74号(2010年9月発行)
巻頭インタビュー
左官は自然を技に変えることができる
左官技能士/挾土秀平さん
僕は親父がやっていた左官会社の跡継ぎになろうと思って、この世界に入ったのです。「跡を継ぐなら旅をしてこい」と言われて熊本の会社に弟子入りしたし、猛練習をして技能5輪全国大会の左官部門で優勝もしました。親父の会社に戻ってからは、もっぱらセメントを塗っていました。ですから、私が見てきた世界はグレー1色でしたね。
そういう世界には満足できなかった。あるときに、土には色があるということに気付いたのです。しかも、土地ごとのカラーがあると。飛騨には赤土が多いですし、京都に行けば聚楽第の黄土色の土があるし、滋賀に行けば江州白という白い土がある。そうすると飛騨は赤い家が多いことになるし、滋賀へ行くと白い家が多い。外壁が土地の色を見せているわけです。
民家も土地によって色が違うということです。それが個性ではないですか。
それを見られることは、素晴らしいことです。そういう土地の個性があってこそ、旅をして楽しいのです。セメントの世界なら、北海道から沖縄まですべてグレーでしょう。どこも同じというのはなんとも貧しくてさびしい。土地柄が反映されて初めて、個性の集まりとしての日本のかたちですよ。こういうことに気付いて、僕は「土をやろう」と決心したのです。グレーからカラーの世界へですね。(後略)

はさど・しゅうへい
1962年、岐阜県高山市にて「挾土組」の長男として生まれる。1983年、技能五輪全国大会の左官部門で優勝。1984年同世界大会出場。名古屋で修業ののち、実家の左官会社「挾土組」に戻る。2001年、「職人社 秀平組」設立。天然の土と素材を使った独自の世界の塗り壁づくりはモダンかつ斬新で他に例がなく、高い評価を受けて国内外で活躍している。
主な仕事に「八ヶ岳マツボックリの野菜蔵」「金沢黄金の蔵」「ザ・ペニンシュラ東京」「洞爺湖サミット」「アースメイク」「氷雪の壁」など、著書に『のたうつ者』がある。
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