情報誌「民家」

2006年7月 1日 (土)

49号(2006年7月発行)

竹富島の赤瓦民家(沖縄県竹富島)
撮影=竹林美香(JMRA友の会会員)

巻頭インタビュー
日本の民家を次代へ引き継ぐ

日本民家再生リサイクル協会代表理事
清沢和弘

今期2年間、代表理事を務めさせていただくことになりましたので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

日本民家再生リサイクル協会(JMRA)はこの9月に設立10年目を迎えます。この間、JMRAの活動もあずかって「民家再生」という言葉が市民権を持つまでになりました。テレビドラマでも民家が舞台になったり、商業施設でも民家風がもてはやされたりしています。最近では、社会全体の風潮として、伝統的なもの、古いものへの人々の関心が高まってきているように思います。しかしながら、その一方で、民家が壊されて続けている状況は今日も変わっていません。私たちJMRAが何をなすべきかが問われているのも事実です。(後略)

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きよさわ・かずひろ


  • 映画「赤い鯨と白い蛇」の撮影地に選ばれて 山中邸の紹介 山中照嗣
  • 専門家に聞く古材利用のポイント2 清水康造/佐々木祐子
  • 古材利用のアイデア1 深澤 渡
  • 「民家再生」講演イン・アメリカ 武部豊樹
  • シリーズ 民家の宿、民家の店 日本料理「隠れ里 味彩よひら」/平谷温泉旅館「庵」・日本料理「落柿」
  • 民家の生きるまちづくり16 「金山型住宅」で街並みづくり100年運動 山形県最上郡金山町 藤山一栄
  • ニッポンの林業10 天竜における新月伐採への取り組み 山下晋一
  • 民家再生事例 定年後の農的生活を楽しむ家 宮城県栗原市 I邸 佐々木文彦
  • 民家ネットワーク春・夏・秋・冬
  • 書籍紹介信州かやぶき民家—1979~1992
  • 「JMRA民家バンク」情報
  • 第1回「日本民家の美術展」を開催
  • JMRAイベント報告
  • JMRA第4期役員決まる
  • 小さなかやぶきの里を訪ねて 森田伊佐
  • 事務局ニュース

2006年5月 1日 (月)

48号(2006年5月発行)

西周(にしあまね)の生家(島根県津和野町)
撮影=長谷川和男(JMRA正会員)

巻頭インタビュー
昔の暮らしは今に繋がる

民俗学写真家
須藤功

新潟中越地震の後、三十数年前に撮った山古志村の写真をまとめて出版しました。初めて山古志に入ったのは、昭和45年の11月です。教えを受けていた民俗学者の宮本常一が村長から村興しの協力を依頼され、私が調査に行くことになったのです。当時の山古志は茅葺き民家が多く、蓑笠を使う古い生活が残り、冠婚葬祭も隣近所が協力しながら行っていました。それらを見ることができたのは、私の人生にとても役立っています。

昔の生活について多少なりとも書き残しておけるのは、私より上の世代です。だから今、誰かが語っておかないといけない。これを見て「今にどう繋がっているのか」と考えてくれる人が一人でもいたらいい。

しかし、昔のことについて「懐かしい」という形容詞がつくのは好きではありません。高度経済成長期以前というのは、貧しかったけれども心は豊かだった。ただ懐かしむだけでなく、「なぜ心が豊かだったのだろうか」ということを考えてほしい。その時代の人たちが何を考え、何を楽しみに生きていたのかを想像し、感じとってほしいのです。(抜粋)

すとう・いさを

1938年秋田県生まれ。日本観光文化研究所において所長の民俗学者、宮本常一の指導を受けながら、庶民の生活を写真で記録するとともに生活史研究のために全国を歩く。著書に『山の標的-猪と山人の生活誌-』(未来社)、『葬式-あの世への民俗-』(青弓社)、『写真ものがたり昭和の暮らし』(農山漁村文化協会)、共著に『昭和の子どもたち』(学習研究社)、編著に『写真でつづる宮本常一』など。2005年10月、新潟中越地震復興を願い、昭和46年に山古志村で撮影した写真をまとめた『写真集 山古志村』(農山漁村文化協会)を出版。山古志地区全戸に寄贈した。

  • 座談会 古材をつかって素敵に暮らす 金谷昇一/杉浦干城/深澤 渡/棚橋みさ子/清沢ひろ子
  • 専門家に聞く古材利用のポイント 網野隆明/高桐定雄/石川重人
  • 「山茅」と「海茅」、その違いを知る—JMRAボランティアグループ「お助け隊」の活動を通して— 神田正則
  • 民家の生きるまちづくり15 大和の商都、ただいま再生模索中 奈良県御所市 中井将一郎
  • ニッポンの林業9 森林と暮らす仕組みをつくる—森林の管理人育成講座— NPOフォレスト工房もくり理事長 余頃友康
  • 体験的民家再生考14 民家再生のなかで学んだこと 宮本繁雄
  • 民家再生事例1 生家を守る 兵庫県たつの市 N邸 佐藤 仁
  • 民家再生事例2 吹き抜けの居間で囲炉裏を囲む 愛知県一宮市 K邸 垣内忠佳
  • 民家ネットワーク春・夏・秋・冬
  • 書籍紹介大工一代』『聞き書き山の親父のひとりごと—リンギリ・木馬・水車製材…』『聞き書き山の親父のひとりごと—鉄砲堰・架線・造林… (2)
  • 「JMRA民家バンク」情報
  • シリーズ 民家の宿、民家の店 うどん・そば「白笹うどん 多奈加」/手仕事の器・雑貨「ラ・ロンダジル」
  • JMRAイベント報告
  • 小さなかやぶきの里を訪ねて 森田伊佐
  • 事務局ニュース

2006年3月 1日 (水)

47号(2006年3月発行)

八郷の春(茨城県石岡市佐久)
撮影=清沢和弘(JMRA正会員)

巻頭インタビュー
歴史性を重視した民家再生を

文化財建造物修復技術者
日塔和彦

私の専門分野は、歴史性を重視した建物の保存修復です。保存修復と部材リサイクルとは、両極端にあると考えています。民家の再生というのは、その中間にあるかと思うのです。建物を修理するときに、建物全体を原形のままにすれば保存に近づき、改造が多くなれば部材リサイクルに近づくのではないかと思います。私としては、民家を再生する場合にも、できるだけ歴史性を重視した「保存」に近い方法をとってもらいたいのです。なぜかというと、古民家というのは長い歴史を持った建物だからです。

伝統的技術をもつ職人の問題は全般的なことですが、特に緊急性を持つのは茅葺きです。最近では、茅を葺くときに遠方の職人に依頼することがよくありますが、茅葺きはその土地で行われてきた材料と技術の組み合わせが重要なのです。それには地域の職人を育成することが、もっとも必要なことです。

一時期から、歴史的建造物の保存対象の幅がぐっと広がりました。それ以前は重要文化財など単体指定のものが中心で、文化財に精通した技術者だけが修復に関係してきました。しかし、それだけでは人材が足りなくなる。全国的な研修システムをつくり、建物の歴史をふまえた再生や修復ができる人を増やすことが必要です。どこかで系統的にきちんとした教育ができるといいと思っていまして、JMRAにも期待しております。(抜粋)

にっとう・かずひこ

1946年山形県生まれ。千葉大学工学部建築学科卒業。建設会社勤務などを経て、1972年(財)文化財建造物保存技術協会に第一期生として入る。文化庁文化財保護部建造物課勤務を経て、(財)文化財建造物保存技術協会の企画室長、東京支部長などを歴任。専門は茅葺きの技術保存、分棟型民家の研究など。現在は同協会を退職し、千葉大学等非常勤講師。茨城県文化財保護審議会委員、市川市文化財保護審議会委員。著書には『北陸の住まい』『ヨーロッパの茅葺きとその技術』などがある。JMRA特別会員。

  • 「民家フォーラム2005」特集 Part 2
    シンポジウム「伝統民家をどう生かすか」パネルディスカッション報告

    オプショナルツアー「能登の民家を訪ねる旅」の報告
    北陸地区のこれからに繋がったフォーラム
     串田政規
  • 歩く家、回る家 我が家の曳家見学記録 井上美弥子
  • 子守地蔵堂の修復を支援 新潟県中越地震へのJMRAの取り組み 金井透
  • 民家の生きるまちづくり(14)家も人も輝きだした農村民泊 安心院町グリーンツーリズム研究会の取り組み 大分県宇佐市安心院町 安心院町グリーンツーリズム研究会 植田淳子
  • 民家再生事例 築200年以上の民家を解体寸前で再生 静岡県静岡市 S邸 山本英方
  • 景観法をまちづくりにどう活かすか 景観法セミナーの講演より 地域畏敬角連合主任研究員 田島邦晃
  • 民家ネットワーク春・夏・秋・冬
  • 書籍紹介宮大工千年の「手と技」—語りつぎたい、木を生かす日本人の知恵
  • 「JMRA民家バンク」情報
  • シリーズ 民家の宿、民家の店 食事処「田舎の親戚 香想庵」/居酒屋「まんまや」
  • JMRAイベント報告
  • 小さなかやぶきの里を訪ねて 森田伊佐
  • 事務局ニュース

2006年1月 1日 (日)

46号(2006年1月発行)

五箇山、相倉集落の合掌造り(富山県南砺市)
撮影=川島正克(JMRA友の会会員)

巻頭インタビュー
寂しい民家を温かくする民家再生を

民俗研究家
結城登美雄

私は、山形県の山奥の9軒だけの小さな村で育ちました。高度経済成長の時代に、その村は廃村になりました。村がなくなることの心もとなさ、寂しさというより「困るよ」という気持ちでした。自信をなくしたときには、あそこに帰るしかあるまいと思う。そういうものがあるというだけで少し安心できる最後の場所としての村。それは、都市を生きていくためのお守りみたいな場所なのです。

民家というと建物で考えてしまいますが、そこは人が暮らす場所、生きる場所です。少しでも関われば、そこでの暮らしや維持が大変なのはすぐにわかることです。もう少し建物以外の暮らす、生きるということも視野に入れていかないと、せっかくの善意が社会に大きく受け入れられていかないのではないかと思います。

昭和40年、多くの人が都市に出て行く村を歩きながら、宮本常一さんは「自然は寂しい」と言いました。「しかし、人の手が加わると温かくなる」と。今、民家だって、山だって、川だって、畑だって、田んぼだって寂しいです。誰も手をかけていないじゃないですか。私は10年間東北の村を歩いてきて、この言葉が少しわかるようになってきました。寂しいのは嫌です。だからどんな方法であれ、寂しい民家を温かくしたいという思いでやっていらっしゃる民家再生とは、大事なことだと思っています。(抜粋)

ゆうき・とみお

昭和20年、山形県生まれ。山形大学卒業後、広告デザイン業界に入る。宮城教育大学非常勤講師。民俗研究家。10年にわたり東北の農山漁村をフィールドワークしながら、住民を主体とした地域づくりの手法「地元学」を提唱。出版、演劇界、研究者、建築家などとネットワークしながら、東北各地で地域おこしの活動を行う。『増刊現代農業』など、雑誌や新聞を中心に農と地域づくりについて多数執筆中。著書に『山に暮らす 海に生きる』(無明舎出版)。

  • 「民家フォーラム2005」特集 Part 1
    フォト・レポート 北陸、金沢で伝統技術をみつめなおす
    シンポジウム「伝統民家をどう生かすか」
    基調講演 新潟中越地震で伝統民家はどう振る舞ったか
     金沢工業大学・秋田県立大学名誉教授 鈴木有
    枠の内民家の建前実演
    ワークショップ「蔵の再生と活用法」報告
    民家フォーラムに参加して
  • ニッポンの林業—山と木の話(8)林家から見た、千葉の里山と山武杉 金親博榮
  • 体験的民家再生考(13)民家再生設計の現場で思うこと 島田廣巳
  • 民家再生事例 麦わら葺き古民家に新たな息吹を 大分県中津市山国町 田舎体験施設 松山忠幸
  • JMRA企画ツアー「ドイツの民家と暮らしをたどる9日間」の報告
  • 民家ネットワーク春・夏・秋・冬
  • 書籍紹介木を読む—最後の江戸木挽き職人』『住まいを四寸角で考える—板倉の家と民家の再生
  • 「JMRA民家バンク」情報
  • JMRAイベント報告
  • 連続講座「民家再生の設計・監理」を終えて
  • 小さなかやぶきの里を訪ねて 森田伊佐
  • 事務局ニュース

2005年11月 1日 (火)

45号(2005年11月発行)

砺波平野のアズマダチの民家(富山県砺波市)
撮影=佐伯安一

巻頭インタビュー
半歩戻って日本のあり方を見直す

映画監督・ドキュメンタリー映像作家
乾弘明

今回「平成職人の挑戦」という映画を監督しました。岐阜県高山市で行われる高山祭の祭屋台が約100年ぶりに新造されることになり、それを13年間にわたって記録したのです。

今、国が伝統文化の継承のためにしているのは、学校や研修の場をつくることです。職人たちが日常的に手を動かして仕事をできる環境を作り出すことが、文化や技術を継ぐための最大の課題です。

日本は戦後、とくに高度成長のときに、それまで培ってきた文化を一回否定してしまっているようなところがあります。それをもう一度見直すタイミングは、今がぎりぎりだと思うのです。全部戻る必要はないけれど、半歩戻って考えてみることが非常に求められています。

大きなことを言うようですが、ここで日本のあり方をもう一度見直さないと「日本とは何か」ということが分からなくなってしまいます。この映画のなかには、そういう問いかけが含まれています。(抜粋)

いぬい・ひろあき

1963年北海道旭川市生まれ。1984年テレビ制作会社入社、テレビ朝日「ニュースステーション」に出向。主にドキュメンタリー番組のディレクションを経て、2004年花組設立。自然環境保護、エコ関係、水中撮影番組では専門家にも高い評価を得る。現在、テレビ朝日「素敵な宇宙船地球号」制作など。初監督した長編ドキュメンタリー映画「平成職人の挑戦」は文部科学省「特選」に選ばれた。

  • イベント・レポート 能とお香と再生民家のつどい
  • 観世榮夫会長講演「能のユニークさ、新しさを語る」より抜粋
  • フォト・レポート ドイツの民家と暮らしをたどる9日間
  • 体験的民家再生考(12)生きた木を活かしきる 小林廣高
  • ニッポンの林業—山と木の話(7)木曾のヒノキで家を造る運動 木曾ヒノキで家を造る会 巣山環
  • 民家再生事例(1) 金沢に残る町家を再生 石川県金沢市 O邸 越島裕昭
  • 民家再生事例(2) 軽井沢で甦った思い出の家 長野県北佐久郡軽井沢町 N邸 藤木正行
  • 連続講座「民家再生の設計・監理」を終えて
  • JAPAN2001/三周年記念リレーエッセー(5)キューガーデンへの民家移築とシンポジウム 坂本新太郎
  • シリーズ 民家の宿、民家の店 萱葺き民宿「友田家住宅」/そば処「みずほの村市場 蕎舎」
  • 民家ネットワーク春・夏・秋・冬
  • 書籍紹介町家再生の創意と工夫—実例にみる改修の作法と手順』『湖底に消えたふるさと・荒沢村—亀井良生・佐藤盛夫写真集』ほか
  • 「JMRA民家バンク」情報
  • JMRAイベント報告
  • 「民家フォーラム2005」協賛広告・会員広告
  • 事務局ニュース