情報誌「民家」

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2006年1月 1日 (日)

46号(2006年1月発行)

五箇山、相倉集落の合掌造り(富山県南砺市)
撮影=川島正克(JMRA友の会会員)

巻頭インタビュー
寂しい民家を温かくする民家再生を

民俗研究家
結城登美雄

私は、山形県の山奥の9軒だけの小さな村で育ちました。高度経済成長の時代に、その村は廃村になりました。村がなくなることの心もとなさ、寂しさというより「困るよ」という気持ちでした。自信をなくしたときには、あそこに帰るしかあるまいと思う。そういうものがあるというだけで少し安心できる最後の場所としての村。それは、都市を生きていくためのお守りみたいな場所なのです。

民家というと建物で考えてしまいますが、そこは人が暮らす場所、生きる場所です。少しでも関われば、そこでの暮らしや維持が大変なのはすぐにわかることです。もう少し建物以外の暮らす、生きるということも視野に入れていかないと、せっかくの善意が社会に大きく受け入れられていかないのではないかと思います。

昭和40年、多くの人が都市に出て行く村を歩きながら、宮本常一さんは「自然は寂しい」と言いました。「しかし、人の手が加わると温かくなる」と。今、民家だって、山だって、川だって、畑だって、田んぼだって寂しいです。誰も手をかけていないじゃないですか。私は10年間東北の村を歩いてきて、この言葉が少しわかるようになってきました。寂しいのは嫌です。だからどんな方法であれ、寂しい民家を温かくしたいという思いでやっていらっしゃる民家再生とは、大事なことだと思っています。(抜粋)

ゆうき・とみお

昭和20年、山形県生まれ。山形大学卒業後、広告デザイン業界に入る。宮城教育大学非常勤講師。民俗研究家。10年にわたり東北の農山漁村をフィールドワークしながら、住民を主体とした地域づくりの手法「地元学」を提唱。出版、演劇界、研究者、建築家などとネットワークしながら、東北各地で地域おこしの活動を行う。『増刊現代農業』など、雑誌や新聞を中心に農と地域づくりについて多数執筆中。著書に『山に暮らす 海に生きる』(無明舎出版)。

  • 「民家フォーラム2005」特集 Part 1
    フォト・レポート 北陸、金沢で伝統技術をみつめなおす
    シンポジウム「伝統民家をどう生かすか」
    基調講演 新潟中越地震で伝統民家はどう振る舞ったか
     金沢工業大学・秋田県立大学名誉教授 鈴木有
    枠の内民家の建前実演
    ワークショップ「蔵の再生と活用法」報告
    民家フォーラムに参加して
  • ニッポンの林業—山と木の話(8)林家から見た、千葉の里山と山武杉 金親博榮
  • 体験的民家再生考(13)民家再生設計の現場で思うこと 島田廣巳
  • 民家再生事例 麦わら葺き古民家に新たな息吹を 大分県中津市山国町 田舎体験施設 松山忠幸
  • JMRA企画ツアー「ドイツの民家と暮らしをたどる9日間」の報告
  • 民家ネットワーク春・夏・秋・冬
  • 書籍紹介木を読む—最後の江戸木挽き職人』『住まいを四寸角で考える—板倉の家と民家の再生
  • 「JMRA民家バンク」情報
  • JMRAイベント報告
  • 連続講座「民家再生の設計・監理」を終えて
  • 小さなかやぶきの里を訪ねて 森田伊佐
  • 事務局ニュース