情報誌「民家」

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2007年11月 1日 (木)

57号(2007年11月発行)

茨木県石岡市旧八郷地区の民家
撮影=柳下征史

巻頭インタビュー
力を合わせ地方の民家を維持したい

東洋文化研究家
アレックス・カー

大学生だった一九七一年、私はヒッチハイクで日本一周しました。このとき初めて、四国の祖谷(いや)で茅葺き屋根の生活を見ました。当時はまだ、このあたりはいろりを使っている家が多かったですね。

祖谷は、まさに山水画のようでした。谷の向こうの山からは滝が流れ落ち、谷間から湧き上がった霧の中に茅葺きの家が浮かび上がっていました。

こんな家を自分も欲しいと思うようになりました。過疎が進み空き家が多かったものですから、学生の僕でも買えるかなと思ったわけです。四国の山をずいぶん見て歩き、祖谷の茅葺きの民家を三八万円で購入しました。借金をすることになりましたが、古い家に住むということはロマンなんです。

もちろん、住むとなると現実も引き受けなければなりません。それも面白いんですよ。勉強になります。屋根の葺替えで、竹や茅といった自然の材料と付き合う過程が楽しく、近所の人たちといっしょに山に茅を刈りに行ったりしました。結局、一千万円以上の借金を背負うことになりましたけれども。(後略)

Alex Kerr

1952年アメリカ生まれ。1964年初来日、2年間横浜に住んだ後に帰国。エール大学で日本学専攻(学士)、オクスフォード大学でローズ奨学生として中国学を専攻(学士・修士)。1973年から徳島県祖谷で茅葺き民家の修復に取り組む一方、京都で日本伝統芸術を紹介するセミナーの運営に携わる。トラメル・クロー社の美術コレクション顧問をへて、現在、日本および東アジアの美術品の蒐集をはじめ、文化コンサルタント、執筆・講演など、多方面で活躍。著書に『美しき日本の残像』(第7回新潮学芸賞受賞、"Lost Japan"として7か国語に翻訳される)、『犬と鬼』など。

  • JMRA設立10周年企画シリーズ これからの民家の残し方(4)
    民家を再生する一人ひとりの力が伝統構法を根づかせる
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  • JMRA設立10周年企画シリーズ JMRAにこの人あり(6)
    民家に魅せられた、この10年
    初代民家トラストネットワーク副委員長 平尾健二
  • JMRA設立10周年記念「まちづくりシンポジウム」の報告
    増田町のまちづくりを考える
    基調講演 まちづくりをどうすすめるか 村上町屋商人会会長 吉川真嗣
  • 体験的民家再生考(18) 目的をはっきりさせて再生する 新しい技術も取り入れて住文化を受け継ぐ 鈴山弘祐
  • 民家の生きるまちづくり(21) 町並みと伝統建築物を生かす多彩な取り組み 大分県臼杵市 臼杵デザイン会議 齋藤行雄
  • 民家再生事例 100年後に思いを馳せて 上林誉一
  • 「建築基準法改正に伴うセミナー」の報告 松井英子
  • 「JMRA民家バンク」情報
  • 民家ネットワーク 春・夏・秋・冬
  • JMRAイベント報告
  • 「民家フォーラム2007」協賛広告
  • 事務局ニュース
  • 小さなかやぶきの里を訪ねて 森田伊佐