須塩原駅に降りて、点在する大谷石の蔵を眺めながら徒歩30分、静かな田園風景の中に「むくり屋根の家」がありました。参加は提供者のご家族を含め20数名でした。
 明治23年に建てられた茨城県竜ヶ崎市の町屋を移築再生した事例です。
 提供者からの「よみがえらせい」という想いが、設計者・建主により「新しい命が吹き込まれた」というお話が印象的でした。
 JMRA民家バンクの紹介で竜ヶ崎に行き、一目惚れしたという、横須賀にお住まいのご夫妻とお姉様は、来年、仕事をリタイアされてから本格的に住むことになるそうです。
 設計は、町屋の華やかな雰囲気を受け継ぎながら、現代生活に必要な要素を見事に取り入れたJMRA正会員の㈲アルケドアティス網野隆明さん。
 屋根はむくりをつけた鋼板葺き、換気のための箱棟や、雪から煙突を守るために雪割りが設けられ、この家のデザインのポイントもなっています。

 Photo_4骨組みは生かして、間取りは大胆に組み替えられています。台所と八畳の和室は、コンクリートの上にテラコッタタイルの床で広々としたリビングダイニングに。一階の天井を取り払って柱梁を大胆にあらわし、小屋裏には新たに二つの部屋が作られています。
 襖・障子・格子も使用場所を変えたりして、最大限に活用されていました。
 暖房は、薪ストーブ一台と、リビングダイニングの蓄熱層(コンクリート)からの輻射熱で室温を安定させ、さらに外部建具をアルミサッシにし、断熱材で建物を覆い、保温性のある空間としています。
 提供者、建て主、設計者、そして施工の林住建の林さんが再生した家に集い、笑顔で語り合う姿に参加者は納得していました。
(東京都・正会員 平野 薫)