情報誌「民家」

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2006年3月 1日 (水)

47号(2006年3月発行)

八郷の春(茨城県石岡市佐久)
撮影=清沢和弘(JMRA正会員)

巻頭インタビュー
歴史性を重視した民家再生を

文化財建造物修復技術者
日塔和彦

私の専門分野は、歴史性を重視した建物の保存修復です。保存修復と部材リサイクルとは、両極端にあると考えています。民家の再生というのは、その中間にあるかと思うのです。建物を修理するときに、建物全体を原形のままにすれば保存に近づき、改造が多くなれば部材リサイクルに近づくのではないかと思います。私としては、民家を再生する場合にも、できるだけ歴史性を重視した「保存」に近い方法をとってもらいたいのです。なぜかというと、古民家というのは長い歴史を持った建物だからです。

伝統的技術をもつ職人の問題は全般的なことですが、特に緊急性を持つのは茅葺きです。最近では、茅を葺くときに遠方の職人に依頼することがよくありますが、茅葺きはその土地で行われてきた材料と技術の組み合わせが重要なのです。それには地域の職人を育成することが、もっとも必要なことです。

一時期から、歴史的建造物の保存対象の幅がぐっと広がりました。それ以前は重要文化財など単体指定のものが中心で、文化財に精通した技術者だけが修復に関係してきました。しかし、それだけでは人材が足りなくなる。全国的な研修システムをつくり、建物の歴史をふまえた再生や修復ができる人を増やすことが必要です。どこかで系統的にきちんとした教育ができるといいと思っていまして、JMRAにも期待しております。(抜粋)

にっとう・かずひこ

1946年山形県生まれ。千葉大学工学部建築学科卒業。建設会社勤務などを経て、1972年(財)文化財建造物保存技術協会に第一期生として入る。文化庁文化財保護部建造物課勤務を経て、(財)文化財建造物保存技術協会の企画室長、東京支部長などを歴任。専門は茅葺きの技術保存、分棟型民家の研究など。現在は同協会を退職し、千葉大学等非常勤講師。茨城県文化財保護審議会委員、市川市文化財保護審議会委員。著書には『北陸の住まい』『ヨーロッパの茅葺きとその技術』などがある。JMRA特別会員。

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