67号(2009年7月発行)
水田を民家が囲む環状集落・荻ノ島にて 撮影=田中達也
巻頭インタビュー
山里の民家は山の自然を取り込んでいる
作家/イラストレーター
遠藤ケイ
僕は、10年くらい前から新潟県三条市で築約130年の民家を拠点として活動するNPO「しただテラ小屋」の運営にあたっています。
ここでは毎月、囲炉裏を囲んで語り合う「炉辺夜話」の会や、マイ包丁をつくる鍛冶屋講座を開いているんですよ。去年は、女優の根岸季衣さんのひとり芝居も上演しました。新潟の民話をもとにした脚本を僕が書き、旧知の根岸さんにお願いしたら、民家での芝居を面白がってくれて。奥の座敷に100人くらい集まりました。
今年の一月には、東京の「子どもワークショップフォーラム」の子どもたちがやってきて、二泊三日で雪国の暮らしを体験しました。雪合戦に始まり、地元の名人を先生にカンジキを作ったり、で灯籠を作って庭いっぱいに灯りをともしたり。子どもたちからいろいろなアイデアが出て、幻想的で美しい雪景色が広がりました。子どもたちの一番人気は風呂焚きでしたね。薪を奪い合って燃やしてました。夜は、僕が描いた絵を壁に映しながら、この家に棲んでいたお化けたちの話を朗読しました。住む人がいなかった間、ホウキやハタキに宿るお化けや、便所にいる雪隠坊主がどうしていたか。最後は掃除の時間でしたが、「トイレを汚すと雪隠坊主が出てくる」と言って、一所懸命掃除をしていました。子ども独特の感性で何かを感じとっているんですね。(後略)
えんどう・けい
1944 年、新潟県生まれ。自然の中で手づくり暮らしを実践しながら日本全国、世界各地を訪ね歩き、人々の生業や生活習俗を取材。子どもの遊び、野外生活、民俗学をテーマに絵と文による執筆活動を続けている。『こども遊び大全』(新宿書房)、『男の民俗学』(1 〜3 巻、小学館文庫)、『暮らしの和道具』(ちくま新書)、『熊を殺すと雨が降る』(ちくま文庫)、『海の道 山の道』(筑摩書房)など、著書多数。
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