59号(2008年3月発行)
茨城県常陸大宮市撮影=柳下征史
巻頭インタビュー
民家を残るネットワークづくりを
兼業農家主婦
役重真喜子
結婚した当初は、大正時代に建てられた大きな家で暮らしていました。黒光りする太い梁、ふすまを開けても開けても続く広い座敷...床積100坪という広い家は、都会育ちの私にまるで体育館のようでした。使ったことはあませんが、囲炉裏も切られていました。もちろん、その家に住みつづけるつもりで、計屋さんにも来てもらい、いろいろ検討しまた。設計屋さんは「床を張り直し、断熱材を入れれば格段に暖かくなる」と言っていましたけれども、増改築部分の扱いが難しいようで、間的にも費用的にもかなりかかりそうでした。出産間近だったため、急いで暖かい家を建なければならず、断念しました。
近所にも茅葺きの民家に住んでいる人はいませんね。朽ち果てている姿を見かけるくらいです。このあたりの民家は、昭和30、40年代建て替えられたり、屋根がトタンに葺き替えれたりしたようです。
民家は、地域の暮らしとともにあると思います。人が集まりやすい、何かのときに手伝いしすい造りになっています。現代の家は、暖か適度に快適に暮らせますが、便利すぎるのではないでしょうか。隣近所と助け合う必要もありません。しかし、不便さによって生まれる人のつながりがあると思うのです。寒ければ、こたつのある部屋に家族みんなが集まります。地域においても、かつては自然にそうした集まりがもたれ、民家がその場所になっていたわけです。
民家では、とりわけ、土間が好きです。(後略)
やくしげ まきこ
1967年、茨城県生まれ。父親の転勤に伴い、茨城県、東京都、千葉県を転々としながら少女時代を過ごす。農林水産省に入省し農村研修で岩手県東和町と「牛」 に出合い、1993年に農水省を退職。東和町役場(2006年花巻市に合併)に勤務しながら地域おこしに力をつくす。著書に東和町での出会いや出来事をまとめた『ヨメより先に牛がきた』がある。
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<目次>
- JMRA設立一〇周年 「民家フォーラム2007」特集 Part 2
- シンポジウム 地域の文化資産としての民家をどう守り生かしていくか
問題提起 佐藤彰啓 活動報告 白石智洋/坂本知忠/飯島龍一郎/佐藤 仁
総括と提言 安藤邦廣 まとめ 佐藤彰啓 - JMRAの今後一〇年につなぐもの —JMRA設立一〇周年記念事業を振り返って 清沢和弘
- わが地域の民家(2)新潟県魚沼・妻有地方の中門造り 小林隆治
- 民家再生事例 福島の部材がはるか南伊豆にて再生へ 静岡県南伊豆町 古松邸 篠崎良司
- 茅葺きのはなし(3)—中級編—茅葺きの技術(筑波地方の例)中島 信
- 「JMRA民家バンク」情報
- 民家ネットワーク 春・夏・秋・冬
- 書籍紹介
『工匠たちの技と知恵——世界の住まいにみる』
『クマともりとひと——森山まり子会長のスピーチから』 - JMRAイベント報告
- シリーズ 民家の宿、民家の店 串揚げ処「はん亭」/花・林・桃・源・郷「蔵久」
- 小さなかやぶきの里をたずねて 森田伊佐
- 事務局ニュース




秋田県仙北市旧田沢湖町の民家
茨木県石岡市旧八郷地区の民家
山形県白鷹町の民家
馬場家の七夕
(長野県松本市の重文馬場家住宅)
撮影=北村耕一(JMRA会員)

